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櫻坂三期生新参者 初日公演感想


※この記事は櫻坂三期生新参者のネタバレを含みます。ご注意ください。




 「私に、なにができるのか。私たちに、なにができるのか。一生懸命考えて、深く深く根を張っていけるように今できることを精一杯やっていきます。」


 本編最後の曲の前のこんなぎ(小島凪紗)の言葉が、櫻坂三期生の新参者公演を象徴していた。個の強さと集団としての絆、客観性と主体性を兼ね備えた3期生11人が未来のために今を駆け抜けていく。荒削りながらもステージの上にあったのは、紛れもなく櫻坂46のパフォーマンスだった。

 絶叫に近い円陣が裏から聞こえ、かみかみの影アナから始まった新参者公演。歌は時に息切れ混じりだったり、振りが合わないところがあったり、演出がうまくいかないところもあったり。それでも彼女たちは全身全霊で踊って歌い、楽曲に命を吹き込もうとしていた。

 はっきり言って、メンバーごとのパフォーマンスのクオリティにも差がある。モニターすらないシンプルな舞台だからこそ、残酷なくらいにそれは目立つ。だけど、追いかける側のメンバーは誰一人諦めないし、追いかけられる側のメンバーも誰一人手を抜かない。

 櫻坂46のパフォーマンスは、"みんなで〇点を目指す"というものではなく、個々が"楽曲を届ける"という所に軸足を置いてそれぞれのベストを尽くすことで、結果としてグループ全体の最高点を叩き出していくスタイルだと思っている。だからどこを見ても、誰を見ていても、櫻坂のライブはめちゃくちゃ楽しくて、充実感がある。
 三期生は3rdツアーの時から、既にそれを理解していた。歌やダンスのスキルは一朝一夕で向上するものではない。先輩達に技術で追いつけないならば、自分達は何をすべきなのか。何を求められているのか。どうすれば、櫻坂の一員としてのパフォーマンスを成立させられるのか。みんなで話し合いを重ね、一人ひとりがそれを実践してきたことで誰もが認める期待の新戦力としての地位を築いた。
 3rdツアーでは三期生一丸となりフレッシュな勢いで会場にブーストをかける役割を全うしたが、新参者公演は各曲でセンターが入れ替わることもあり、個々のパフォーマンスへの注目や期待が必然的に大きくなっている。ステージや会場は広くなく演出も最小限で、一人ひとりの動きや表情がよく見える。強みであるチームワークに甘えてはいられない環境だ。
 三期生はそのこともよく理解していた。前述した先輩達とのパフォーマンススキル差の話が、新参者公演では三期生個人間の話になる。できることが違うなかで、何で一つになるのか。やはり彼女たちは櫻坂の一員として"楽曲を届ける"という本質を見失わなかった。その楽曲が本来持っている盛り上がりや物語、美しさを最大限に引き出すことに一人ひとりが向き合っていた。会場を巻き込む曲、魅せる曲、聴かせる曲があるなかで、どんなパフォーマンスをしたいのか楽曲ごとのコンセプトを共通認識として落とし込んでブレることなく表現していた。スキルに差はあれどそれぞれのステージングにはらしさがあり、意地とプライドを携えながら全員がベストを尽くしていた。その上でたくさん目を合わせ、微笑み合いながら楽しんで楽曲を届けていた。マジでみんなかっこよかった。

 初日公演のMVPは誰がなんと言おうと村井優。これだけは譲れない。会場の1ミリでも奥まで楽曲を届けようとしていた。ダンスの一つひとつの動きに魂を込めていた。移動の一歩一歩も表現にしていた。一言一句客席に歌いかけていた。大きな瞳は雄弁で、客席の声に誰よりも耳を傾けていた。しかも2回目のダンストラックからさらにギアを上げ、それ以降ずっと一回り大きく見えていた。あんなに身長あったっけ?と何度も思うくらい大きく見えるほどの凄まじさだった。
 もう一人書き残しておきたいのは遠藤理子ちゃんのパフォーマンスについてである。彼女のダンススキルは他のメンバーに比べると確かに発展途上かもしれない。それでも、3期生曲やBAN、Deadendといった披露回数を重ねている楽曲での彼女のパフォーマンスは、他の子より目を引くものがある。絶対に絶対にこの曲を届けてやるんだという迫力がある。その気迫と覚悟に痺れたし、10公演通してどう成長していくのか、一番楽しみなメンバーでもある。

  三期生のパフォーマンスを見ていると、自然と声が出るしペンラを振る手に力が入る。がんばれと心の底から素直に思う。それが三期生が三期生にしかできないパフォーマンスをしている何よりの証だと思う。

 なんか本当にシンプルに、櫻坂が好きだなって思った。
 ステージにいる三期生を見ながら、彼女たちをこんなに熱くさせる一期生、二期生含めて櫻坂のみんなが大好きだなぁって。はやく先輩たちのパフォーマンスも見たくなった。


以下、全曲、全員雑感です。


全曲雑感

夏の近道(谷口)

 圧倒的キラーチューンで華麗なスタートダッシュを決める開幕。盛り上げたいという意図がバーンと打ち出せるの良いね。この曲の谷口さん、宝石みたいな輝き方をしている。

Anthem time(中嶋)

 ゆーづが真ん中に立った時のキラキラ感、お姫様みたいだった。品のある笑顔と屈託のないかわいらしさによるヒロイン性の高さ。あとコールめちゃくちゃ楽しい。

思ったよりも寂しくない(的野)

 的野が駆けていく場所からそこが草原に見えてきて、火を囲む風景が浮かんでいく。ナチュラルにステージの空気を変えてしまう的野のパワー、凄い。
 的野の低めの歌声が「誰もが恐れていたんだね」のソロパートにとてもマッチしていて心地よかった。息切れ気味のラップは伸びしろでしかない。

それが愛なのね(山下)

 しーちゃんセンターでこの曲なのちょっと意外だったけど、本人曰く「人生で一番大きな声を出した」らしい曲前の煽りでしっかり会場のハート掴んでいて流石。客席とコミュニケーション取るメンバー達が楽しそうで可愛くて、こっちまで楽しくなった。

君と僕の洗濯物(向井)

 純葉かわええ!慌てて起きる純葉かわええええ!洗濯物干す純葉かわえええ!!あんたほんまにかわええな!!このままにこにこすくすく育ってくれ〜!!

Dance Track

 村井優のダンス、好き。

偶然の答え(谷口)

 谷口さんの女優みたいなオーラが存分に発揮されてたけど、こちらの期待値が高くなっている分まだまだいけるようにも感じた。バキバキのダンストラックからの雰囲気の切り替えは結構難しいところな気もするので、谷口さんの表現力に期待。ゆーづの切なげな表現が秀逸だった。

ブルームーンキス(村井)

 優ちゃんのセリフ、結構あっさりしているんだけどそれが逆にめちゃくちゃ可愛くて頭抱えた。あの、もう、これ以上好きにさせないでもらえますか?

桜月(小田倉)

 さすがに桜月には強い思い入れがあるので泣きました。小田倉さん自身が美しい桜の木だった。最後のMCで腰に怪我を抱えていて参加していない曲もあると本人達から説明あって腑に落ちたけど、この曲の小田倉さんの動きに確かに「あれ?」と思う瞬間はあった。それでも曲の美しさと切なさを表現しきっていたし、ちゃんとこちらまで伝わってきていた。

Dance Track

 村井優のダンス、好き。(2回目) あとしーちゃんのデフラワータイムがあって思わず声が出た。 

Nobody’s fault(村井)

 おもてなし会より明らかに増している村井優センターの説得力よ。

なぜ恋をしてこなかったんだろう(的野)

 いい意味で的野の調子乗りっぽいところと、この曲の恋に浮かれたニュアンスが合っていた。やっぱり場の空気を一気に変えられる的野、すごい。糸の演出のところで的野の身体に糸が絡まってなかなか解けずにヒヤヒヤした。その分パフォーマンスの時間が削られていたの悔しいね。このあとのMCで的野が心ここにあらずって感じだったの、これの悔しさもあると思う。がんばれ的野。
「幸せは敵作らない」の石森村山が大きなハート作ってて可愛かったです。

半信半疑(村山)

 髪の毛で踊るよね村山さんって。やっぱり眼光の鋭さは三期生のなかでも群を抜いている。

静寂の暴力(山下)

 個人的にはこれを見に行ったと言っても過言ではない。MVと同じように照明を極力シンプルにした演出。一つの生き物のように波打つダンス。心に触れる切実な声。
 あまりに良くて曲が終わったあと、2秒くらい会場全員が動けなかった。

Deadend(村井)

 拍手が鳴りやまないままかかるイントロ。イントロで優ちゃんが煽っていたけど、音声さんの切り替えミスか声がマイクに乗っておらず3階までは届かず。もったいなかった。音声さんよろしく頼む。
 この曲の優ちゃんのちょっとジャンキーなダンス好きなんすわ。

BAN(石森)

 もう何回も見ている石森BANなのに「時間はあんなにあったじゃないか」が毎度最高すぎて「っしゃーー!!」って叫んじゃう。えんりこがめちゃくちゃ頑張っていて、彼女の意地とプライドを見た。

マモリビト(小島)

 こんなぎの等身大ゆえに胸に迫るパフォーマンスは唯一無二。時に身を投げ打つかのように踊るみんなの姿は、なんというか、そのままドキュメンタリーを見ているような気分だった。

アンコール
Buddies(中嶋)

 会場を包み込むようなゆーづの優しさと希望にあふれる空間。多幸感やばい。「こんな真っ青な空」の的野の歌声が良かったことが印象に残っている。

櫻坂の詩(小島)

 がんばったね、みんながんばった。やりきった表情の子が多くて、よかったねと思った。きっと悔しい気持ちの子もいただろうに、ちゃんと晴れ晴れとした顔でステージを去っていくの、アイドルとして素晴らしいなと思った。 

全員雑感

小田倉麗奈
 確かに万全ではなさそうだったけどそれでも伝わるものがあった。それでも伝えられる強い人だった。MCで客席の声がよく聞こえるという話題の流れでの彼女の「声を届け合っている」という言葉選びには、やはりはっとする美しさがあった。
 最後のMCに腰の怪我についての言及があり、本人も言葉を詰まらせながら悔しさを吐露していたけれど、ゆーづが「みんなで長く踊り続けるための決断」とフォローしていた通りだと思う。まだまだ先は長いので、しっかり治してほしい。説明しながら泣きかけた小田倉さんより、いつの間にか隣の純葉の方が泣いていた。泣きながら寄り添って小田倉さんに微笑みかけていた。良いチームだなぁと思った。

石森璃花
 やっぱり可愛い振りを躍らせたら右に出るものは居ない屈指のあざとさ。きゅるんって音が聞こえてきそうなキュートさ。そのうえで激情にも振れるのだから強い。MC回しの役にも挑戦しており、彼女がしゃべると会場の空気がふあふあになってしまうからすごい。

遠藤理子
 被露の回数を重ねている楽曲における彼女のパフォーマンスの質は他の楽曲とは見違えるほど高く、彼女のプライドと負けず嫌いな一面を強く感じた。この曲だけはなにがなんでもという意地がある。まだものにできていない曲を10公演でどうしていくのか楽しみ。

小島凪紗
 誠実な人柄がパフォーマンスにも現れていて、その等身大のパフォーマンスに胸が打たれる。櫻坂への誰より強い想いを抱きつつ、視野の広さも健在。MCの時、会話の流れを崩さないようにジェスチャーだけで客席に座ることを促したのファインプレーだった。
 MCの飾らない言葉選びと感情が乗った声は菅井様のMCを彷彿とさせる。

谷口愛季
 一瞬一瞬、なにもかもが様になる。芸能人としてのオーラは一人卓越している。身長のあるメンバーと並んで踊っていても、一つひとつの動きが綺麗に決まっているので存在感があり、全く埋もれない。表情も全てが様になっているのでどこに居ても映える。見失うということがない。

中嶋優月
 ステージの中央に来た時の圧倒的ヒロイン感は断トツでビビった。かと思えばセンセーショナルに髪を振り乱して踊るあの子は誰!?となった子もゆーづだったりして表現の幅の広さを感じたし、それは本人の豊かな感受性の豊かさがもたらしているものだと思った。

向井純葉
 かわええ!あんたかわええな!!楽しそうに踊っているというより、みんなと踊るのが楽しくて楽しくて仕方なさそうだった。メンバーとたくさん目を合わせたりしながら笑っていて、そのまますくすく育ってくれ~って思った。褒められたがりMCも相変わらずでヨシ!

村井優
 何度でも言おう、今日は彼女がMVP。誰を見ていても目に入ってくる。一人だけエンターテインメントの次元が違った。ステージを生きていた。もうこれは見てくれとしか。

村山美羽
 髪で踊る夏鈴ちゃんの後継者。乱れた髪の合間から覗く強い眼差しが会場を射抜いていた。身長を活かした迫力があるダンスでありがながら大振りだったり荒さはなく、形が美しいのでいつまでも見ていたくなる。でもって笑うとキュートなのズルすぎ。

山下瞳月
 今日のしーちゃんはその時その時のポジションをしっかり全うしているように見えた。良い意味でチームとしてのバランスを最優先していた印象。ただセンターに立った時の表現の説得力はさすがというほかないし、ゴリゴリのダンストラックもめちゃくちゃ痺れた。


 以上。

 11月12日、12月2日の配信で彼女たちがどんな新参者公演を見せてくれるのか今から楽しみです。











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