【2/24】各国銀行総裁、財務省高官の発言まとめ
ニュースを見ているとG20開催前にも関わらず、金融業界の要人の発言が目立ちましたので、以下にまとめます。
■イングランド銀行(英中央銀行)のカンリフ副総裁
「必要なら一段の刺激策導入の用意」
カンリフ副総裁は講演で「堅調な経済成長が継続し、インフレ率は向こう数年間で目標を回復するとの見方を変えていない」と述べました。
ただ政策担当者は景気の変化や衝撃によるリスクに敏感である必要があるとし、「われわれには多岐にわたる利用可能な政策手段を有しており、リスクが具現化すればこうした手段を利用する用意は整っている」
と述べました。
■米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁
「米年内利上げなお合理的、経済は成長軌道」
ボルチモアで行った講演で、このところ雇用が力強く伸びていることから、米経済はしっかりとした成長軌道に乗っていることが示されていると指摘。
米経済が近い将来に景気後退に陥るとの兆候は出ていないとし、「年内に利上げが実施されるとの観測はなお合理的だと考えている」
と述べました。
物価情勢については、金融市場における物価分析からインフレ率は向こう5─10年間は平均1.9%で推移することが示唆されているとし、インフレ率がFRBが目標とする2%を大きく下回る状況が続くとの見方に反論しました。
また、米国の実質的な自然利子率は現在ゼロ%かそれをやや上回る水準にあると推定されると指摘。
「こうした見方はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げることの根拠となる」と述べました。
ラッカー総裁はFOMCの投票権はありませんが、この発言による影響力は侮れないでしょう。
ラッカー総裁のようなタカ派は3月利上げを容認しています。
■ドイツのショイブレ財務相
「成長支援に為替利用すべきでない、金融市場の安定必要」
ショイブレ財務相は「金融市場に一段の安定をもたらす必要がある。G20で合意した規則に疑問が投げかけられる可能性はないだろう。成長促進の手段として為替相場を不正に活用すべきではない」
としました。
G20当局者は債務を拡大することなく持続可能な成長を実現することに注力すべきとし、「過度に緩和的な金融(政策)は最終的には不運な結果を招く」と述べました。
世界経済の状況をめぐっては「多大な不透明感が存在する」とし、中東や北アフリカなどの地政学リスクは極めて大きいと指摘。
また英国の欧州連合(EU)離脱リスクも依然くすぶっていると語りました。
■米セントルイス地区連銀
「米市場インフレ予想、原油0ドルへの下落想定」
現物国債とインフレ指数連動債(TIPS)の利回り格差であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)が織り込む現在のインフレ見通しを正当化するには「2019年半ばまでに原油相場が1バレル当たりゼロドルに下落する必要がある」と指摘しました。
■欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁
「長引く低金利、銀行収益に多大な打撃」
このところドイツ銀行をはじめ銀行株が急落している状況をめぐり、「低金利環境はとりわけ銀行の収益力の足かせになる」
と述べました。
総裁の発言は、長年にわたる低金利による弊害をドイツが深刻に受け止めていることを示唆しています。
「低金利が長引くほど、また低下幅が大きいほど銀行の利益も落ち込む」とし、低金利が2019年まで続けば、利益は最大で半減する可能性がある
との見方を示しました。
またユーロ圏はデフレから程遠い状況にあるとの認識を示し、追加緩和策の導入に消極的な立場を鮮明にしました。
■ルー米財務長官
「上海G20での「危機対応」ない」
ルー長官は24日放送のブルームバーグとのテレビインタビューで、「危機ではない状況で、危機対応を期待すべきでない」とし、「現時点では、市場が一部のケースで考えているよりも、実体経済は良好だ」
と語りました。
ルー長官は、世界的な金融危機の真っただ中に各国・地域が講じたような、成長回復に向けた詳細な公約をとりまとめる公算は小さいと指摘。
その代わり、通貨安競争を控えるといった、各国・地域が近年推進してきた原則にさらに肉付けする可能性があるとコメントしました。
中国経済が直面する課題をめぐっては、「極めて重大」なものがあるとしつつも、「過度にネガティブな形で解釈されている」と分析。
ただ、中国の通貨政策に関するコミュニケーション不足によって、「当局が何を達成しようとしているのか誰しも理解するのが非常に難しくなっている」
と説明しました。
さらに、中国は人民元相場が「市場で上下」双方向に変動するのを容認すべきだとする米国の立場をあらためて表明しました。