見出し画像

8/30(月)-9/5(日) 1週間のミャンマーでの出来事まとめ

ここ1週間でのミャンマーの出来事をざっくりまとめてみました。

犠牲者の数

死者 1,046名
逮捕 7,876名
うち現在も拘束中 6,230名
逮捕状発行 1,984名


ミャンマー春の革命 の写真が受賞

Visa d'or News Award 2021 は ミャンマーの匿名写真家による「ミャンマー春の革命」が受賞。賞金は 8,0000ユーロ。 (本体ページ こちら


ヤンゴン各地で29-30日にかけて爆発が発生

早朝の爆発だったこともあり、死傷者は報告されてないが、少なくとも5箇所(ダゴン、カマユ、インセイン、サウスオッカラッパ、ノースダゴン)で発生。誰がやったのかもわかっていない。民主派なのか、軍なのかも不明。


The Global Treasure Bank(GTB)マヤンゴン支店に強盗。

1億チャット(約 61,000ドル)超が奪われた。以前には別の支店に強盗が入った事も。

またこの数日後には、KBZ銀行のシャン州北部の支店でも銀行強盗発生のニュースがあった。これもまた、誰の仕業なのかは、わかっていない。


マンダレーでは9月4日街頭抗議活動が展開され、若者や学生、僧侶等がクーデター反対の抗議活動。


METRO 10月末でミャンマー事業停止

ドイツ食品流通会社 METRO が10月末でのミャンマー事業オペレーション停止を発表。2019年開業なので2年以内での事業停止。

「現在働いている 従業員 131名はトレーニングもされたとても優秀な人物である」等のメッセージも添えた上で「彼らの仕事の面倒は見る」といったスタンスも明確に発信。
2019年に開業し、一気に顧客基盤を拡大。しかし、レストラン等が顧客であり、2020年3月以降のCOVID19感染防止対策のため、レストランは休業をやむなくされ、必然的に同社事業も厳しい状況に追い込まれたのではないか、と。さらに、その後のクーデターとCOVID19の第3波で継続の選択肢がなくなった、といった感じだろうか。
ミャンマーに大型投資を行なった外資系企業がまた1社、ミャンマーから実質上の撤退。しかもティラワ経済特区。「事業停止以外の選択肢なし」との言葉は重い。


日本ミャンマー協会 会長 渡邉氏のコメント と ミャンマー語報道

日本の官民によるティラワ経済特区開発の受注に大きく貢献した、とされる日本ミャンマー協会の会長 渡邉氏のコメント。日本ミャンマー協会の総会直後に「ミャンマーの民主主義はインチキ」とのコメント。
そして " 国軍派 " との言葉は相当嫌っているようで、強く反応…。過去の言動等を見ている限り、傍から見ると、国軍派でない、と説明する方が難しい気がしてしまいますが…。
なお、渡邉会長は、クーデターから1週間後の2月8日と、6月(?)にミンアウンフライン氏とネピドーで会談。
しかし、立場は日本政府のスタンスとは真逆、との印象。

これを受けたようなタイミングで、現地 Irrawaddy メディアもミャンマー語で記事を発信。ミャンマー人にも広がっている。日本の国益…


中国のアジア特使がミャンマー訪問していた事が判明

中国のアジア特使が 8/21-28 にミャンマーからの招待を受けて訪問していた事が判明。ミンアウンフライン氏、ワナマウンルイン氏等と会談。

概要
・すべての政党や団体が、国と国民の長期的利益のため、憲法や法律の枠組みの中で政治的対話を通じた適切な解決策の模索を望む。
・ASEAN 5つの合意事項の実現を積極的に支援する。
・過度の外部からの介入には反対。
・アウンサンスーチー氏との面会も求めるが軍は拒否。

滞在期間は約1週間。おそらく隔離期間等はないかと。
これだけの期間滞在した末に、出てきたメッセージの内容は、シンプルなものであり、どうもまだまだ裏がありそうな感じは受けてしまう…
しかし、その後イラワジから出た報道では、スーチー氏への面会を求めた等の情報もあり、表向きのメッセージとしては、軍寄りだけには見えない。一貫して ”外部介入に反対”、ASEAN 5つの合意事項を支援、との立場。
とはいえ、どの国もそうですが ” 外交 ” はかなりセンシティブな領域であり、機密情報が多くなるため、情報量が少ないのはやむなし、かと。
とはいえ、渡航前でなく、帰国後の公開など、なんとも気になる動き。


Htoo Group と テイザー氏が英国の経済制裁対象に

Htoo Group 及び そのオーナーの U Tay Za が イギリスの経済制裁の対象に。
これまで 軍の SAC 関係者や、軍系財閥、ミンアウンフライン氏の家族の事業 等が中心だったが、クローニーといわれる政商に対する制裁はおそらく初。とはいえ、軍と一緒に武器購入のためにロシアに渡航するなど、あからさま過ぎる形で軍を支援。武器輸入の支援を通じて、軍による人権侵害に加担してきたため、このタイミングで制裁対象となった。今後、他の民間企業にも…とちょっと気になった報道。


グローバルなアパレルブランドに対する ミャンマーからの調達停止を要請する声明

全ビルマ労働組合連盟とミャンマー一般労働者連盟の共同声明。
「我々は尊厳を持って、未来を勝ち取るために犠牲を払うつもりです」と。

かなり 重めの内容で共有したいので Deep L を用いて 日本語翻訳。
原本は Facebookページ(こちら)にも掲載あり。

ミャンマーで調達しているすべての国際ブランドに、
ミャンマーでのすべてのオペレーションを停止するよう要請

日付 2021年9月3日
  
2月1日にミャンマーで起きた軍事クーデターの余波で、ミャンマーの労働者の状況は極度に悪化しています。クーデターに反対する労働者や労働組合のリーダーは、軍の標的となり、刑事責任を問われています。労働者は射殺され、多くの人が逮捕されています。
使用者は、労働者の法的権利や労働協約を平気で侵害しています。紛争を解決するはずの紛争解決メカニズムは全く機能していません。
クーデターの状況を利用して、使用者は常用労働者を広く解雇し、最低賃金よりもさらに低い賃金の日雇い労働者に置き換えています。
さらに、ミャンマーでCOVIDが猛威を振るった際、使用者は工場でCOVIDの安全対策に従わず、その結果、数え切れないほどの労働者がCOVIDで苦しみ、死亡しました。
使用者は、主にミャンマー軍に情報を提供し、協力して、問題があると思われる組合長や軍事クーデターに反対する組合長の名前を兵士に提供することで、意図的に組合を破壊しています。多くの工場では、雇用主が軍の兵士に工場内の組合リーダーを逮捕しに来るように伝えています。
労働組合のリーダーたちは、逮捕されないように身を隠さなければならず、結果的に雇用主が法的に認められている労働者の休暇を認めないため、彼らは一斉に職を失っています。

国際的なブランドがミャンマーへの経済制裁に懸念を示していることは理解できますが、ミャンマーの労働者は、労働者の権利や人権が残酷に侵害されている現状から、これ以上失うものはありません。

私たちは、尊厳ある未来を勝ち取るために、犠牲になることも厭いません。何千人ものミャンマー人労働者の組織された集合的な声として、私たちは、現在もミャンマーで活動しているすべての国際的なブランドに対し、ミャンマーからの直接的または間接的な調達を中止し、ミャンマーでのすべての事業を停止することを求めます。

全ビルマ労働組合連合会 .
ミャンマー一般労働者連盟.

正直、はじめは、労働者の事を無視した 組合のご都合メッセージだろう、とうがった立場から目を通しはじめた。しかし、読み始めてみると、クーデター以降、かなり悲惨な状況に置かれている事情も見えてきた。
ざっくりいえば、雇用主が圧倒的に強くなってしまい、労働組合が機能していない、という事かと。そういう企業が増えているのかもしれない。

一方で、人権デューデリジェンスも行った上でミャンマーでの事業を開始し、クーデター後にも変わらず労働法や人権を遵守し、雇用維持に懸命に努めている事業者もいるだろう。正直、事業者は滅茶苦茶 大変だ。
 事業環境は悪化の一途を辿り、原材料輸入も困難で、輸出もなかなか読めない。事業継続に必要な資金の引き出しにも制限が掛かり、ミャンマーチャットの現金化は困難で、ワーカーさん達への給料支払も困難。目の前にはクーデターとは無縁で、日々の生活で精一杯なワーカーさん達が沢山。きっと働きたい、という人も増えているだろうし…
よって、声明での要請は「オーダーするな」ではなく「人権DDちゃんとやって、責任ある事業者として振る舞ってくれ」くらいのメッセージでいいようにも思う。そんな事はやり尽くした上で、言うことを聞かない業者が多すぎるからこその声明なのかもしれないが…


軍は、Public Holiday をさらに延長

土日含めると 7/17(土) 〜 9/12(日)まで 57 連休換算。

もはや何も言うことはない。いつまで…


軍の不人気振りが幹部養成機関への願書提出数から明白に

軍、幹部養成機関の希望者が定員に達することなく、申込み期限を延長。
この数字だけ見れば、例年の 100分の1以下(300分の1?)の水準。
 圧倒的不人気となったことがよくわかる。
ミャンマー国民の総意、という事ではないでしょうか。火を見るより明らか。


軍 副司令官 ソーウィン氏ロシアへ

ご当人は平服。幹部が手を降ってお見送り。あとロシア関係者も同席。ミャンマーとロシア、どうにかなってしまうのでしょうか。
ロシアからすると、ただの武器輸出国のありがたい商売相手 くらいにしか見てないと思うのですが、どうなんでしょうかね。

シタグ・サヤドーもモスクワに。


ミャンマーの廃貨の歴史

こういった情報もあったのでせっかくなので貼っておきます。
ちょうど 34年前の 9月 5日 が 廃貨の日だった、とのこと。
事前に「デマだから安心せよ」と(おそらく国営紙)に新聞広告を掲載した上で廃貨にするなんて、ほんと酷い。にわかには信じ難い対応。
過去3度廃貨にした国。その経験をしているからこそ、廃貨の話題がちょこちょこあがる。
最後の廃貨は 34年前ですが、2003年には、最大手民間銀行だった Asia Wealth Bank に、当時の政府によって銀行免許を取り消し、その後 破綻(Wikipedia こちら)、という由々しき事態も起きています。なおこの銀行の経営者は、Junction City 等の運営をおこなう Shwe Taung Group の アイトゥン氏。 
なお この中途半端な 25ks, 35ks, 75ks のうち、75ksは ダウンタウンの浜ちゃんに似てる、と一時話題になった事もある紙幣。



情報発信をサポートいただけると嬉しいです! いただいたサポートは、情報収集等の活動費に使わせていただきます。