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【白杯応募】みんなの俳句大会

するすみへゆるり太玄たいげん秋一字あきいちじ


うし織女しょくじょ納屋なやうらこいのうた


あきあめ16ビートじゅうろくびーと夜想曲やそうきょく




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※注意※

以下は応募句にまつわるエトセトラです。

純粋に俳句のみで勝負したく、当初は書かない予定でした。

かなり悩みましたが、「作句の経緯や背景等も是非書いてほしい」という方もいらっしゃいましたので、ここに記します。

長々と野暮ったいことを書いてます。
不要な方はスルーでお願いいたしますm(_ _)m
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するすみへゆるり太玄たいげん秋一字あきいちじ

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IKUKOさんの記事がきっかけで思い出した、自分が好きなこと。
書道。その中でも特に好きな、墨をする時間を詠みました。

【作句のポイント】
①する墨の「する」は漢字(磨る)の方が分かりやすいです。ただ、前半部分は墨を目立たせたい。墨をすっている時のリラックス感、柔らかい感じを出したい。迷いましたが、ひらがな表記を採用しました。

②「する墨に」にするか。「する墨へ」にするか。3日くらい悩みました。「に」の方がリズム感は出ますが、響きが強い。「に」は発音する時に力が入ります。「へ」の方が柔らかい。また、墨に心を傾けていく方向性も「へ」の方が相応しいと判断しました。

③「ゆるり」には、自分のゆったりとした気持ちと、墨をゆっくりすっている意を込めました。墨はゆっくりすってこそ。急いですっても、良い色は出ません。上五の「するすみ」との響きと相性が良く、上記2つの意を表せるのは「ゆるり」しかありませんでした。

④「太玄(たいげん)」。聞きなれないことばかと思います。「心に余計なものがない。無心の境地」の意です。墨をする時間はノホホンだけじゃない。墨にゆっくりと心を重ねていく。その先には、無心の自分がいます。背筋がシャンとする緊張感。澄み切って、凛として。音もなくなります。

「太」はそのまま太字。「玄」には.「奥深くて明かりの及ばない所の色。黒」の意があります(玄米の玄がそうですよね)。この後に続く「秋一字」に効いてくるかなと思いました。

⑤「秋一字」。俳句の主役は季語ですから、ここはストレートに「秋」です。「太玄秋一字」で後半は漢字のみにすると、ちょうど「秋」が真ん中に来る。主役感が出ます。


うし織女しょくじょ納屋なやうらこいのうた

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突然ですが、私は女性です。これまで、1人称(オイラ)や無粋な発言、粗暴な振る舞い(笑)等が原因で、私はネット上で男性だと思われてきました。それに思いを馳せた時に「牛を引く織女」ってフレーズがポンと出てきて。これ良いな。他の人には出せない感がある。「織女」は織姫で秋の季語。俳句として表現したくなりました。

【作句のポイント】
①「牛を牽く」。説明不要の七夕伝説。「牽牛(けんぎゅう)」、わし座のアルタイルで有名ですね。それを擬人化した和名が「彦星」です。牛を引くのは男性の象徴。今の時代そんなこと言ったら色んな方面から叱られそうですけど(笑)、別に叱られたっていいです。「引く」より「牽く」の方が、より織姫の鼻息感が出ます。なんだコイツ。牽牛そのまま使ってるだけじゃん。結構。このメタファーでしか表せられないんだからこれで良い。

②「納屋うら」。対比感のある名詞。或いは一見関係なさそうな名詞を上五・下五に置く。効果的だな~と何となく感じていたんですが、「二物衝撃」って技法として確立されていたんですね。これはちょっと趣は違うかも知れませんが、「牛を牽く織女」という鼻息が強すぎる前半と対比感のある表現を置きたかった。七夕伝説が日本に伝来した奈良時代に納屋なんてないので(国も違うし)、これもメタファーです。人目の付かないところ、こっそり感が伝わればそれで良し。「うら」のひらがなは、下五の「うた」と呼応させました。「織女納屋裏」と漢字が続いちゃうので。

③「恋のうた」。この下五が今回一番悩みました。「頬染めて」とか「ひとしずく」とか。20候補くらいありました。最後は自分の感覚。「恋」と直接書くのはどうかな・・・と思いましたが。「オイラだってカワイイところあるんだぞ(ノシ*`ω´*)ノシ」と作者は伝えたかったようです(笑)。


あきあめ16ビートじゅうろくびーと夜想曲やそうきょく

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審査員の少年はきっとニヒルに笑っているでしょう。句切れないし。中七になってないし。16は英数字だし。俳句としての完成度はきっと低いでしょう。

【作句のポイント】
①三段切れ。「一般的には、わずか十七音の詩形では、ポツン、ポツンとリズム感のない味気ないものとなる」と、ネットの解説にありました。待て。待ったらんかい。誰が決めたのよそんなこと。三段切れ=全部×なんて、思考停止してないかと抗いたくなる。

この句に関しては、詩的にするより音楽的にしたい。秋雨前線による線状降水帯。言わずもがな、秋の雨は長く降る。夏の雨ならザッと降ってすぐに止むから句切れ入れるわよ。でもこれは秋の雨なのよ。途中で切れちゃダメでしょ。音楽(調べ)も、途中で止まったらイヤでしょ。興ざめですよ。

②「16ビートの」。俳句に相応しいのはきっと「十六ビート」です。でも、これは音楽的に特化させたい句なのです。「十六」なんて漢数字で書くミュージシャンがどこにいますか。

③「夜想曲」。ここはベタですけど、曲のイメージはショパンのNocturne No.2です。YouTubeにフジコ・ヘミングさんの素晴らしい演奏があったので貼っておきます。フジコさんの動画の力を借りるなんて卑怯者のやることですね(笑)。ただの参考資料です。

16ビートと夜想曲。音楽というフィールドは同じですけど、本来相容れない2つと考えればこれも二物衝撃の一種になるのでしょうか。

俳句としての完成度は、今回私が提出した中で最も低いでしょう。でも、結局私はこれが一番好きでした。


最後になりましたが、
白杯運営の皆さま。
審査員の皆さま。
他参加者の皆さま。
心より深謝いたします。

俳句に出会ってまだ1ヵ月の若輩者ですが、確信があります。
俳句は素晴らしい。

私を俳句に出会わせて下さり、ありがとうございました。

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