バイトの面接受けてきた

 大学生活の忙しさや病気などを理由にこれまでアルバイトをせずに自適悠々とした生活を送っていたが、自分で得たお金を自分で使いたいと思い、2年からバイトをようやく始めることにした。

 色々選択肢を考慮した結果、内容を塾講師に決めて、条件の良さそうなところへ応募した。

 簡単に言ったが、これをするまでにはさまざまな葛藤や不安を乗り越えるためのけっこうな勇気がいた。まず、一度入ったら逃げ場がないという恐ろしさ。ちょっとやってみて、きついのでやっぱ辞めますということが容易にできない。住所や電話番号とかの生命線を抑えられるから、虚を突いて2階の窓から逃げ出すなんてことも無理だろう。黒ずくめの男に家を包囲され、大人しく捕まるか無限逃亡の生活を送るかしかできなくなる。そもそも職を始めた時点で付きまとう責任からはいくら走っても逃げることができない。アルバイトを始めるというのは社会人になることで、社会人になるとはそういうことだ。

 というのは少し大げさかもしれないが、きついと感じたものはすぐ逃げ出してしまう性の自分にとって、一度乗ったらしばらく降りれない「強制ジェットコースター」みたいな体験に足を踏み入れるのはとても怖かった。高校を卒業してすぐバイトを始めた人は、すごいと思う。大学のコマが少なくてスタバとかで働き詰めの陽キャ大学生をバカにすることもあるが、彼らは彼らで俺には真似できなかった偉業を成し遂げているので尊敬の念を忘れてはいけないと感じている。

文字だけだと読みづらいのでサルの写真を挟みます

 そんな陽キャ学生くんを見習うべく、雑多な不安を克服して応募に踏み切ったわけだが、面接でおちたらどうしようという懸念もあった。もちろん、バイトの面接というのは一般的に為人と勤務できる曜日とかを軽く確認するだけで、就活や舞台主演の選抜オーディションみたいなガチガチなやつではないというのは分かっていたが、「バイト落ちた」というアルバイト不採用談はよく聞く話であった。飲食店業を連続で落とされた広島県在住のA氏や、「君は採用だね」とその場で何度も言われたにも関わらず不採用にされた同じ学部のB氏の話を聞くと心配にならずにはいられなかった。

 そんな一抹の不安を抑え込みながら、昨日面接を受けてきた。前述のように難易度の高い面接ではなかったので普段初対面の人と接する時くらいの感じで話せたし、大きな失敗はなかったと思う。落とされる要因が他にあるとしたら、面接以外のことにある可能性が高い。それについて少し話そう。

 まず適性検査として、応募者の性格を知るためのアンケートを受けた。これがどれだけ正直に答えればいいのかわからない。「約束を守るのは苦手なほうだ」とか「他人を騙すのに苦労はいらない」とかド直球で適性を判断されそうな問題もあるけど、お利口な回答を選んだ方がいいのか?そもそも後者に関しては正直な回答を前提としてる時点で論理が破綻してるだろ…!と、そんなことをアレコレ考えつつも、「他人に良く見られたくて嘘をつく人」という診断をつけられたくなかったので正直に答えた。

 それと、試験がなかった代わりに模擬授業というのをやらされた。問題を解く時間含めて20分ほどの準備時間を与えられたのちに、授業を行う教室に移動し、板書しながら授業のつもりで1問を解説するというもの。これが一番の難所だったが、定理の解説や別の解き方についての話もしながら問題を正確に解説できたので、出来は悪くなかったんじゃないかと思う。ただ面接官はうんともすんとも言わず、顔は何ともつかないMiiのデフォルトみたいな表情をしていたので採用になるかどうかの判断はできなかった。

 「お疲れさまでした」と1時間ほどを共にした面接官に別れを告げられ、寒い風にあたりながら家へ帰った。面接と5分ちょっとの模擬授業で喉はカラカラになってた。これごときで喉を乾かせてたら授業一本やり通したらどうなるのやらと心配になりながらも、まだまだ未熟な自分にとっての大きなイベントを無事一つ終えたことで気分は晴れ晴れとしていた。



(追記:採用されました!)

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