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顔が小さい話

顔が小さい。幼少期はそう言われても(そりゃまあまだ子供ですし……)とか、未発達な知能ゆえに(ヒトの顔に大きいとか小さいとか違いがあるの?)などと不思議に思いながらぼんやり聞き流していた。さらに中高生の頃には写真に映る時『私より少し前に出て』、雑談中に突如『ちょっとアイアンクロー試してみていい?』と言われていても(なっ……どういうこと??)と困惑するもののやはり実感を持たないまま過ごしていたけど、手足や胴体がにょきにょき伸び、成人して数年後くらいに(なんか顔面だけ育ってない気がする……)と、ようやく自らの異質さに違和感を覚えるようになり、神妙な面持ちで家族に『みんなからずっと顔が小さいって言われてたの、分かってきたかもしれん……。』と打ち明け、どうにも鈍くて残念な奴だと呆れられたのでした。

自覚を得てからも特に心構えが必要な訳ではなく、指摘されればハァそうみたいなんスよーと返すだけなんですが、時には心に残るフレーズで評されて感激することもあって、たまに思い出して笑いたい自分のために、良かったやつを置いておこうという魂胆で今こちらに来ております。

・コスメカウンターにてシェーディングで私もシャープな輪郭になったりするのかしらと話したところ、『顔の余白自体が少なくて削る輪郭がありませんね……顔面がパーツのみになってしまうかもしれません。』

・妹とテーブルで向かい合って食事中唐突に人差し指と親指で輪を作って見せられ『今日はこれくらいに見えるわ』

・待ち合わせ場所に相手と目があった状態で駆け寄って行ったあと『ごま粒がちょっとずつ近づいて豆粒になるアハ体験』

・美容院にて『来る度に小さくなってない?』

・妹『羨ましく感じるよりも先に笑けてくる小ささ』

・整骨院で首を伸ばして緩めるために頭を支えてもらう時 『エッ頭軽っ?!』

・コスメカウンターにて『私の片手でここまで顔隠れるんですか!?』『ブラシほとんど動かしてないのに全顔に塗れてる……』退店時『なんかずっとイジっててすみませんでした……』

・コロナ禍、職場で手持ちがなくてやむを得ず普通サイズのマスクをつけている時『横から顔全部見えてるんで防御力ほぼ0では?』『小さめサイズの小顔効果を謳ってるマスク付けてたのに外した時の方が小さいの、なんか混乱するというか不安になるからやめて?』

・眼鏡店にていろいろ試着中に連れの人『だいたいオニヤンマになるね!』『貴様に一般規格サイズが気軽に合うと思うなよ……?』

今思い出せるのはこれくらいかな。父よ母よ、面白い顔に産んでくれてありがとう。また新たなお言葉をいただいたら、しずかに編集しようね……。

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