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2020年マンガ大賞・ブルーピリオドおめでとう!

先日マンガ大賞が発表になりましたね。去年もノミネートされたものの受賞を逃し、今年こそは取れるといいな!取れる作品だもの!と思っていたので、受賞のニュースはいちファンとしてとても嬉しかったです。

この作品の凄みは、絵に没頭するキャラクター達の表情だと思っています。主人公だけではなく、憧れの森先輩も、ライバルの桑名さんも、絵に集中したとき、その目は深淵を見つめる。芸術に限らず、”表現”をするものは自分の中身をみて、しって、嫌悪して、それでも愛して吐き出す。1巻の美術部での森先輩と、5巻の芸大一次試験での描写が、特に顕著だと感じます。
あとは、受験までのスピード感が特徴的だと思いました。主人公・八虎が芸大を志望したのが2年生の段階なので、受験が始まるまでの期間はとても短い。その時間を拡張せずにストーリーを進めるリアルなアプローチは、学生生活=終わりはあるけどそれは果てしなく遠いイツカ、という印象を払拭してくれます。(だって某テニス漫画では、主人公はまだ中学1年生ですヨ。わたしが大好きなおおきく振りかぶっても最新刊でようやく1年生の冬に辿り着きました。)これは漫画というフィクションを限りなくリアルに近づけるための処置で、「美大を受験する」という憧れめいたものでさえも身近なものに引きずり降ろす作業。漫画側が現実に近づいてきてくれた、という点が、今回の受賞の大きな決め手なのかなあ、なんて考えてしまいました。
山口つばさ先生、おめでとうございます!

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