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Clubhouseでのオーディオインターフェースについてまとめてみた

本稿執筆時点(2021/2/11)ではまだベータフェーズのため、招待制かつiOS/iPadOSのみで利用できるClubhouseの話題はまだ尽きませんが、私は1990年代からクラブでDJをやっていたり、日本では誰よりも早く(おそらく日本初)1998年から24時間のDJ Mix/ライブDJのインターネット放送をやっていたということもあり、このClubhouseでも何かしら配信してみたいと色々奮闘しています。

しかし、サービスインしたてということもあり情報も少なく、オーディオインターフェースを色々試されている方の記事を有料で購入したりもしましたが、有料にもかかわらず有益な情報は全く得られず、単なる養分になってしまいましたので、私は「無料」でお役に立てる情報を発信したいと思います

Clubhouseそのものについては以前の記事でまとめましたので、Clubhouse初心者の方、あるいは、未体験の方は、前回の記事もお読みになっていただければ幸いです。

話を戻しますが、Clubhouse自体はオーディオオンリーのソーシャルサービスという性質もあり、トークありきで楽しむことが主軸にはなりますが、先行してサービスインしていた本国アメリカでは、DJプレイや楽器演奏、ヴォーカルも含めてのセッションなど、音楽的な使い方もなされています。
日本でも、ミュージシャンなどがファーストユーザーとして参加していたことから、音楽配信はやや盛んになってきましたが、システムの仕様についてはまだ謎なところが多く、「なんとか」やっている雰囲気ではあります。
とは言え、本国のClubhouse代表格である、Bomani氏であったり、彼の専属DJを名乗るBeatificさんなどのRoomを覗くと、まあまあ安定した音楽配信をされているので、どんな環境で配信をされているのかは非常に気になる次第でした。

簡易バージョン

ということで、音楽配信のために購入したのは、ヘッドセット向けの端子からマイク入力と音声出力を分岐させるスプリッターケーブルです。

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加えて、配信しながらバッテリー充電もしたいと思いましたので、Lightning端子から電源と音声を分岐するアダプタも購入しています。

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これらはAmazonで、数百円〜千円強で調達可能です。

私はただのオーディオ配信(しかも低音質)のサービスにお金などかけなたくないと思っていたため、上記のような安価な機器を購入したのですが、購入したスプリッターケーブルは安価なこともあり、入出力の干渉や配線からくるノイズを拾いやすく、場合によっては聞くに耐えない状態で出力されてしまいました。
とは言え、上記の二つに加えて、Lightning→3.5mmミニプラグ変換アダプタがあれば、ライン入力による配信が可能になります。
充電が必要なければ、Lightning→Lightning(電源・音声)の変換アダプタは無くても問題ありません。とりあえずLINE入力での配信がしたければ、これらの組み合わせで問題ないでしょう。

尚、3.5mmミニプラグ へッドフォン入力のあるiOS/iPadOSデバイスであっても、上記のケーブルをミニプラグへ接続し、LINE入力として使用することはできません。そのため、スプリッターケーブルは、Lightning→3.5mmミニプラグ変換アダプタを介する必要があります(本体の3.5mmミニプラグ ヘッドフォン入力に接続して認識するケーブルがあるかもしれませんが、今回はそのようなケーブルに遭遇できていません)。

又、Lightning→Lightning(電源・音声)の変換アダプタに電源用のケーブルを挿す際にMacなどのPCやUSBハブから電源を取ると大抵の場合、かなりのノイズが乗ります。これはフェライトコアなどを使用しても避けられません。ですので、充電ケーブルは直接コンセントへ挿す形が良いでしょう。

豪華バージョン(でもNG)

前述のケーブル類はあくまでも音質を気にしない、簡易的なセットアップでしたが、ノイズなどを含めて高音質で配信したい場合、選択肢となるのがIK MultimediaのiRigシリーズです。iOSやiPadOSデバイス向けのオーディオインターフェースは割と選択肢が限られていて、USBアダプタを介せばPC用のインターフェースも使用できるものの、信頼性という意味では用途がはっきりしいている(iPhone/iPad向けである)iRigシリーズが最も選択肢として候補にあがるからです。

と言うことで、他の配信者さんの話からも耳にしていた「iRig 2」は使えると言うことがわかっていましたが、よりストリーミングに特化した「iRig Stream」という製品があり、機能面も含めて他の用途にも転用できるであろうと、こちらをまず購入しました。

冒頭でもお話しした有料記事の方の話にもこの「iRig Stream」の話が出ており、使えるようなことが書かれていたのですが、少なくとも私の環境では「使えない」という結論に至りました。

ClubhouseでRoomを立ち上げ、あるいは、入室している際に、オーディオインターフェースを接続すると、「Talk mode」か「Music Mode」にするかダイアログが表示されます。

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この違いは、文字通りトークに特化するか、音楽に特化するかということですが、「Talk Mode」を選択した場合は、DAWソフトでは一般的な「サイドチェイン」のような効果がかかります。「サイドチェイン」とは、音楽にエフェクトをかけたり、ベースとドラムの一部が被るような場合、それぞれのバランスが良くなるよう、いずれかのボリュームが調整される機能のことを言います。
つまり、Clubhouseにおいては、オーディオオンリーという特性上、話者が同時に話しても自然に聞こえるよう、サイドチェインのようにそれぞれのボリュームを整えて聞こえやすくするのです。
一方、「Music Mode」では、ボリュームが下がってしまうと音楽の良さが損なわれてしまいますので、サイドチェイン的効果が無くなるよう設定されています。

少し話が逸れましたが、iRig Streamを接続した場合、iOS/iPadOSには出力機器として「iRig Stream」が選択できるようになり、Clubhouseでも自分が部屋を開いた場合はiRig StreamからLINE入力で配信できます。
しかし、「Talk Mode」「Music Mode」選択のダイアログも表示されず(つまりヘッドセットとして認識されていないため)、自分が開いた部屋に他のユーザーがスピーカーへ上がった場合、途端にiRig Streamの認識が解除され、内蔵マイクに切り替わってしまいます。
これは、Clubhouse内でのトークを、iPhoneないしはiPadの電話機能を利用して音声を入出力しているからです。
と言っても、内部的な仕組みがイメージできないとよくわからない話になってしまいますが、要は、Clubhouse内でユーザー同士が話す場合は、内蔵マイク、あるいは、いわゆるヘッドセットしか認めない、というプログラム的な制約による現象です。

と言うことで、他の記事やユーザーのコメントなどを見ると、iRig StreamがClubhouseでの配信に使えるようなことが書かれていますが、実際は使用できません。もし、入室者がスピーカーに上がることを制限できるならば、使用はできます。ただ、現状、スピーカーへ上がることを抑制できる設定がありませんので、実用はできません(開発サイドに近い人の中には、スピーカーの上げ下げをコントロールできるAdmin的な権限があるようです)。

やや豪華バージョン

iRig Streamは本体が15000円強、電源アダプタが7000円ほどしましたので、なかなかの散財でした。他の用途も考慮していたので、爆損した気持ちではありませんが、当初の目的達成を考えると、気持ちが収まらないため、既に使用実績を聞いていた「iRig 2」を購入することにしました。

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結果、当初の噂通り、スムーズにClubhouseでLINE入力での配信ができています。接続構成は、iRig2から、Apple純正のLightning→3.5mm変換ケーブル、そして、先にお話ししたLightning→Lightning(電源・音声)分岐アダプタを介してiPad(iPad mini 5th gen)へ接続しています。電源は先述の通り、PCから取るとノイズが酷いため、コンセントに直接挿す形です。

それから、iRig 2の入力はギターなどの楽器を想定しているため、モノラル入力です。そのため、私は、ステレオ出力したケーブルをモノラルに変換するアダプタを使用しています。ステレオのままiRig 2に入力しても配信はできますが、例えばJazzの曲などは左右で聞こえる音が違ったりしますので、1系統に収束したほうが聞こえはよくなるでしょう。

と言うことで、私が検証した限りでのベストソリューションは、

・iRig 2
・ステレオ→モノラル変換アダプタ
・3.5mmオーディオ入力→Lightning変換アダプタ
・Lihgtning→Lightning(電源・音声)変換アダプタ

の組み合わせです。以上であればAmazonで10,000円以内に収まるでしょう。
私はSound Blaster Play! 3なども持っていますので、他の組み合わせもあるかと思いましたが、手っ取り早く、かつ、信頼性のある組み合わせは、現時点だと上記がベストソリューションになるでしょう。

私と同じように音楽配信、あるいは、LINE入力で柔軟な音声配信をしたいと考えている方に参考になれば幸いです。

Disるというつもりは全くありませんが、有料でオーディオインターフェースについて言及されいてる記事を読むならば、本記事の通りにセットアップした方が無駄なく幸せになれるはずです。

追記(2021/2/12)

iRig Streamですが、mini DIN端子から3.5mmステレオミニジャックのケーブルを調達し、更にステレオミニジャックをTRRSのステレオミニジャックの端子に変換すれば、iデバイス側でヘッドセットとして認識されるかもしれない、などと思いつきました。

mini DIN → 3.5mm TRRS ステレオミニジャックというのは、ざっと探した限り見つからなかったので、あるかもしれませんが、レアだと思います。
とりあえず、私はiRig 2に落ち着いたので今は試す気力がありませんが、どなたかた人柱になられた方がいましたら教えてください。

又、よく考えたら、iRig 2でなくとも型落ちのiRigで機能するので、これから導入される方は数百円で見つかるiRigでも良いと思います。デバイスに接続する端子が3.5mm ミニジャックTRRS端子であれば、音質はさておき、他の互換品でも良いでしょう(尚、TRRSでなくTRSだと、ヘッドセットとして認識されません)。

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