米、イランに追加制裁発動
トランプ米大統領は24日、イランに対する追加制裁を科す大統領令に署名した。同国の最高指導者ハメネイ師のほかイラン精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」の幹部を制裁対象とした。
イラン指導部の金融資産へのアクセスを禁止
新たな制裁措置はイラン指導部の金融資産へのアクセスを禁止するもの。米国の金融システムの利用のほか、米国内の資産へのアクセスが禁止される。ムニューシン財務長官はこれにより数億ドルのイラン資産が凍結されるとしている。
トランプ大統領は大統領令と合わせて発表した声明で「イランに対し核計画を放棄し、破壊的な行動を改め、国民の権利を尊重し、誠意をもって交渉の場に戻ることを呼び掛ける」とした。
トランプ大統領は記者団に対し、先週起きたイランによる米無人偵察機撃墜を受けた措置と説明したが、その後、偵察機撃墜が発生しなくても、追加制裁を実施していたと語った。
イラン、譲歩案で協議の意向
イランの大統領顧問は24日、米国が2015年の核合意の条件を上回る譲歩をイランに求めるのであれば、核合意の条件を上回るインセンティブを提供する必要があると述べた。
イランが新たな譲歩案について米国との協議に臨む可能性を示唆したのは異例。ただ同顧問は、米国が昨年の核合意離脱後に再導入した対イラン制裁を解除しない限り、協議は不可能との立場を改めて示した。
同顧問は「前提条件なしに交渉するという米国の申し出は、制裁と脅しが続く間は受け入れられない。核合意以上のものを求めるのであれば、国際的な保証を付けて、核合意以上のものを提供すべきだ」と述べた。
追加制裁に関する各国の反応
ロシアのリャブコフ外務次官は、米国がイランに科すと表明している新たな制裁について、ロシアとパートナー諸国が対抗措置を取ると述べた。タス通信とロシア通信(RIA)が24日に報じた。
具体的な措置には言及しなかった。
同じ中東でも対イランの緊張が高まる。
ポンペオ米国務長官は24日、米イラン間の緊張が高まる中、湾岸アラブの同盟国を歴訪し、イラン問題や海上の安全保障を巡り協議した。
ポンペオ長官は出発前に記者団に対し、米政府がイラン側との対話を望んでいると表明した。「(サウジとUAEと)協議し、戦略的に一致していることを確実にする」と述べた。
総括
今回の制裁は、イランの資金源を絶つことが目的と思われるが、同時に心理的制裁面も強い。
日本で言うなら総理大臣、概念的には天皇にアクセスを認めないようなものだ。
心理的な圧力はその分反発も大きくなることが予想され、テロリズムが活発な中東なら余計に暴発の恐れがある。
両国口だけでなく、対話による緊張緩和を早期に実施すべきでしょう。
なお、本件に関する市場の反応は石油価格のみ。
市場の感心はG20、米中首脳会談である。
最も進行度が異なるが、市場的には、リアル戦争リスクよりも、経済戦争リスクのほうがホットである。
出典
米、イラン最高指導者に制裁 核放棄・交渉開始を呼び掛け
米がイランに譲歩求めるなら、核合意以上の条件必要=大統領顧問
米国務長官、サウジやUAE歴訪 イラン緊張巡り協議
ロシア、新たな米の対イラン制裁に対抗へ=報道
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