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Day-1:投薬 | 2024年夏の新型コロナ

Day-1に至るまで(前回の話)

日帰り登山の後、疲労感、体の痺れ、発熱、悪寒に襲われ夜間病院へ。
検査ですぐ新型コロナ陽性と判定されたが、夜間病院には治療薬はなく、解熱剤を渡され家に帰った。


1. ひとりの朝

目が覚めると、喉の痛みが強くなっていた。昨日はかすかにヒリヒリしていたが、今日ははっきりとヒリヒリしている。熱を測ると、37.6℃。高熱ではないが、平熱でもない。
それより、家にひとりだ。

早朝、妻は家を出ていた。私が陽性で、妻は濃厚接触者となったからだ。
幸い親族のひとりが、今不在で家を空けているので、泊めてもらえると、LINEで教えてくれた。さすがは私の妻、迅速だ。
私もやる。何をしてでもこの新型コロナに勝つ。最速で。
そして、昨晩の調べ物を復習しながら、病院の受付が始まる時間を待った。

2. 今でも目指すは「発熱外来」

妻が使っていた「濃厚接触者」も、私が探している「発熱外来」も、もう一昔前の用語になっている感がある。2023年5月8日、新型コロナの5類移行でコロナの「特別扱い」は公式になくなったことになる。
しかし、このDay 1に目指したのは「発熱外来」だった。
病院のナビサイトで、近所で発熱外来をやっている病院に狙いを絞った。
その病院の専門は、透析。しかし発熱外来もやっているらしい。
いつものように「なんとなく」気になったので、電話で聞いてみた。

「昨晩コロナの陽性判定が出て、治療薬が欲しいです。診ていただけますか」

受付の人は、いくつか質問をした後、一度保留になった。確認をしてくれるようだ。

「はい、当院で対応可能です。ただし、ご注意事項があります」

すんなり発熱外来の予約が取れた。まずはステージ1をクリアといったところ。
思えば数年前、急性前立腺炎で救急車を呼んだ時は、高熱でコロナ疑いとなり、受け入れてくれる発熱外来が見つかるまで2時間くらいかかったものだが。
安堵して、注意事項の説明を聞く。

3. 注意事項

・マスク着用で来院すること
・当院はマイナ保険証未対応なので、従来の保険証を提示すること
・コロナ治療薬は高額かつ、当院は現金払いのみ。まとまった現金が必要になる
・次の診察枠は9:30am

とのこと。最初の3つは全て対応可能だが、最後の「9:30」がチャレンジだった。その時、すでに9:10。急ぎつつ、かつ忘れ物がないよう気をつけて病院に急ぐ。案の定、スマホを忘れてすぐ引き返した。

4. 診察と誤解

その透析に強い病院は、今まで何度も前を通ったことがあった。「いろんな病気でいろんな病院に行くけど、さすがにここには来ないだろうな」と思っていたが、本日初来院。
入り口を入るとすぐ左手に、透明ビニールで囲われた「ブース」があり、その中で座って待った。張り紙があり、発熱者は必ずこの中で待つこと、透析者に何らかの病気を伝染させるリスクは許容できない、との事だった。納得した。
初診の時に書く書類も、保険証の受け渡しも、全て「ブース」の中で行った。

すぐに、ブースのすぐ横の診察室に通され、問診が始まった。
問診の中心は、新型コロナの現在の症状と、それに加えて私のおくすり手帳。

「心臓のお薬が出ていますね」
「はい。2016年に心臓弁膜症の手術を受けました」

「どの部位?」
「僧帽弁と三尖弁です」

「現在は投薬のみですね」
「はい、そうです」

他の病院でもやりなれた問答なので、熱があっても普通に答えられた。
しかし、ここで担当医から疑問の声が上がった。

「あれ、手帳はお持ちでない?」
「いいえ」

沈黙。意味はわかるので、自主的に補足する。

「心臓の手術は、弁形成術でした。人工弁は付いてなくて、障害者手帳は交付されていません」
「わかりました」

医師からそれ以上のコメントはなかったが、おそらく、新型コロナでわざわざ高額な治療薬を求めて来るということは、軽視できない基礎疾患の持ち主だと思われたのだろう。自分でもそう思っているが、人工弁の人ほどではない。
医師はひとしきりカルテに記入すると、手を止め、
「ゾコーバという薬を処方します」
と言った。

5. コロナ治療薬

塩野義製薬「ゾコーバ」(XOCOVA)、
新型コロナウィルスの治療薬。
初日は3錠まとめて服用。2日目からは1日1錠。合計5日分、7錠。

昨晩、ネットでゾコーバについて調べたところ、
「発症後72時間以内に服用すると」という但し書きとともに、

  • 体内でウィルスの増殖を防ぐ

  • 症状が収まるまでの時間が平均24時間短くなる

  • 後遺症の発症リスクが減る

  • 副作用は少ない

と、いいことずくめなように書いてあった。
ただし高額。
最初の電話ですでに言われて、問診の時にもまた言われたが高額。
政府の新型コロナ支援策は2024年3月末で終わり、上限9000円を突破する。
他の薬も含めての支払いは、16940円だった。

これは高いが、高くない。
私にとっては大金だが、これを惜しんで夏季休暇以降も欠勤せざるを得なくなったり、後遺症に長期間苦しめられたりすることを考えると、払う方がいい。

6. その他の薬

ゾコーバに加えて、他の薬も処方してもらった。

  • ムコソルバン 痰を出しやすくする

  • ツムラ葛根湯エキス 血行を良くし、炎症をおさえ、熱を下げる

  • カロナール 熱を下げたり、痛みをやわらげる

ノドの不調など、対症療法のための薬といったところだろう。
これでDay 1からDay 5までの準備はできた。
さあ、家に帰ろう。そして何でもいいから食べて、薬を飲もう。最速で。



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