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櫻坂46 3rdTOUR 神奈川・大阪公演感想

 櫻坂46の7thシングル『承認欲求』に「Sakurazaka46 3rdTOUR 2023 TOUR FINAL」が特典映像として収録されている。
 気づけば3rdツアー千穐楽から5ヶ月も経ってしまった。レポを書き残すにはあまりに遅すぎるが、あの時感じたことをそのまま残しておきたいと思って重い腰を上げてこの記事を書いていく。特典映像を見たら、良くも悪くも記憶が上書きされる。あの時とは違う感情を抱いてしまう。それ自体は悪いことではないが、記憶が記憶であるうちに横浜公演、大阪公演の感想を書き起こし、千穐楽までの10日間で起こったことを整理して振り返りたい。

 さて、振り返ってみると、大阪千穐楽に向けて横浜Day1から千穐楽にかけての5公演で、櫻坂は一段ずつギアを上げていっていた。

5/23 横浜Day1 6th『Start over!』ティザー公開
5/24 横浜Day2 通常版ツアー実質千穐楽
5/25 横浜Day3 『スペシャルBAN』初披露
5/31 大阪Day1  スペシャルBAN ver2.0
 6/1  大阪Day2  Start over!初披露

 櫻坂はこの10日間で5公演こなし、全てに大きなトピックを忍ばせていたのである。平行して6thシングル『Start over!』の情報が次々と解禁され、29日はアー写、30日はMVが公開されている。2023年の櫻坂において最も密度が高かった10日間と言っていいだろう。


横浜公演3days 総括

 神奈川公演で特に凄かったのが、森田ひかるさんである。素晴らしいパフォーマンスのクオリティはそのままに、神奈川公演の森田さんは存在感が半端ではなかった。身の毛がよだつ程にぞっとする美しさで畏怖を感じるほどだった。4/3放送のCDTVの『BAN』のイントロ森田さんを彷彿とさせるような、人智を超えた存在感を放っていた。
 1日目は重めの前髪で仄暗い雰囲気を醸しながら、ブラックホールのような引力をもってステージに立っていた。あの日の森田さんは『Start over!』MVの世界線の”陰キャ森田さん”を意識していたんじゃないかなと勝手に思っている。ティザー公開に合わせてくるような粋なことを森田さんならやりかねない。
 2日目は一転して巫女のように白い光を帯びていた。生命力というよりは妖気が漂う空気を纏い、祈りでも捧げているような清廉な静けさとアグレッシブなパフたォーマンを両立させていて、やはりこの世の人ではないような雰囲気さえあった。

 で、肝心の3日目、森田さんはめちゃくちゃ人間だった。生気に溢れていて、まるで勇者のような希望を携えていた。パフォーマンス以外の佇まいで、こうも変えられるのかと驚いた。1,2日目の荘厳さのある姿とはまた違う、エネルギッシュな存在感。なにかにわくわくしているような、人間味溢れる表情だった。

 だから私は『スペシャルBAN』で浮かび上がったシルエットが石森さんだと気づいた瞬間、「ひかるちゃんが来る!」と直感した。後からではなんとでも言えてしまうが、確かにそう思ったのだ。
 そう思えた理由はいくつかある。まず第一にそもそも私が3期BAN→先輩BANのステージを熱望していたからである。そのため全く予期せぬ展開ではなかった。
 おもてなし会で3期生の決死のBANを浴びて心打たれて以来、3期の全身全霊BANから1,2期の百戦錬磨BANを立て続けに見ることができたなら…とずっと夢に見ていたのだ。ユニ春音漏れ参戦のあとにUFJでオタクフレンズとアメイジングスパイダーマンの列に並びながら「絶対ないセトリなのは分かっているんですけど、3期BANと先輩BANを続けて見たいんですよね」と話をしたのを昨日のことのように覚えている(一緒に遊んだオタクはたぶん覚えてない)。だから叶わないと思っていた夢のBANが叶う!と思ったのだ。

 私が熱烈な森田さん推しではないのも大きかった(もちろんひかるちゃんのことは大好きだよ)。
 終演後、森田さん推しに感想を聞くことができたが、ステージに現れたのが森田さんではないことへの混乱が真っ先に脳内を占めたらしい。それはそう、桜月で同じことが起きたら、麗奈ちゃん推しの私はパニックになっていたに違いない。麗奈ちゃん推しである私は、案外冷静にステージの3期生を眺めることができていた。

 石森さんが現れた時の直感が確信に変わったのは、3期生のパフォーマンスを見ていてのことである。
 すがすがしいほど思い切りの良さで3期生は踊っていた。サプライズでどよめく会場相手に萎縮することもなく、気負って空回りすることもなく、イントロからフルスロットルでパフォーマンスしていたのである。いくら逸材揃いの3期生達とはいえ、ここまでやれるか?と正直思った。なにも恐れていないその勇気はどこから湧いてきているんだろう?と考えたときに、先輩達の存在が頭に浮かんだのだ。
  先輩達の胸を借りているつもりで全力のパフォーマンスをしているのなら、全て辻褄が合う。石森さんの渾身の「時間はあんなにあったじゃないか」にサイリウムを突き上げながらこの後の展開に胸を高鳴らせていた。

 そして1番終わり、3期生が左右に分かれ、中央から森田さんが1,2期生を引き連れて現れた。

 森田さんが現れたんです、1,2期生を引き連れて。大事なことなので2回言いました。
 待たせたなと言わんばかりの笑みで現れた森田さん、マジでただの勇者だった。希望の光、オレたちのヒーロー。櫻坂というパーティーを引き連れて進むのは、やっぱり森田さんなんだよなぁ。主人公の星回りのアイドルはこれまでもいたけれど、森田さんほど、みんながいるから主人公たる人もなかなかいなかったのではないかと思う。
 1,2期生が登場した時の大きな歓声を忘れることはないだろう。かく言う私も「っしゃーー!」と叫んでいた。だって、夢にまで見た3期BANからの先輩BANだ。いや、夢よりもすごいものを見ていた。先輩が合流して全員での『スペシャルBAN』は想像さえしていなかった。このツアーのハイライトの一つである『BAN』間奏の魔改造ユニゾンダンスまで全員で踊るのだから、涙ぐまずにはいられなかった。
 森田さんだけじゃなく、1,2期生みんなが嬉しそうに踊っているのが印象的だった。先輩達もきっと3期生達と踊りたかったんだろう。本当に生き生きと踊るメンバー達。大好きな人たちが全員で最高のパフォーマンスを見せてくれている。これ以上幸せな時間があるだろうか。

 爆発的なエネルギーを放った『スペシャルBAN』が終わってその余韻にじっくり浸れていたかといえば、そうではない。なんせこの後ステージに出て『桜月』という本編フィナーレを担うのは紛れもない推しメン、守屋麗奈ちゃんだからである。
 ざわめきが収まらない会場相手に、たった一人で立ち向かわなければならない。この公演のフィナーレに向かって、さらなるクライマックスを作らなければならない。楽曲の力に頼らずに、踊らずに、己の身一つで会場の空気を変えなければならない。
 ツアーで回を重ねるごとに存在感を増していった麗奈ちゃんを見ていたので心配や不安はなかったものの、「Last song」の文字が浮かぶモニターに祈るように両手を組んで彼女の登場を待つしかなかった。

 現れた麗奈ちゃんは、しっかりと一瞬で会場の空気を背負って歩き出した。粛々と、物怖じせずにやるべきことをやりきる強さが彼女にはある。見た目のかわいらしさから想像できない彼女の覚悟と気概に私は心底惚れている。
 頼もしい麗奈ちゃんの姿に会場全体から大きな拍手が巻き起こったことにも泣けた。麗奈ちゃん推し以外の人にも麗奈ちゃんのがんばりが伝わっているならこれ以上幸せなことはない。

 3rdツアーの麗奈ちゃんについて語りだしたら本当に延々と書いてしまうので、大阪公演前に書き残した爆語りnoteを投下してこの記事ではいったん切り上げたい。
 (特典映像を見た後に桜月に関しての爆語りnoteをまた書けたらいいなと思ってはいる(note書く書く詐欺常習犯))

 スペシャルBANが加わったことにより、何もトピックがなかったように見える神奈川2日目も結果的に3rdツアー通常演出版の実質千穐楽になっている。実際、横浜3daysはどの日も気迫に満ちた公演になっていたことは言うまでもない。

大阪公演day1 総括

 平日ど真ん中ということもあり、前日までチケットが完売しておらず、まつりキャプと保乃ちゃんが「悔しい」と声を上げてくれたことで埋まった31日大阪公演1日目。あの言葉があったおかげで、メンバーは「やってやんよ」の気持ちで、Buddiesは「見届けてやんよ」の気持ちで大阪に乗り込むことができたので、二人の功績は大きい。いつもグループの精神的支柱になって引っ張ってくれてありがとう。
 完売して当日を迎えられたことと、30日に『Start over!』のMVが公開されたことが重なり、会場は期待感と熱気に満ちていた。結局『Start over!』初披露は大千穐楽に持ち越されるわけだが、櫻坂は人知れず、横浜公演とは違うものを見せてくれていた。
 はい、いったんこの特典映像ティザーの『BAN』(2:37あたり~)見てください。

 …おわかりいただけただろうか。

 神奈川公演では1,2期生を引き連れて現れた森田さん。大阪公演はどうだったでしょうか。
 そう、大阪公演の『スペシャルBAN』森田さんは、最後にステージに現れる。これを私は『スペシャルBAN ver2.0』と呼んでいる。(ネーミングセンスなし)
 神奈川公演の先頭に立って現れた森田さんは3期生を助けに来た勇者だったが、大阪公演で最後に現れた森田さんはチーム櫻坂のラスボスだった。風格がまるで違う。表情も明るく生き生きとしたものというよりかは、陣の再後方から采配を振るう武将のようにどんと構えた表情に変わっていた。

 代々木公演から細かいブラッシュアップを重ねていったことは、3rdツアーの大きな特徴と言っていいのではないかと思う。
 2ndツアーは作られた演出をいかに極めていくかというツアーだった。登場時からキューブという枠の中に納まっており、曲中の移動も運ばれているシーンが多かった。楽曲ごとを見ても、本来のフォーメーションを用いたものが多く、作り込むという要素が大きかった。
 3rdツアーは余白も多く、自分たちが作り上げるツアーだった。移動もすべて自分たちの足で行い、様々な配置に立つことでシンプルなステージを最大限に有効活用した。代々木公演で感じたほんの少しの物足りなさを少しずつ解消しながら、客席とのコミュニケーションの取り方などを改善させ、より一体感のあるステージへとレベルアップしていった。機械的で受動的な2ndツアーから、泥臭く能動的な3rdツアーへとさらに見せ方の武器を増やすことに挑戦したツアーだった。2ndが内へと深めていくツアーとすれば、3rdは外へと拡張していくツアーだったのである。
 初日の代々木公演からの主な変更点を上げると、『摩擦係数』終わりの電子効果音、『Nobudy’s falt』のひかるジャンプ復活、MCから『それが愛なのね』に入るタイミングの音の使い方などである。いずれも公演への没入感を強めることに一役買っていた。おそらく代々木公演しか見てない人が大阪公演を見たら全く違う印象を持つだろう。それほどパフォーマンスの質は向上していたので、代々木だけ見た人にはあんなもんじゃないんだよ櫻坂は!と言って回りたい。
 (ただツアー初日と最終日でこれだけの差が出るのは、ある意味課題でもある。みんながみんな何度も公演に足を運ぶわけではなく、ほとんどの人が”その一回”なのだから…。)

 さて、話が逸れてしまったが、ブラッシュアップを重ねていったのが特徴でもある3rdツアーにおいて、森田さんの登場タイミングを変えることで神奈川公演とは違う雰囲気の『BAN』を大阪1日目で編み出し、最後の最後まで櫻坂は加速していっていたのである。
 『Start over!』の披露こそ無かったものの、『Buddies』で客席近くまで来る演出は、この日の公演で見納めだった。私はメンバー登場エリア最前かつ真正面の座席で、まつりちゃんと小林さんが来てくれた。ありがとう、ありがとう。
 まつりちゃんも小林さんも信じられなくらいかわいかった…めっちゃキラキラしてた…二人とも私が隣の青年コンビと作った指ハート3連番を3連発指ハートで返してくれて優しかった…近すぎて普通に手震えて指ハート作るのがやっとだった。
 テンション上がりすぎて隣の青年たちと肩組みながら横揺れしたし、公演後その青年たちと一緒に写真まで撮った(なんで?)。あの時の青年たちありがとね、最高の思い出だね~!!

大阪公演 Day2 総括

 さて、いよいよ迎えた6/1、大千穐楽。
 全曲、全員ツアーベストを叩き出していたと言ってもいいんじゃなかろうか。個人的には10回目の3rdツアーだったけれど、それでも一瞬たりとも目が離せなかった。

 その上で印象に残っているのは『Start over!』にかけての3曲である。
 『BAN』『桜月』『Start over!』が三位一体となってあのフィナーレを作り上げたと私は考えている。櫻坂の武器である集団としての強度と熱量を含んだ『BAN』、櫻坂の新しい一面を見出した『桜月』、なにも恐れずに自由に未来へ向かう『Start over!』の流れは、櫻坂のこれまでと今、そしてこれからを体現したものだった。

演武 BAN

 『BAN』は、櫻坂の一つの”型”だ。密接したフォーメーション、イントロや間奏のユニゾンダンスは、2ndツアーでとことん磨き込んだ改名当初からの”櫻坂らしさ”を凝縮したものになっている。3rdツアーでは間奏が魔改造アレンジされ、ユニゾンダンスの部分が伸びている。3期生の合宿では最高難易度の課題曲として選ばれ、「櫻坂になる」ための曲として位置づけられた。神奈川公演からはその3期生達も合流し、魔改造ユニゾンダンスも一緒に踊っている。いうなれば、櫻坂の魂の一曲といっても過言ではない。
 なにより改名当初にセンターを担った森田さんがいることで楽曲に凄みが出る。櫻坂らしさの輪郭がまだ曖昧だった頃からこの曲を踊り続けた歴史が確かにパフォーマンスに現れていた。
 ”型”と感じるのは、イントロや間奏における突きや蹴りといった振りが文字通りの武術の”型”に見えるからというのもある。『BAN』は櫻坂の心技体が込められた”型”なのである。
  特に千穐楽の『BAN』は櫻坂とはなんたるかを示す、演武のようなパフォーマンスだった。

演舞 桜月

 『桜月』は、新しい櫻坂の一面を見出した曲だ。『BAN』を演武とするならば『桜月』は演舞である。これまでの表題曲ではあまりなかった物語を演じるという要素がこの楽曲では大きくなる。可憐さや儚さというものを表現することを、楽曲の前後の演出含めて求めれられていた。この前後の演出では”歩く”ということだけが決まっており、それ以外はセンターの守屋麗奈の試行錯誤によって毎回違うものが表現されていたことが後に明らかになるが、ダンスという一つのアイデンティティを封印してあの世界観を作り上げられたのは、間違いなく3rdツアーがもたらした大きな功績の一つである。
 3rdツアーの『桜月』を初めて見た時から私はこのツアーの終わりを考えずにはいられなかった。別れを痛切に感じさせるこの曲の歌詞に「どうやってキレイに散ればいいか考えたんだ」という一節がある。ずっと咲き続ける花が無いようにいつか終わりを迎えるツアーで麗奈ちゃんはどんなキレイな散り方を選ぶのだろうか。公演の度に散っていく『桜月』に毎度の胸を抉られるような別れの寂しさを感じながらずっと思いを馳せていた。
 『桜月』のパフォーマンスを初披露のイオンカードライブから目撃してきた桜月強火担として、なにがなんでも見逃せないと思っているのが「あの花は僕が大好きだった人だ」の麗奈ちゃんのターンである。「暗い夜空の先 たしかに今も」のソロ歌唱から続くこのターンに、その日の『桜月』が凝縮されている。初日の公演では少し固さのあったこのターンも、回を重ねるごとにしなやかで美しいものとなっていった。
  千穐楽の2日前の5/30には5thシングル『桜月』の期間が終わることの報告と感謝、さらにはまだ大阪ファイナルが残っているので最後の桜月まで一緒に完走してほしいという旨のトークを麗奈ちゃんは送ってきていた。相当気合いが入っていた千穐楽に麗奈ちゃんはどんなターンを見せるのだろうと興味があった。

 意外なことに千穐楽の麗奈ちゃんは、美しくまとまることを選ばなかった。美しさよりも、これまでの全てをぶつけることを選んだ。私にはそう見えた。ほんの少し、いつもより力んでいた。あの日より美しいターンはそれまでにもあった。実際、当時の彼女なら美しくまとめることもできたろうに、積み重ねてきた可憐さや儚さではなく思いを乗せることを優先した。麗奈ちゃんが選んだ"美しい散り方"が美しさに収束するにとどまらずあえて泥臭く自分の全てを出し切ることだったことに、彼女がこのツアーで手に入れた強さを感じて私は感動した。
 続く「あんなに美しい散り方ができたらな」で顔を上げた麗奈ちゃんも、どの公演よりも力強い動きだった。枠に収まらない力強さで、誰かにバトンを渡すように見えた。まさにあの瞬間に、麗奈ちゃんは『Start over!』にバトンを渡していたのだ。スタオバのコンセプトである「いいよ、はじけちゃって」を体現するように、いい意味でこれまでの『桜月』からはみ出るパフォーマンスで、本編を締めつつ、アンコールへ繋げていた。
 楽曲が終わり、名残惜しくゆっくり消えていった麗奈ちゃん。本当に立派な最後の『桜月』だった。3rdツアーを通して私にとっても『桜月』はさらに大切な曲になった。様々な桜月を見せてくれて、たくさんの感情を教えてくれてありがとう。

円舞 Start over!

 やるだろうとは思っていたけれど、正直アンコールでいきなり来るとは思っていなかった。だが『BAN』『桜月』からの流れの一環だとする今となっては腑に落ちる。
 かかるイントロ、浮かぶシルエット、上がる悲鳴にも近い歓声。会場全体が一瞬で『Start over!』に染まった。あの時間ばかりは言葉にするのも野暮な気がする。夏鈴ちゃんの言葉を借りるならば、美しい時間だった。円になるのが印象的なパフォーマンスで、全員が自由に舞っていた。そして観ている私たちも全身全霊で魅了されていた。『Start over!』の世界に連れ込まれ、本当にただただ『Start over!』だけを感じていた。

 その後には『櫻坂の詩』をやっているはずなのだが、申し訳ないけれどほとんど印象に残っていない。それほどまでに『Start over!』に脳みそごと殴られていた。『櫻坂の詩』に夏鈴ちゃんがいなかったことにも曲が終わるころに気づいたくらいだったけれど、あんまり心配してはいなかった。今の彼女たちは、だれも一人にしたりしないし、倒れる前に誰かに頼れる人たちだ。
 夏鈴ちゃんを心配する声も大きかったけれど、少なくとも現地で見ていた人はそれは杞憂だと分かっていただろう。その後のMCでまつりちゃんは夏鈴ちゃんを腫れ物扱いすることなく「一言もらってもいい?」と話を振っていた。夏鈴ちゃんを信頼しているからこそ出せたパスだ。夏鈴ちゃんも「曲の世界のなかで自由に生きれて幸せでした」とちゃんと言葉にできており、あたたかい空気が流れていた。本人が幸せだったと言うのだから、その言葉を素直に受け入れて賞賛を送りたい。本当に本当に素晴らしいパフォーマンスだった。


 (これは蛇足になってしまうが、この3曲が一つの流れであったと思っているのには『承認欲求』の存在もある。この3曲を”Start over!”した先に『承認欲求』が来ていると解釈できるのではないか。つまり『BAN』をやり直した世界線としての『承認欲求』という解釈である。『BAN』以来の森田さん表題センター、ユニゾンダンスやSNSをテーマにした題材、MV監督など共通項は多い。「もう今さら違う自分になれるわけじゃないじゃない」の『BAN』と「君は君でしかないだろう」の『承認欲求』はネガティブなように見えながら、ありのままの自己を肯定する詞になっている。)

3rdツアー 全体総括(思い出話)

 3rdツアーを通して、櫻坂がこのクオリティのパフォーマンスができるグループになってくれたことに、応援してきて良かったと心から思った。なにより推しメンである麗奈ちゃんの初センター曲『桜月』がリリースから間を空けずに全国のBuddiesの前で披露する機会に恵まれたことを本当に嬉しく思う。このツアーがなかったら、ここまで『桜月』が愛される曲になることはなかったかもしれない。ステージに一人で現れ、一人で去った麗奈ちゃんに拍手を送ってくれた全てのBuddiesの皆様ありがとう。
 「3rdツアーの麗奈ちゃん頑張ってますよね、桜月良いですよね」と他推しの方々から直接言っていただくことも多く、もちろんこれは本当に麗奈ちゃんのがんばりの賜物でしかないのだけれど、自分のことのように本当に嬉しかった。
 麗奈ちゃんが実質座長になるからと後先考えずにチケットが取れなかった福岡1日目以外の公演に足を運んだけれど、麗奈ちゃんの成長を感じながら一緒にツアーを駆け抜けられたことは何にも代えられない思い出になった。言うて平日地方開催多くて、仕事の調整も大変だったし、ハードスケジュールでめーっちゃ疲れたけどね、それ以上にめーっちゃ楽しかった。同じ会場に参戦していたオタクと現地のおいしい食べ物を食べたり、観光名所に行けたのも麗奈ちゃんが広げてくれた世界だった。はじめましてができたオタクフレンズもたくさんいて嬉しかった。推しが違っても、推しのことを楽しそうに話す人たちのエネルギーに私はいつも元気もらっています。またどこかの現場で会いましょう。
 麗奈ちゃんには本当に感謝しかない。色々なところに連れていってくれてありがとう、友達を増やしてくれてありがとう。大袈裟かもしれないけれど、麗奈ちゃんのおかげで人生が豊かになっているよ。本当にありがとうね、大好きだよ推しメン。

 『桜月』の麗奈ちゃんがいなくなっちゃう演出に、毎回初見かのように新鮮に打ちのめされ「麗奈ちゃんいなくなっちゃったぁ…」と嘆く私を介抱して感想戦に付き合ってくれたオタクフレンズのみんなには特に感謝を伝えたい。あまり顔に出ないタイプなのでどう見えていたかは分かんないけど、毎度毎度麗奈ちゃんが消えちゃうのが本当に辛かったし(それだけのパフォーマンスを麗奈ちゃんがしていたということなので素晴らしいことです)、感想戦してもらえてだいぶ救われてました。たぶん一人だったらこんなに前向きにツアー回れていなかったと思うまじサンキュー。 
 2時まで飲んだ挙句、居酒屋にスマホ忘れて取りに行くの付き添ってもらったり、駅前のパトカーかっこいいってきゃっきゃしてたら警察官が乗っていて肝を冷やしたりしましたね。その場にいる保乃推しより少ない保乃ちゃんの生写真を広げ、だれが貰うか「殴り合って決めろ」と麗奈ちゃん推しの私が宣言する断絶ごっこもたくさんしました。ノリの良い居酒屋のお姉さんに「殴り合うのだけは避けていただいて♡」って止められたのを覚えています(結局いつもちゃんと穏便に貰い手は決まっていたのでご心配なく)。千穐楽前日も朝まで飲んで、また数時間後に来る大阪城公園から夜が明けるのを感じたりもしました。夜が明けていく大阪、綺麗だったな。どれも大切な思い出で、たぶん一生忘れません。
 なぜか現地で会うオタクに保乃ちゃん推しが多く、気づいたら8人の保乃推しに囲まれていたこともありました。みんな面倒見が良く脳筋なので、麗奈ちゃんに似てポンコツ気味でへらへらしている私は本当によく助けられました。いつか保乃ちゃん本人に直接お礼しに行きたいと思っている。保乃ちゃんありがとう。保乃ちゃんを推している人たちは、保乃ちゃんに似てアホみたいに熱くてとびきり優しい人たちばかりです。
 千穐楽のリピート配信で大画面の良い音響で見ようぜって集まったのに(しかもわざわざ大阪から来た人もいたのに)、私の準備不足で配線がままならず結局小さい画面をみんなで覗き込む結末になったのは本当にごめん。麗奈ちゃんよりもポンコツなところが最後の最後に出ちゃったけど、その日も結局バイバイするのが名残惜しくて、朝まで飲んでくれたオタクフレンズもいました。朝の公園の芝生でごろごろしてから解散したかったのに普通に閉まってて入れなかったのウケたね。最後の最後まで本当にありがとう。


 冷静に考えて5ヵ月前に終えたツアーのことをこの勢いで書いているの我ながらこわいけれど、それだけ自分にとってかけがえのないツアー期間だったのは間違いない。
 思い返せば2023年の櫻坂は、3rdツアー以降も『Start over!』のティザーの言葉通り「この場所が、この瞬間が、私たちの出発点で最高到達点」の連続だった。世界に飛び出し、フェスでぶちかまし、新せ界で歴史を振り返りながら、7th『承認欲求』を世に出して、常に期待を上回ってくれている。
 だからこそ私はZOZOマリンスタジアムでのアニバーサリーライでの櫻坂に、心から大いに期待している。そしてその後も最高到達点を更新し続けていくことを期待する。私にとって期待することは、全力で進み続けようとしている彼女たちへの礼儀みたいなものだ。
 振り返ったときに「あの頃は良かった」なんて日々にはまだまだならないと私は思っている。ずっと最高を更新してくれている櫻坂は、これからも最高を更新してくれるはずだ。新戦力の3期生は躍動し、2023年は『桜月』『Start over!』『承認欲求』と全員センターも違う全く毛並みの違う3曲をリリースし、グループとしても手札を増やしている。まだまだ遠くへ櫻坂は行けるはずだし、一人でも多くのBuddiesと一緒にそれを見届けていけたらいいなと思う。

 彼女たちが一つでも多く夢を叶えることに期待して、これからもやれることを一つずつ重ねていけたら、もっともっと色んな景色が見れる気がしている。私はこれからも自分の足を動かして、自分の耳と目で彼女たちが輝く瞬間に立ち合いたい。

 そう思わせてくれる最高の春をありがとう、3rdツアー。お礼するの遅くなってごめんね。どんなに好きでいても季節は過ぎてあっという間に散りゆくものだね。名残推しさに甘えていたらもう秋になってしまっていたよ。

 これにて3rdツアー振り返り、完とします。


っはぁーー!
これでやっと特典映像が見れます。(自業自得)



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