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足首の硬さとパフォーマンスの関係性 【専門家向け】

「足首って硬いほうが良いんですか?」
この問いについて今回はお答えを致します。

足首の硬さをまず大きく2つに分類します。

  • ストレッチトレランス(ストレッチ痛に対する耐性)

  • 筋腱のスティフネス

スティフネスというのは伸びづらさを示す変数で、スティフネスが大きい=伸びづらい=硬いということになります。

足首のスティフネスの構成要素

  • 腓腹筋

  • ヒラメ筋

  • アキレス腱

足首の硬さとパフォーマンスの関係

  • アキレス腱が硬いことによるRFD(瞬時に力を伝える能力)やRSI(バネのように跳ねる能力)の増加

  • ランニングエコノミーの向上

足首が硬い方が効率よく走れる
➡️腓腹筋の硬さではなく、アキレス腱の硬さが重要になる
➡️腓腹筋・ヒラメ菌は柔軟性があり、アキレス腱はスティフネスが高いというのが重要になります。

足首の可動域と瞬発力の関係性

  • カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)のような遅いSSCのパフォーマンスについては足関節の背屈ROMが大きいほうが有利

  • ドロップジャンプ(DJ)のような速いSSC課題だと、背屈ROMが小さいほうがジャンプ時のRFD(力の立ち上がり率)が大きいこと

この研究ではRSIは報告されていませんが、ジャンプ高と動作時間を見た感じだとRSIも足首が硬い選手のほうが大きそうですね。実際、アキレス腱のスティフネスが高いほどドロップジャンプの接地時間が短かったほとも報告されていますし(Abdelsattar et al., 2018)。

・Pure Concentric  (反動を用いないスクワットジャンプなど)
・Slow SSC  (CMJなど反動を用いるもの)遅いSSC
・Fast SSC  (ドロップジャンプなど下肢の大きく曲げずに落下の反発で跳ぶもの)速いSSC

アキレス腱を硬くする方法は?

Burgess(2007)
プライオメトリクスとアイソメトリックトレーニングの介入によって、どちらの群でも腱のスティフネスが向上したことを報告しています。

Albracht & Arampatzis (2013)
足関節底屈のアイソメトリックトレーニング(足首を固定した状態でつま先を倒すような力を出すトレーニング)でアキレス腱のスティフネスが増加し、ランニングエコノミーが向上したことが報告されており、腱もトレーニングの介入で変化するということは間違いなさそうです。

膝の怪我を防ぐためには足首の柔軟性が必要

Backman (2011)
またパフォーマンスとは異なる観点ですが、足関節背屈可動域が小さいほど膝蓋腱炎の発症率が高かったことが報告されています。

まとめ

✓足関節背屈ROMは大きいほどCMJのような遅いSSCのパフォーマンスは高い
✓足関節背屈ROMが狭いほうがドロップジャンプのような速いSSCのパフォーマンスが大きい
✓ランニングエコノミーやRSIの高さと関連があるのは下腿の筋ではなく腱の硬さ
✓速いSSCの能力(RSI)やランニングエコノミーを高めようと思ったら下腿三頭筋ではなくアキレス腱を硬くすべき
✓腱のスティフネスはアイソメトリックトレーニングやプライオメトリクスで向上する
✓足関節背屈ROMが小さいと膝蓋腱炎のリスクがある

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