札幌ドームは解体すべきか

日本ハムファイターズが出て行ってからの札幌ドームは、良いニュースを聞くことがない。

見通しのない黒字や、約10億円も掛けた割には誰も使うことのない暗幕モード、そもそもの札幌ドーム関係者の考え方etc…

詳細は既にインターネットにいくつも挙げられている通りだが、札幌ドームはこのまま存続すべきか、もしくはしかるべき時に解体すべきなのか、自分なりに考えた。




札幌ドームの解体は必要か?

現時点で使用している団体

札幌ドームのスケジュールはここで確認できる。

スポーツチームとしてはコンサドーレ札幌が恒常的に利用するぐらいで、他は高校・社会人野球の大会などで使用しているようだ。
しかし、それ以外の稼働日数は少ないといえる。

約10億円の税金を掛けて作られた新モードも、応募件数は極めて少ない。
2万人程度の規模のイベントを想定して作られたと推測されるが、そのイベントが行われないのでは無用の長物といえる。


解体の是非

少しでも収益を確保するために、命名権を売り出しているようだが、現時点で買い手は誰も見つかっていない。

上述した新モードも、実態は暗幕をつけるだけであり、税金の無駄遣いと揶揄されても仕方のない話である。

日本ハムファイターズがここを使わなくなった今、解体すべきだという声が出てきている。
しかし、その解体費用も莫大な費用が掛かってしまうようだ。
記事に具体的な数字は出ていないが、同規模の国立競技場と比較し、おそらく同程度以上掛かるだろうということだ。

もちろん、解体すべきではないという考えもある。
普段使いはしないものの、避難所として使用することや、今後行われるであろうビッグイベントのために残しておくというものだ。
しかし、避難所として利用するということは、裏を返せばそれ以外の用途がほとんど見いだせないということでもあるし、ビッグイベントに関しても、不確実なものに期待を寄せるわけにもいかないだろう。


跡地は有効活用が可能なのか?

札幌ドームの区域

それでは、解体した場合、土地の有効活用は可能なのか?
結論から言うと、制限があるが可能である。

札幌ドームは市街化調整区域内にあり、建築の許可が不要なものもあるが、大抵は必要になってくる。
商業施設はまず建てられないと考えたほうがよいだろう。

市街化調整区域にはスプロール化現象(無計画な開発によって景観が損なわれること)の抑制も兼ねているので、計画を変更しない限りはむやみに開発されることはない。


敷地の有効活用法

上記の点を考え、札幌ドームの敷地は有効活用できるのか、インターネットに上がっていた案も含め、いくつか列挙した。

競馬場にする

広大な敷地を利用して、競馬場にしてしまおうという考えが、インターネット上の競馬ファンのみならず、2006年時点での札幌商工会議所にもあったそうだ。

これは、競馬場が農林水産省管轄であり、同地域に北海道農業研究センター(農林水産省管轄)がある為、出てきた案といえる。

ただし、札幌ドームの敷地面積は305,230m²とされており、そのままでは競馬場を作るには面積が不足している。
札幌競馬場の敷地面積は情報が不足している為詳細は不明だが、52万m²とされている。
G1を開催するとなれば、それ以上の面積は間違いなく必要である。
周囲の土地を買い取れば不可能ではないが、その金はどこから捻出するのだろうか?

ばんえい競馬場や、いっそのこと競輪場にするという手もあるようだが、いずれにしても非現実的といえる。


縮小して新しい箱物にする

今ある建物を解体し、名実ともに20,000人程度収容できるスタジアムとして生まれ変わらせる、という考えだ。

ただし、この案を採用したとして、改修の間はどこでプレイするのかといった問題が噴出することや、スポーツの性質上、稼働日数が少ないデメリット自体が解決するわけではない。

コンサドーレ札幌の聖地ともいうべき厚別競技場を改修して、そこをホームにできれば問題はないのだが、その分の工費も当然に必要となる。
何より、2026年度から秋春制が始まる関係上、全天候型にする必要が出てきてしまう。
現在行われている改修の詳細は不明だが、少なくとも上記の課題をクリアするようなものではなさそうだ。


■何もせず、国へ返却する

施設を建てることは諦めて、農林水産省へ返却するのも、国が認めるのであれば可能だろう。

市街化調整区域に新たな建物を建てるよりは実現できるかも知れないが、地元の人間がそれに賛成してくれるかどうかが課題となる。
少なくとも、豊平区・清田区の町内会会長らから、
「周囲の北海道農業研究センターの土地を買い取って有効活用すべきだ」
との声があると、地域メディアの記事にはそう記載がある。

https://hiromaaru.org/archives/18910


解体すべきか存続させるべきか

私としては、これ以上維持費等の費用を増やさないように、早めの解体をした方が良いのではないかと考えている。

勿論、ここをホームとしているコンサドーレ札幌には、例のスタジアム基準を満たした施設が必要なので、それを用意してから解体がベストだろう。

解体後の土地だが、市街化調整区域内である以上、再開発には制限がある。
行政側が計画の変更を行わない限りは、取り壊して新しい建物を、というわけにはいかない。

景観も考慮に入れるならば、農地にするなり、自然に還してやったほうが、丸く収まるのかもしれない。

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