To my diary. 35「A picture invites」

君の絵を綺麗だと思うたび、僕は君を嫌いになった。
君だけじゃない、僕自身もだ。

最悪だ、今日は特に。
なんだろう、ほら、才能の差を見せつけられてる感じで。
君の絵は綺麗すぎてか、僕にはこれがいいのかよくわかんなくて泣けてくる。
才能を欠けさせて、その欠片を拾ってやりたい。

僕の絵はどうしてこんなに汚いんだと思う?
それはきっと僕自身が汚すぎるからであって、君の絵が綺麗だなんで認めたくない。
普通だと思いたい。
思わせて。

この気持ちは一日経った今日でも変わらない。
ただの嫉妬。
どうして僕は君の絵を綺麗だと思ったの?
汚い僕は当分知ることもないと思う。
明日もきっとそう思う。

君を蹴落とすことばかり考えている。
直接ではとても言えたもんじゃない言葉を毎晩毎晩、独り言として放っている。

でも、君にはそのままでいて欲しい。
ずっとずっと変わらずに、その絵の才能を僕じゃない誰かにも見せびらかして。
そんで、君が色んな人から嫌われればいい。
そうすればきっと……僕も。

いや、そんなんじゃ楽にならないだろうけど。
もしも僕が自傷行為で死にかけたなら。
それは全部全部、君のせいだと先に言っておこうか。
そして君はしらを切る。
それでいいんだ、なにもかも。

まぁ、言いたいことはこれだけだ。
君のことが大っ嫌いだ。
君なんか消えてしまえばいい。

……僕の方が早かったけど。
結局、才能は奪えなかった、君から色々盗んだっていうのに。
僕はただ、悪い人になっただけ。
そう、泥棒に。

もう誰も君の才能を盗ませないように、僕の時みたいに防衛をしっかりしといてよ。
君の才能、羨ましい。

君の絵になってやりたいくらいだ。

もっと多くを盗めるかもしれないから、今日の夜、君に会いに行くよ。
なにもかも奪いね。

叫んでも無駄。
ていうか、君はいつも冷静だったからこんな大声は初めて聞いたな。
叫ぶまもなく殺してやる。

(以上、人の才能に嫉妬し、その才能に惚れた男の話)

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