FacebookのE-コマース事業がFB/Bigcommerce/Shopifyに与える影響の考察

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<FacebookのE-コマース事業に参入>

先日Facebook/Instagram(以降 FB)がチェックアウト実装により、アプリ内で直販する機能が実装されるニュースが飛び出してきた。

またFBのバックエンド機能をサポートする企業としてBigcommerce(以降 BIGC)とShopify(以降 SHOP)がノミネートされたことがサプライズとなり、BIGCの株価が1週間で2倍になると言う上昇を見せた。(現在は1.5倍前後に落ち着いた:70$→110$)(SHOPは動かず)

FBといえば、世界最大のMAU(Monthly Active User)を誇る巨大プラットフォーマーであり、上位MAUは下記の通りFBとInstagramで34億MAUと言う巨大な数字となっている。

Facebook: 24億MAU
YouTube (arguable): 20億MAU
WhatsApp: 15億MAU
FB messenger: 13億MAU
iMessage: 13億MAU
WeChat: 11億MAU
Instagram: 10億MAU

この巨大MAUは消費者と密接に繋がっており、e-コマースで物販する企業からしてみれば最大級の、しかも精密なターゲティングが可能な良質なマーケットが新たに誕生したこととなる。

当然e-コマース企業はFB物販に参入するために、BIGC/SHOPを利用しなければならない。

この期待によりBIGCの株価は跳ねたのだ。


<参考値:AMAZONのe-コマース売上と出店者数>

とは言っても消費者のお財布には限度があり、マーケットは食い合うことになる。

世界最大のe-コマースマーケットといえば当然AMAZONだ。

2020年Q2決算ではAMAZONの売上は890億$であり、まさに怪物。

そのうちオンライン販売関連売上高の内訳は、直営のネット通販事業が458億9600万ドル(約4兆8500億円)、出店者からの手数料および物流サービス収入が同52%増の181億9500万ドル(約1兆9200億円)。

出店者の手数料および物流サービス収入を低く見積もって出店者の売上の15%とした時、出店者自身の売上は1200億$(= 181億$ / 15%)(約12.8兆円)と推定される。

したがってAMAZON上で動いている金額は1Q(3ヶ月)あたり1,658億$( =直営ネット通販事業 458億$ +出店者販売額 1200億$)(17.7兆円)と推定される。

また米経済ニュースのCNBCによると、アマゾンは世界に200万社以上の出品業者を抱えているとのこと。


<FBに与える影響について>

上記のAMAZONの売上が仮に10%ほどFBで発生したとすると、1Qあたり166億$(= 1,658億$ x 10% )(1.7兆円)の金額がFB上で動くことになる。

FBはコミッションとして5%要求するようなので、単純計算するとコミッション総額で8.3億円(888億円)となる計算だ。

FB の2020年Q2の収益は 180.7億$(1.9兆円)であり、ここに8.3億円のコミッションを加えた場合、189億$となり、+4.5%ほどの影響となり、影響は限定的である。

したがってFBはしばらくの間はe-コマースではなく従来の広告モデルに依存することになりそうだ。


<BIGCに与える影響について>

FB上でBIGCを使ってe-コマースする企業がどの程度になるか全く予想できないが、AMAZON出店企業のうち10%がFBでも販売しようとした時、20万店がBIGCとSHOPを使用することになる。

BIGCは現在6万店、SHOPは60万店であり、割合としてBIGCとSHOPは1 : 9、この割合を新規出店数として使用した場合、BIGCは2万店を新規に確保することになる。

(当然アマゾンとBIGC/SHOPにも同時に出品している企業もいると思われるが、BIGCやSHOPに出店する主な企業はD to C系であるため、画一的に商品を販売するAMAZONとは親和性が高くなく、そこまで同時出店している企業は多くないと思われる。)

BIGCで2万店の新規増加と既存の6万店を合計すると8万店となり、その数は+34%となる。

またBIBCはY to Y(2019年Q2と2020年Q2を比較)で30%以上増益し3,500万ドルの収益となっており、BIGCは完全にサブスクリプションで収益を立てているので出店数の増加=売上の増加となることから、この成長率+30%に加えてFBの新規加入店舗数 +34%を単純に売上成長比率に加えると64%の成長率を期待できる。

この+64%の成長率は現在のPSRは70程度であるが、一気に30程度まで押し下がることが想定され、かつ成長率の再加速であることから市場からかなりの評価を得ることが期待される。

ちなみにSHOPも同様に新規出店者数+30%が期待される、が、SHOPの場合は下記ツイート内容を個人的に懸念している。


<結論>

・FBはしばらくコマーシャル事業より広告事業依存の状況は変わらないため、投資は慎重にに行いたい。

・BIGCとSHOPはどちらも多数の新規出店数を得られる見込みだが、FBとの親和性はBIGCの方が高く、個人的にはBIGCに投資したい。


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