To my diary. 42「咲良の恋」

※授業で推敲したものです。 冒頭は先生の書き直しVr.も載せておきます。

【冒頭、古閑千那Vr.】

これは秘密。
私が今、同じクラスの彼に──。

「え〜、咲良、今日も居残り?」
「うん、だって絵を描かないと……」
「いつもだよね。 完成するの?」

描いているのはこの学校裏にある神社の鳥居。それを写真に撮って、模写して時間を潰すのが私の日常。

「わからないから、二人は先に帰ってて」
友達は納得のいかないような顔をして教室を出て行った。

帰宅部の私は、好きでもない絵を描いていないと彼を目で追えない。

【冒頭、先生の書き直しVr.】

これは秘密。
私が毎日、好きでもない絵を描いている理由は──。

「え〜、咲良、今日も居残り?」
「うん、絵を描かないと……」
「またぁ? いつ完成するの?」

完成はしない。
描いているのはこの学校裏にある神社の鳥居。
それを写真に撮って、模写して時間を潰すのが私の日常。

「もうちょっと。 二人は先に帰ってて」
友達は納得のいかないような顔をして教室を出て行った。

帰宅部の私は、こうでもしないと彼を目で追えない。

(ここまで)

そんな絵を彼はたまに褒めてくれる。

彼の一番好きなところは野球のユニホーム姿で、泥まみれになりながら頑張っているところ。

「頑張って」後にハートをたくさん付けるようにして言った。
でも、聞こえない声量で言うしかない。
だって、前に彼女持ちの子に告白したら、その日から避けられはじめた。
つまり、彼には現在彼女がいるってこと──。

彼に私のことを意識させる作戦1。
『彼のことを小馬鹿にする』
そうして距離感を近づけることができるはずだ。

私はお昼休みにやることがある。
それは、彼の机の落書きを見ることだ。
こ、これは!

4時間目が終わったら、休み時間に彼の所へ行く。
「さっき、掃除してる時に見たんだけど、この落書きって電車? なんか変わってるね」
これが小馬鹿にしているんだと伝われば──。

「いや、飛行機だけど」
「ひっ、飛行機!?」
え、翼が生えてないのに──。
これは撃沈だった。
彼は絵心がなかったのだ。
これがギャップ萌えってやつか!?
彼は無意識に私を萌えさせた。

彼に私のことを意識させる作戦2。
『彼と仲のいい友達のことを褒める』
これをすることで、私に対する好感度はグッと上がることだろう。

今だ、彼が見てる。
「ねぇ!」
「ん? なに?」
友達に声をかけたはいいが──。
「えっ……と……」
友達の周りを見渡した。
な、なにか──ある──はず──。
友達の体を上から下まで、なにかないかと探した。

「その、靴下、かわいいね!」
「あっ、これ? 今日は妹のと間違えちゃったんだよ」
だよね。
なんで、マイメロなの──って思ったもん。
片方はキティちゃんだし、妹さんの好みなのね。
結局、彼以外の男子の魅力的な部分など見つけられなかった。

今日の放課後も私は居残りする。

「ねえ、咲良って変わってない?」
「あ〜、それ、ずっと前から思ってた。 可愛いんだけどね」
「たまに自分だけの世界に入っちゃってるし、つか、マジ眠いんだけど、早く帰ろ」
「私も〜、とか言いながら夜更かしね」
「だねっ」

先日、私は彼のために髪を切ったし、“クソ”とか“マジ”とか汚い音葉を使うのやめた。
彼は素敵すぎて目が離せない。
いつか、彼も私の魅力に気づいてくれる。
そんな日が待ち遠しい。

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