一つ便利になると三つぐらい不便になる

私の友人が言った言葉
「一つ便利になると、三つぐらい不便になる」
ふと言った言葉だけれど、この言葉が私の頭をよぎる時私は心がギューッと痛くなっている。

今日も、この言葉が通り過ぎたのでその事を書いておきます。
ALSという病気の患者がテレビに出ていた。
名前くらいは聞いたことがあったし、ドラマでも主人公がALSになってからどうなっていくのかを取り上げたものを見た事もあった。その程度の知識は私にもあった。

ALSになって三年目の男性が車いすに固定された状態で出てきた。
喋る事も出来ず目の視線だけで奥さんに言葉を読み取ってもらう方法で会話をしていた。一文字読み取ってもらうのも50音の中から探すので時間がかかる。
喋れない旦那さんも、読み取る奥さんも、大変だ。
気分のいい時なら問題もないだろうけれど、どちらかが疲れて居たり機嫌が悪かったりしたら視線を読み取る言葉は、きっと面倒に感じるだろう。

番組の司会者がお笑い芸人と言う事もあって、旦那さんにツッコミを入れると旦那さんの目が笑っている。言葉を一文字一文字確認するよりもずっとハッキリと分かるゲラゲラゲラ

旦那さんは音楽家と言う事でボイスレコーダーで撮っておいた物は自分の言葉ではなくて自分の楽器の音だった。その音を出す方法が足の親指を使う方法。ほんのわずかな動きに合わせて音楽が流れる。一音一音自分で作った音を押す事で音楽になる。音楽家がALSになると言葉より音楽が大事と言う事を表現していた。

何人かインタビューをされていた人の中に、ALSになって1年目の奥さんが出てきた。ちゃんと喋る。電動車いすでインタビュー室に入って来た。
旦那さんと娘さんは、入室すると即座に出て行ってしまった。一人でも大丈夫というのが分かる。

病気発症3年で喋れなくなって車いすに乗っても固まった体で全てをしてもらわないと生きていけなくなる。と言うのが私の中で実感しました。
何て早い病気の進行なんだ!!!ドラマでやっていた事は本当だったんだ。1年目と3年目でまるで別人になってしまうかのような外見。

気丈にふるまう奥さん、逃げ回る旦那さん、泣きじゃくる娘さん。

同じ病院内でインタビューを行っているので、発症3年の旦那さんと発症1年の奥さんは、顔見知りなんだろうな。2年後にあーなる。考えられないだろうな。私だったら信じられない。きっと私だったら自死を選ぶだろう。

こんな事を考えるとき私の頭をよぎるのは
「一つ便利になると三つくらい不便になる」です。
病気が治らないと言う事を知らない人が多い。その人たちが共通して言う言葉は「まだ、〇〇治ってないの?」という毒の言葉。

この毒の言葉が、多くの人に広まってしまった理由を個人的な感想として思うのは、病人が少ない事。病人は隠れていると言う事。医療が沢山あると言う事。
これが、一つ便利になるとという部分。
健康で働いている人が大多数のこの国では、病気になる事は負けなのかもしれない。負けないために病気に打ち勝ってまた、健康で働くと言う世界。
これが、三つ不便になるという部分。

裏を返せば、病人は隠され、病人は負けて、病人は動けず、どうしたら良いんだと思い悩む日々を送ると言うのが今の世界。

寿命が延びれば良いと言うわけでもないと感じる。

これは、個人的な感想です。

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