To my diary. 41「Love or love」
私にとって彼は特別だった。
周りの男の子など、私の目には映らない。
野球部だった彼のユニホームは長袖、長ズボンだというのに、褐色のその肌はさらに魅力的に見せているだけだった。
綺麗な目は私に癒しを与えて、私のいい部分を見透かしてるようで、汚いものなど見たくないと言わんばかりの純粋さだ。
まだある。
不器用さが愛おしかったり、私が汚してはいけない存在だと思ったりした。
一見、かわいそうな奴に見えるかも知れないが、全くそんなことはなかった。
無理をしているわけでもない、自分が彼には勿体無いとわかっていただけだ。
この頃から既に私には自己完結癖が、備わっていたんだな。
初めて、彼の周りにいる女子に嫉妬したのだと気づいたときはそれはもう、びっくりだった。
私ってこんな性格をしているのだと──怖くもなった。
最悪だ。
ますます、自分は彼には向いていないと思わされた。
彼が最低な人だったらと思うけれど、そんな人だったら好きにはなっていなかったのだろう。
悔しい、すごく悔しくて平然とする。
それが、何も疑問を抱かせずにそばにいれる唯一の方法だと思っていたから ──いや、違った。
結局、離れていった。
私から? 彼から?
意地になっていなかったら──と、考える。
当時は何がいけなかったのかわからなかった。
「好き」だと告白をして振られ、自分の居場所がなくなってしまうのが怖かったのなら、そんな馬鹿みたいなことを考えている自分を認めて、さっさと告れば良かった。
彼が、彼だけがどうしてこんなにも綺麗に見えていたのか、わからない。
彼に悪い部分などあったのだろうか?
好きだという理由から、そんなとこに目を向けていられなかった。
なぜなら、この気持ちが "恋" なのか "愛" だったのかは──そんなの知る由もない。
それが初恋という甘酸っぱいものだからだ。
当時は甘さや酸っぱさなど感じられずに、苦しくてもがいていただけだった。
知れたところで、なんになるというのだ。
臆病者の私は知ったところで、どうにも出来ずに終わらせてしまうだろう。
現世でもそうなら、来世でも──。
彼に想いを寄せている時は、こんなことしか考えていなかったと思う。
現在、17歳の私にとったら、最近のように感じる初恋は美化しがち──たとえ、美化された思い出でも大切にする。
しなきゃいけない。
そこには彼しか映っていないから──。
この恋に優る恋など、この先きっとない。
ホントに心を奪われたのだと感じるほど、彼を思うと胸が痛かった。
彼の姿が見えない時も、声が聞こえなくても、彼のいた痕跡がなくとも──あの時、胸の鼓動は収まらなかった。
彼を想ったら、時遅しのラブレターなんて無限にかけると気づいた今日この頃。
終わりがないとしても彼は読んでくれるのか?
そんなの、読まないとわかっている。
私みたいなのがロマンチックに書こうとしているこのnoteは、彼の元に届くのか?
いや、流石に──考えるだけで照れる。
またまた、馬鹿みたいなことを言うが、彼のどこに惚れたのか──それは、私に笑いかけてきてくれたあの笑顔だった。
地元に帰省し、彼とすれ違ったとしても、馬鹿な私はあの時みたいに平然とすれ違うプライドくらい持ち合わせている。
この恋──今ではもう、あの恋になるが、何も得るものがなく、無駄だものだったとしても何度でも繰り返したくなるようなものだった。
恋は苦しいとよく言うが、その意味をわからせたのが彼だった。
当時の私は、彼が愛しい存在だったのを理解しているにも関わらずに "愛" と言えるほどの勇気──つまり、告白をする勇気がなかったのだから、これは "恋" と名乗っておこう。
了
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