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狂愛ナ夢ノ《アリス》−始まりの丘−

【シリーズのあらすじ】(視聴者様に伝えるかはお任せします)
 不思議な能力を持った主人公(視聴者様)は、その創造の能力に気づかず生活していた。しかし、その能力はしだいに大きくなり、無自覚のまま暴走させてしまう。
 眠りにつき目覚めると、そこは知らない世界だった。
 そこは昔聞いたことのある物語に似た世界。
 記憶を失った主人公は、アリスとしてこの世界に君臨する。

【この作品のあらすじ】
 始まりの地。丘の上。長閑な場所。
 優しい姉と、可愛い猫と暮らすアリス。
 けれど、夢に現れる、アリスを必要とする白兎。
 アリスの日常が崩れていく…。

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利用契約について https://note.com/merrow15/n/n6802d670f4df

性別変更不可。人数変更不可。

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《キャラ説明》

『アリス』性別不問
シリーズ主人公。視聴者様。

『姉』♀
アリスの姉という存在。
アリスにとっては優しくて温厚。

『ダイアナ』性別不問
アリスと姉が飼っている猫。
向こうの世界では話すことができる。

『白兎』性別不問
アリスを向こう側に誘う案内人。
夢に現れる誘ってくる。

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【本編】

(夢のような空虚な場所)

白兎
「ああ…愛しいアリス。
 僕達の可愛い可愛い、愛しのアリス。
 早く、僕達のところまで堕ちてきてください…。
 早くあなたに会いたい…そして、いつか…僕だけのアリスになってください…。
 ねぇ、愛しのアリス」

(間を空けて)

(夢と現実の狭間。
 広い草原の真ん中に1本の大きな木がある。
 そこに横たわるアリスと白い猫)

ダイアナ
「…すー…すー…」

(さわさわと柔らかい風が吹く。
 ここまるで天国のように穏やかで心地よい。
 そこに1人の綺麗な女性がゆっくりと近づいてくる)

ダイアナ
「すー…すー………んにゃぁ?」


「おはよう、アリス。
 ダイアナもおはよう」

ダイアナ
「にゃ〜」


「よく眠っていたわね。
 この丘はとても心地よくて、つい眠ってしまう気持ちはとてもわかるわ」

ダイアナ
「にゃ〜お」


「ふふ。ダイアナも心地よかったのね」

(姉、ダイアナを撫でる)

ダイアナ
「(嬉しそうに喉を鳴らす)」


「2人はとっても仲良しさんだから、なんだか妬けちゃうわね」

ダイアナ
「にゃぁ…」


「あら、怒ったり拗ねたりしているわけではないのよ」

ダイアナ
「にゃ〜」


「大丈夫よ。
 私はアリスをあいしているし、ダイアナのことも大好きなのよ」

ダイアナ
「にゃぅ〜」


「うふふそうね。ダイアナもアリスのこと愛しているし、私のことも大好きよね」

ダイアナ
「にゃん!」


「いい子ね。よしよし…(ダイアナを撫でる)」

ダイアナ
「にゃぁ…(嬉しそう)」


「…あら、私も一緒にお昼寝を?
 ありがとう。それはとても魅力的で素敵な案だわ。
 でも、残念。私はあまり眠たくはないのよ。
 だからまた今度、参加させてもらうわ」

ダイアナ
「にゃぅ〜」


「うふふ。アリスはまだ、ふわふわしているようね。
 眠いのなら、もう少し寝ていてもいいわよ。
 ここはとても長閑(のどか)で、平穏な世界だもの…。
 身を委ね、心のまま安らぐといいわ…。
 …おやすみ、アリス」

(またも夢のような空虚な世界)

白兎
「ああ…アリス。愛しい僕達のアリス。
 君はどうして僕達のところへ来てくれないのですか?堕ちてきてくれないんですか…?
 君が求めるのは、こんな平穏な世界?
 …そんなはずはない。
 君が望むのは、こんな世界ではないはずです!
 そう…この世界は、君には相応しくない。
 …早く、早くこちらに堕ちてきてください、アリス。
 早く………早く、早く…君に会いたい…愛しのアリス…」

(アリス、姉の膝枕の上で目を覚ます)


「アリス…アリス…(寝ているアリスを起こす声)
 アリス。…大丈夫?
 なんだかうなされていたわ…。
 この世界で、うなされるなんて、一体…。
 夢?夢を見たの?…白い、うさぎ…?
 ………そう。
 それは、きっと悪い夢。いいえ。そんなものは早く忘れたほうがいいわ。忘れてしまいなさい。
 …この世界に、悪夢なんて必要ないものよ」

ダイアナ
「にゃぁ…(心配そうな声)」


「…さて。気を取り直してお昼ご飯にでもしましょう。
 すぐに用意して持ってくるわね。
 せっかくですもの、ピクニックのようにここで食べましょう。
 食べやすいようにサンドイッチを用意してくるわね。
 アリスとダイアナは、ここで遊んでいてね」

ダイアナ
「にゃぁ〜」


「すぐ、持ってくるから。起きて待っていてね。
 すぐ、持ってくるからね」

ダイアナ
「にゃっ!」

(場面代わり、キッチン。
 サンドイッチの準備をする姉)


「ハムにバター。
 美味しいお野菜もたっぷりに。
 たまごサンドも忘れず。
 あ、そうだわ!
 甘くて美味しい果物も用意して…」

(ゆっくり後ろに現れる白兎)


「…何しに来たのかしら」

白兎
「別に。様子を見に来ただけですよ」


「…こんなところにまで偵察にくるなんて、余裕がないのかしら」

白兎
「余裕がない…ねぇ」


「夢にまで出てくるなんて、なんて卑劣で姑息で下品なんでしょう。
 やり方が汚いわ」

白兎
「手段なんて選んでいられる立場でもないでしょう」


「そうね。あなた達はとても必死なのだものね」

白兎
「それは貴女も同じでしょう」


「何かしら、その言い方は。
 まるで、私が手段を選んでいないように聞こえるわ」

白兎
「選んでいるんですか?」


「選んでいるわよ。私は、ちゃんと選んでる。アリスを思って、あの子のためになることしかしていないわ。
 私利私欲のためにしか動けない貴方達と違い、私達はあの子の気持ちをちゃんと考えているわ!」

白兎
「本当に、アリスのためですか?
 僕にはどう見たって、貴女こそ私利私欲のために動いているようにしか見えませんが」


「そう見えるのは、貴方がアリスをよく知らないからよ。
 私とあの子は姉妹(きょうだい)なのよ。あなた達とは違うの」

白兎
「…貴女という人は、本当に愚かですね」


「なんとでもいいなさい。
 お前のような中途半端な存在は、何をしたってあの子の愛を勝ち取ることなんてできないわ」

白兎
「そうですか?」


「ええ、そうよ。そうに決まっているわ。
 だって、お前はあの子に出会うことすらできないんだもの」

白兎
「出会っていますよ、何度も」


「たかが夢の世界でしょう?」

白兎
「その夢に嫉妬したのは誰ですか」


「誰が嫉妬なんて…!!
 …まぁ、いいわ。
 そうやって醜く足掻いて、思い上がって、1人で勝手に堕ちていけばいい。
 彼女に触れるどころか出会うことすらできないお前らは、暗闇で指を加えてあの子が幸せになる姿を一生ただ見ていればいいのよ!
 私が!あの子を幸せにする姿をね!
 うふふふ………」

白兎
「貴女も、立派に狂っていますね」


「あなたと違って私はあの子と大事な約束をしているの。早くお昼ご飯を持っていかなくちゃ。私を待っているわ。あなたと違ってね。
 それじゃあ、暗闇の世界にお帰りなさい。真っ黒で可愛くないうさぎさん」

白兎
「…余裕がないのは、どちらでしょうね」

(丘の上、再び。
 うつらうつらしているアリス)

ダイアナ
「にゃー」


「お待たせアリス。
 ごめんなさいね、少し遅くなってしまったわ。
 …あら、まだ少し眠たいの?
 でもダメよ、これからご飯なんだもの。
 今は起きて、お昼にしましょう。
 ほら、見てちょうだい。
 あなたの好きなものをたくさん詰めてきたのよ。
 さぁ、一緒に食べましょ!
 ダイアナも、ね!」

ダイアナ
「にゃん!」


「白兎…?…なんの話かしら。
 夢の話は今はいいは。
 それよりもお昼の時間よ」

ダイアナ
「にゃぁ…」


「怒っているわけではないの。
 ただ、そんなくだらない話はやめてほしいのよ」


「にゃ…」


「違う…違うの!
 あなたのことを否定しているわけではないのよ?
 ただ…そう、夢の話は今は別にしなくてもいいんじゃなないかしら。
 だって、ただの夢…そう、ただの夢なの。
 数日もしたら…いいえ、数時間もしたら忘れてしまうようなこと。そうでしょ?
 そんな話をしたところで、なんにもならないわ。
 今はただ、目の前の事をもっと楽しみましょう?ね?アリス!」

ダイアナ
「にゃぁ…(心配そうに姉を見つめる)」


「ほら、見て!
 このハムには隠し味にバターがついていてね」

白兎(声だけ)
「アリス…」


「こっちのたまごサンドは、具をたくさんいれておいたわ」

白兎(声だけ)
「…アリス…」


「こっちのサンドイッチには、果物が入っていてね」

白兎(声だけ)
「ねぇ…アリス…」


「とっても甘くて、ジューシーなのよ!」

白兎(声だけ)
「アリス…」


「ほら、どれも美味しそうでしょう?」

白兎(声だけ)
「早く…」


「ね、そうでしょう?」

白兎(声だけ)
「早く、こちらへおいで…」


「アリス!」

白兎(声だけ)
「アリス(誘うように)」

(ふっと意識がなくなるアリス)


「…アリス?…アリス!!」

(空虚な夢のような世界。
 目の前には白兎が立っている)

白兎
「やぁ。アリス。
 やっと出会うことができましたね。愛しのアリス。
 貴方に会えることがこんなにも嬉しく、歓喜のあまり、泣いてしまいそうです。
 ああ、この感情をなんと言ったらいいか…。
 兎にも角にも、こちら側へようこそ。アリス」

(人形になったダイアナがやってくる)

ダイアナ
「はぁっ…はぁっ…アリス!」

白兎
「おや。招かざる客ですね。
 わざわざ一人で来たんですか?ご苦労なことです」

ダイアナ
「あちらとこちらに干渉できるのは、ボク達だけだろう。白兎」

白兎
「そうでしたね。あの女は、こちら側にはこられない。
 今では、指を加えて見ているだけしかできないのあの女になったわけですね(くすくすと笑う)」

ダイアナ
「あの人を馬鹿にするな!」

白兎
「たかだか飼い猫が案内人に噛み付くなど、身の程を知りなさい。
 貴方方は捨てられたのですよ。
 アリスは、我々側を選んだのです」

ダイアナ
「まだそう決まったわけじゃない!
 アリスは僕達と同じで、どちらにでも存在できるんだからな」

白兎
「同じではありませんよ。何を思い上がっているんですか。たかが猫の分際で。
  …猫は猫でも、あの奇妙に笑う猫の方が幾分かは頭はマシのようだ」

ダイアナ
「黙れ!そんな戯言どうだっていいんだ!」

白兎
「戯言だなんて。
 アリスの存在を否定するつもりですか」

ダイアナ
「そんなつもりで言ってるんじゃない!」

白兎
「やはり頭が悪いですね。話しにならない…。
 せめて会話をしてください。無駄に疲れます」

ダイアナ
「話しをややこしくしているのはお前だろ!」

白兎
「…もう、話したくもないですね」

ダイアナ
「逃げるな!アリスを返せ!!」

白兎
「返せ、とは。人聞きの悪い。
 アリスは誰のものでも無いんですよ。今は、ね」

ダイアナ
「アリスが居るべき世界に返せと言っているんだ!」

白兎
「アリスがいるべき世界は、アリスが決めます。
 あなたが決めていいことではありませんよ」

ダイアナ
「ううっ…うるさい!
 とにかく…とにかく返せ!返せよ!」

白兎
「だから、アリスがいるべき世界はアリスは決めるんです。
 僕に言わないでください」

ダイアナ
「ううぅ………。
 あっ、アリス。僕達のもとに、戻って来てくれるよね…?」

白兎
「おやおや、どうやらアリスはあなたのことをご存じないみたいだ」

ダイアナ
「そんな…僕のこと、わからないの?
 僕だよ…ねぇ、戻ってきてよ…アリス」

白兎
「拒否されてしまいましたねぇ(くすくすと笑いながら)」

ダイアナ
「そんな…だって僕はっ…」

白兎
「ああ、そろそろ時間ですね。
 すみません。もうあちら側に行かなくてはいけないようです。残念ですが、お別れですね」

ダイアナ
「やっ…やだっ…アリスっ…いかないでっ…アリスっ」

白兎
「だめですよ、アリス。振り返ってはいけません。
 我々には、時間がないんですから」

ダイアナ
「いやっ…いやだっ…いかないでっ…ねぇ…いかないでっ…!」

白兎
「さぁ。みんなが待っています。
 行きましょう、アリス。
 …時間がない、時間がない…ふふふ…」

ダイアナ
「行っちゃだめだ!アリス!いかないでっ…アリス、アリスぅうう!」

白兎
「ふふふ…」

(丘の上、1人膝まずき泣き崩れる姉)


「そんな…。
 アリス………いかないで…アリスっ……………。
 愛しているの…あなたを、世界一愛しているのは、私なのよ!?
 私はっ…あなたがいないとっ…。
 ああっ、アリス…アリスぅぅぅ…!!!」

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