米7─9月期GDPは市場予想を上回るも米中貿易戦争の影

米7─9月期GDPは市場予想を上回る

米商務省が27日発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.1%増と、速報値の1.9%増から上方改定された。米7─9月期GDP市場予想は1.9%増。在庫投資が予想以上に底堅かったほか、設備投資は落ち込みが緩むなど底入れの可能性を示唆した。

一方、成長率は昨年の2.9%から確実に鈍化している。第2・四半期の伸びは2%止まりだったほか、今年前半も2.6%と、トランプ政権が目標に掲げる3%に届いていない。
MUFG(ニューヨーク)の主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「3%成長を達成するような活力は見当たらないが、一部の好転の兆し(グリーンシュート)は表れており、経済の下支えとして期待される」と述べた。
所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は第3・四半期に2.4%増と、企業利益が減ったにもかかわらず第2・四半期の0.9%増から加速した。米S&P総合500種指数採用企業の利益に相当する、在庫評価・資本減耗調整を除く税引き後利益は0.6%(113億ドル)減少した。フェイスブックとグーグルの和解金が重しだった。第2・四半期は3.3%増だった。
経済成長を見る上でより良い手法とされるGDPとGDIの平均は2.3%増と、第2・四半期の1.4%増から加速した。
最近の統計では個人消費が鈍化したほか、設備投資の低迷が悪化しており、第4・四半期初めに景気が減速した兆しがある。

米個人消費10月は0.3%増

米商務省が27日発表した10月の個人消費支出(季節調整済み)は、前月比0.3%増となり、エコノミスト予想と一致した。米経済成長率が第4・四半期に緩やかなペースを維持することが示された。

9月の数値は当初発表の0.2%増が据え置かれた。
個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.2%上昇。食品、エネルギー製品、サービスの価格が押し上げた。8月と9月は横ばいだった。
前年同月比では1.3%上昇。上昇率は9月と同水準だった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコア指数は前月比0.1%上昇。前月は横ばいだった。前年同月比では1.6%上昇と9月の1.7%上昇から鈍化した。

FRBが物価の目安としているPCEコアの前年同月比は今年、FRBの目標である2.0%上昇を下回り続けている。
10月のインフレ調整後の実質消費支出は0.1%増。9月は0.2%増だった。
個人所得は横ばい。農場経営者の所得や金利収入の減少が抑制した。前月は米中貿易摩擦の打撃を受けている農家への補助金により、農場経営者の所得が増え0.3%増加していた。

賃金は0.4%増。9月は0.1%増だった。米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と全米自動車労組(UAW)との合意に基づく賃金支払いやストライキ手当などが押し上げた。
支出が個人所得の伸びを上回る中、貯蓄は1兆2900億ドルと、9月の1兆3400億ドルから減少した。

総括

米中貿易戦争が個人消費まで影響していることが今回の結果でわかる。
市場の予想は上回っているものの、低迷しているのは明らかだ。

しかしながら、NY市場は最高値を更新しているという相反する結果になっており、如何に期待だけで株価が上昇しているかが見てとれる。

今の期待は米中通商協議の第一段階合意であるため、これが崩れる、または材料出尽くしとなると株価が急落する可能性が高い。

もっとも、これで急落した場合は絶好の買い場でもある。

ロイター 11/28 米7─9月期GDP、2.1%成長に上方改定 設備投資底入れも

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