Sicko Born from pain
Sickö(Born from pain 1993)とは、カニエやエイサップロッキーのスタイリストを手がけるトップインフルエンサーのイアンコナー/Ian Connorによって設立されたアパレルブランドです。
Born from painはオランダのハードコアパンクのグループに由来していると考えられ、1993はイアンコナーの誕生日を指しています。Sickoは病気を意味しており、狂っていてかっこいいものを指すスラングでもあります。(日本語の「おしっこ」から由来しているのでは?との情報もあります。)
イアンコナーはビンテージアイテムやバンドグッズをコーデとして着るダークなキャラとして知られ、今回のブランドも悪魔・ハイアート・ヒップホップ・パンクといった彼のバックボーンから作られています。
Sickoは一言で表すなら「凶悪な若者達のクラシックなアート集団」。イアンコナーの知的かつ悪名高い個性や近年のアートとファッションの融和を踏まえた独自のマーケティングで人気を博しています。
設立して間も無いブランドにも関わらず、カルト的人気を誇るSickoはなぜ注目を集めるのでしょうか。その特徴を見ていきましょう。
人型のシグネチャー
Off-Whiteのばってん、村上隆のお花のように、ブランドには「シグネチャー」と呼ばれる記号が存在します。
SickoではアメリカのポップアーティストT-Rexを起用し、彼の描く赤い悪魔の女の子をシグネチャーとして扱われています。
RexはかつてKawsが行った広告のモデルの顔に落書きしたり広告にマスクをコラージュする手法を取り入れてたり、モデルの顔を自分のキャラクターに仕立てたりするアーティストで、sickoブランドの顔になったことで多くの業界人から注目されて、村上隆が主催するアートギャラリー“Tonari no zingaro”で個展を開くなどアート方面でも成功を納めています。
若手アーティストのエージェントとして機能しているところもSickoの凄いところですね。
↑Kawsのコラージュ。無断で広告が描き加えられている。
↑Sickoの広告
ちなみに人型のキャラクターをシグネチャーとするブランドは今まであまり使われることがなかったのですが、近年のキャラクターTシャツや絵画を用いたクラシックなグラフィックのブームもあり、需要に嗅ぎつけたSickoがいち早くシグネチャーとして起用しました。
誰も使っていない記号を用いているため、どのブランドよりも強力な個性を放っています。
プロダクト販売の少なさ
Sickoは発売前に、カニエ・ウェストやOff-Whiteの設立者であるヴァージルアブローをはじめとする多くの著名人に服を配布して着用してもらうことでブランドを宣伝しました。
Sickoが過去に展開した服は数多くあるものの、販売した服の種類は数着にも満たないのが特徴です。自分たちや友達が着用するだけにOff-Whiteとのコラボ作を作ったり、展開数を極端に少なくすることで、顧客を焦らして購入意欲を掻き立てる売り方です。
ノリの軽さ
Sickoのロゴはビョークのフォントを丸々サンプリングしてます。
いくらサンプリングがある程度尊重されている業界とはいえ、著作権法をいとも思わないような潔いところもイアンコナーらしいと言えるでしょう。
また、Sickoでは未発売のリメイクも多く制作しており、ファンが作ったプロモーションビデオをそのまま公式のPRとして使うなどフットワークの軽いところもブランドの特徴です。
↑未発売のリメイク品(おそらく非公式)
まとめ
Sickoの魅力をまとめると、
・類を見ない人型のシグネチャー
・アーティスト探知機としての役割
・大物アーティストの着用による宣伝
・プロダクト数に対する供給の少なさ
・リメイクやオマージュを作るノリの軽さ
これらがブランドが人気を誇る理由です。
ちなみにもう売り切れてます。残念でした。