ひとり暮らしレポート いえにかえる
忙しいゴールデンウィークを乗り越えて得た二連休は実家に帰った。母の作る食事やたぷたぷにお湯が張られたあたたかい湯船は、ひとり暮らしの部屋では得られない。弟と映画を観たり、ラーメンを食べたり、お散歩で海に行ったり、部屋で床に転がったり、掃除をしたりして充実した時間を過ごして、ひとりで暮らす部屋に戻るのは毎回辛い。駅で母や弟に別れを告げることも、見えなくなるまで見送ることも、電車に揺られることも、毎度毎度淋しくて仕方ないのだ。実家からでも、いまの職場に通うことはできる。それでもひとりで生活して、自分を見つめ直したくて、ひとりの時間を確保したくて始めたひとり暮らしなのに、わたしは何度も辛い思いをする。後悔はない。でも淋しくて仕方ない。淋しいと感じるたびに自分の愚かさを思い知る。それでも、これがわたしの選択だから…。
こっちの家に帰ると、なんだか最初は違和感があって、自分の匂いがわからなくなった動物のような気持ちになる。実家に帰った時もそう。ベッドから自分の匂いがしなくてそわそわする。1日経って、ようやく匂いがし出したら、また帰る。
わたしは根無草のような生活に若干の憧れがあって、どこにでも行けるようになりたいと、ずっと心の奥底で願っているけれど、匂いひとつで不安になって淋しくなる性質を改善しなければ、きっと淋しさに押し潰されてしまうだろう。逆に、香水やピロースプレーで〃眠る時の匂い〃を決めて作ってしまえば、どこでも安心して眠れるようになるのだろうか…。