Royal Host

 ジブチューンの料理人がチェーン店の商品を審査するやつがまた炎上してた。今回はロイヤルホストの品のうち、三段積み重なった「パンケーキ」が不合格を食らったことで暴動が起きたという事件。

 前回のツナマヨおにぎりはまだしも、良くない評価が出たからという理由のみでブーイングが巻き起こるのは実にバカバカしい。どんな奇跡みたいな商品やアイデアに対しても否定的な意見は生じるわけで、"何もわかっていない"シェフどもが偉そうに不合格の札を上げようが料理の専門家として言い分を聞き入れるべきだろーよ。バーロー。

 それにしても、過激派によるデモが生じるほど熱烈な支持を集めるパンケーキとはどんなものだろうか。答えを確かめるべく、俺は学校終わりに人生で初めてのロイヤルホストに向かった。


初めての高級レストラン(?)でちょっとドキドキ

 けっこう空いてたので1人ながらも四人席へ案内される。メニュー表を開くと聞いていた通り、いや、それ以上の高価格で少し怖気づく。千円のサラダがあるじゃねえか。伝説だけの存在だと思ってた。

 夕食を兼ねて、パンケーキと一緒にハンバーグも頼む。合わせて2000円ちょい。財布にはかなりのダメージだがせっかくの高級レストランだったので気にしないことにした。

湯気で写真がモヤった…

 ハンバーグとパンケーキが同時に届いた。なるほど、そういう配慮はしないんだな。いや、全然いいんだけどさ。あとナイフとフォークも一つずつだけなんだね。いやいや、まったく構わないよ。

パンケーキ単品。今回の主役。

 ハンバーグはまじで美味い。生協のコスパ最強400円ハンバーグ定食とは物が違う。肉汁があふれ出とる。(歓喜)

 次に今回の主役・パンケーキ。メープルシロップをかけて上のバターを広げて、下の段まで切れ込みを入れて三段食いするらしい。

 食べてみると、確かにおいしい。自分は感動するほどではないが狂ったファンがいるのも何となく分かるし、全国民の幼少時代に訴えかけてくるようなノスタルジックな味わいがなんとも感慨深い。つまりは家庭の味。

 でもちょっと待てよ。これ、量多いな。

 頼む前は気づかなったが、俺はすでに一人前のハンバーグを食べてるから残りはデザートが入る別腹にしか空き容量がないはずだ。そしてこのパンケーキはデザートではない。重いしでかいし、場合によってはこれだけで夕食を済ませてもいいくらいのレベルだ。

 半分まで行ったころには腹はもうパンパンになっていた。あとの半分はもう修行だ。怨憎会苦のくるしみに耐えながら残ったパンケーキを流し込む。さきほどまで少年の日の思い出であったものは、いつしか処理しなければならないベーキングパウダーの魔物となっていた。

 やや大げさに形容したが、予期せぬ場面で苦しみに遭遇した俺はもう二度とロイヤルホストのパンケーキは食わないことを誓い、長時間の休憩を取ってから自転車でゆっくり家に帰った。でもカギ閉めるのを忘れてたから少しだけ急いだ。

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