国内の永久脱毛、法令面から解説してみた

『そちらのお店の脱毛は永久脱毛ですか？』

とお客様からお問い合わせがあったとき、永久脱毛について正しくお伝えできますか？

ということで今回は、この「永久脱毛」という用語を限りなく「正しく解釈」するべく「国内の法令」に即して解説してみます。

『永久脱毛とは　永久に毛が生えてこない脱毛ではない』

という話は、脱毛業界では周知の事実。

でもこの言葉は広告で使われているし、脱毛に縁のないの方も知っていたりします。

ただし、意味を正しく知っている方はまだまだ多くはありません。

脱毛に携わる側の人間として、今回の解説をぜひ活用してください。

注. 自分は法律家ではありません。あくまでネット上の様々な資料を検索し、必要な情報を総合的に組み合わせて得た個人的な解釈となることをぜひご了承ください。正直お客様対応にはここまで細かい解釈の説明は不要です。この解釈をベースにして必要な部分だけ分かりやすくかみ砕いてお伝えするのがベストです。

国内の法令で永久脱毛は「未定義」

国内の永久脱毛について議論するとき、法令でこれを明確に定義しているものが「存在しない」という事実があります。

『あれ、医師法は？』

という方もいるかも知れませんが、医師法にも永久脱毛という用語の記載は「ありません」。※これについては後述します

広く一般的に使われる定義はあって、

「最終脱毛から1か月後の毛の再生率が20%以下の状態のこと」

というものがあります。

この業界のほぼ全員が使いますよね。

でも、これも国内の法令に記載されているわけではありません。

よく見かける永久脱毛の定義の真実

国内でよく見かけるあの定義は、「米国電気脱毛協会」によるものです。

他にも国内で採用されている定義には、「FDA(米国食品医薬品局)」のものがあります。

FDAによる定義はこちら。

①一定の脱毛施術を行った後に、再発毛する本数が、
長期間において減少し、その状態が、長期間に渡って維持されること

②3度のレーザー照射後、6か月経過した時の毛量が、
施術前より67%以上減っているもの

これらは「国外」の定義であり、日本国内で効力を発揮「しません」。

つまり日本国内では、

「永久脱毛の定義が存在しない」
「一般的に使われている定義は法的に無効」

このような状況になっているわけです。

そうすると、ある疑問が浮かびます。

『じゃあなんで医療脱毛だけを永久脱毛って言えるの？』

医療脱毛＝永久脱毛？

現状国内では、「医療脱毛＝永久脱毛」と言われています。

各脱毛クリニックでも、「永久脱毛ができるのはクリニックだけ」と謳います。
※より正確に記すと電気美容脱毛も永久脱毛を言われますが、ここでは「医療脱毛(レーザー脱毛)＝永久脱毛」の話を進めていきます。

でも、先ほどお伝えしたように国内に永久脱毛を明確に定義した法令はないので、「医療脱毛＝永久脱毛」とする法的な根拠は存在「していません」。

ではなぜ「医療脱毛＝永久脱毛」とされているのか？

元をたどると、医療脱毛で使用しているマシンの話になっていきます。

医療脱毛=永久脱毛とされた経緯

国内にレーザー脱毛が導入され始めた頃は海外の製品が多かったのですが、これらの製品が「FDA認可」のものでした。

FDAが「これで永久脱毛ができる」と認めたマシンを使っていたので、「うちでは永久脱毛ができる」と「解釈」するようになったわけです。

当時は法の規制がなく、医療脱毛でもエステの脱毛でもレーザーかそれに近い性能のマシンを使うことができました。

この、規制がなかった状況が「医療脱毛＝永久脱毛」の図式を生む大きな要因でした。

大まかにまとめると、以下のような流れでした。

医師免許保持者不在のエステ脱毛で高い出力による施術で肌トラブル発生
↓
通報、当該サロン全店営業停止

このような事件が多発したため、規制のために「医師法の通告」が制定されました。

「脱毛行為等に対する医師法の適用」
以下に示す行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上、危害の生じるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること「厚生労働省医政局医事課 通知(平成13年11月8日 医政医発第105号）」
用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為

つまりこうです。

医師による脱毛≒レーザー脱毛
↓　↑
FDAが永久脱毛可能と認可したレーザー脱毛機の使用
↓
医師による脱毛は永久脱毛

毛根の破壊≒永久脱毛なのかどうか

さらには、このような解釈が成り立ちます。

医師によるレーザー脱毛で毛根破壊＝OK
↓　↑
毛根を破壊する脱毛＝永久脱毛

医師不在のエステの脱毛で毛根破壊＝違法
↓　↑
毛根を破壊しない脱毛≠永久脱毛

この解釈で注意すべきは、

永久脱毛＝再生率20%以下

という定義には触れられていないという点です。

なので国内の永久脱毛とは、どちらかというと、

永久脱毛＝毛根の破壊

と解釈されていて、これが「医療脱毛＝永久脱毛」と言われる大きな要因になっています。

これ、医療脱毛側が有利に立てるロジックでもあります。

このような解釈が成り立っている現状、併せて覚えておくべきことが2つあります。

一つは毛根を破壊しなければ合法と解釈できるため、光脱毛機各社はその根拠を集めたりして安全性を確保しているという点。

監修医に依頼して、照射部位の皮ふ組織を調べて「毛根は破壊されていない」とお墨付きをもらうメーカー、マシンがあります。

これさえあれば、法律上問題なく光脱毛は提供できます。
※実際の施術で何が起こっているかは、この場合不問になりますが

二つめは毛根を破壊せず再生率20%以下にする施術は、エステの光脱毛でも可能であろうという点です。

回数や期間を限定せずに施術をしたとすると、こういう結果は得やすいと考えられます。

すると、医療脱毛でもエステの光脱毛でも同じような結果になると言えるわけです。

「医療脱毛＝永久脱毛」という解釈は成り立ちますが、最終的な結果が同じになるとしたら、エステの光脱毛の「痛くない」「安い」というメリットの方が魅力的に映るお客様は多くなるはず。

国内の永久脱毛、まとめ

今回の話をまとめると、こうなります。

・国内に永久脱毛を定義する法令はない
・一般的に使われているのは海外の定義
・「医療脱毛＝永久脱毛」とする法令はない
・「医療脱毛＝永久脱毛」とはあくまで法令から「解釈」したもの
・毛根を破壊する脱毛は医療行為なので医師免許保持者にしかできない
・医師不在のエステの光脱毛で毛根を破壊したら違法なので、メーカーが安全性の確保をしている

脱毛のプロ、施術者側の知識として参考にしていただければと思います。

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