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9/6(月)-9/12(日) 1週間のミャンマーでの出来事まとめ

ここ1週間のミャンマーでの出来事、まとめ

犠牲者数

死者 1,080名(先週 +34名)
逮捕 7,876名(先週 +172名)
うち現在も拘束中 6,230名(先週 +168名)
逮捕状発行 1,984名(増減なし)


今週、衝撃的だった映像。犠牲者 となった2人の少年。
軍に捕まり、拷問を受け、殺される前に3本指を掲げている映像。
これは軍側から出た映像、との情報もある。(真偽不明)

軍が焼き払ったマグウェ管区の村の様子。その後を見て回っている映像。若者達はどんな服装で戦っているのかが見て取れる。銃も装備も非常に簡素。


Global Myanmar Spring Revolution (9/12 世界デモ)

世界中でのデモ抗議

東京の国連大学前でのデモ行進
日本では、東京だけでなく各地でデモ行進が行われた。

イギリスでもデモ行進

韓国でも抗議活動


9/7 自衛のための戦いの開始 宣言

7日の朝、国民統一政府(NUG)のドゥワ・ラシ・ラー副大統領が演説し、国軍に対する「自衛のための戦いの開始」を宣言。

※表現について
「D-Day」 とのワードも出ていたし、自分もそう捉え「宣戦布告」とのワードを当初用いたが「そうではない」という話が聞こえてくる。各方面の話やその後の動きを見ていると、「D-Day」「宣戦布告」の言葉は適切ではない、と今は判断している。

こちらが宣言の動画 ※英語字幕付き


内容としては、幅広い人達への声掛けとなっていたのが印象的だった。

例えば
・行政官に対して「退去せよ」
・防衛軍(PDF)に対して「国民の生命と財産を守り、軍規と行動を遵守せよ」
・国民に対して「不要な移動を避け、安全に留意を。物資や薬を備蓄し、PDFを支援と情報提供を」
・民族武装勢力に対して「軍を攻撃せよ。領土を守れ。」
・国境警備隊(BGF)や民兵に対して「国民の側につけ。」
・近隣諸国やASEAN諸国、国連をはじめとする世界中の国々に対して「理解してくれていると思う」
・公務員に対して「出勤をする」

詳細は、下記に翻訳含めて掲載されているので、関心ある方はご覧くださいませ。また内容もぜひご一読いただければ、と思います。


 この報道の前日、ちょうど ASEAN特使がミャンマーの軍に対して「人道支援のための停戦を要請、軍が同意した」との報道が流れたばかりだった。

 よって、この報道が流れた時には、もう少し状況を見てもよかったのでは、、、と思った自分がいた(今はそう思っていない)。開戦宣言を公にするなんて…とも思った(今はそれほど、思っていない。)。

 しかし、それと同時に「軍は口ではなんとでも言うかもしれないけれど、結局 行動を変えるつもりはないだろうな。ただの時間稼ぎだろうな。」とも感じていた。(これはその後の 軍からの発表で明らかになった。)

 結果として、軍の報道官は「停戦に合意などしていない」と発言。やはりか…という感じだった。

 この辺りをトータルで見て、感じた事を少し。
 軍はやはり軍のやり方、という印象。NUGの宣言に対しても、少しモヤモヤはあった。あえて仕掛ける必要はあったのか?と。ただ、ここには違うメッセージもあるように感じた。情報戦ではないが、軍からの離脱者を増やそう、という動きを狙っているようにも思えた。
 そして、これまでの行動を見れば、軍の非人道的行為は明らか。NUGとしては、色々と交渉をして、準備を続けて、ようやくこのタイミングにきた、という事なのだとは思う。
 この宣言について、何人かミャンマー人の友人に聞いてみたところ、このままズルズルと実効支配を続けられるよりも、、、という想いを抱えている人がほとんどだった。
 それこそ田舎の人や、一般の人がどう捉えているかはわからない。
 しかし、多くの国民は 選挙で NLD に投票した。それは選挙結果を見れば明らかだ。もう少し丁寧にいえば、軍を支持している人はとても少ない。2020年の選挙結果を見れば、軍系政党 USDP は前回選挙より議席を減らしたのだ。
 軍は、不正投票が〜、とか言っているが、まともな証拠を出さず、軍にとって都合の悪い情報(有権者名簿でなく投票者名簿が証拠としては適するはず。不正投票防止インクもあるわけだし有権者名簿がズレてても不正とは言えないのは明らか。)は隠し続けているわけで、さすがに…というのは、多くの人はわかっているだろう。「さすがに無理があるだろうよ」ってほとんどのまともな人は気付いている。
 だから軍のいうことは やっぱり信用できないし、軍の非人道的行為には我慢ならない。もちろん 怖いから従うしかない、という想いはわかる。自分も身内も巻き込まれたくない、という想いは強い。
 でも、やっぱり、、、それが軍に従うべきだ、軍にやらせてみても、という風に転換されるのはやっぱり違うと思う。だから、国民の側であろう、と自分は思っている。 ただ人が死ぬのはやっぱり嫌。平和であってほしい、とも思っている。

自衛戦開始 発表後の動き

 9月 7 日以降 爆発のニュースや、戦闘が、という報道も少し流れている。
例えば、ということで幾つか紹介しておきたい。

 9日、ヤンゴンのサンチャウンで、軍の車両が爆破され、軍側の兵士2人が死亡。


それを受けて、軍は道路を封鎖しかなり厳しく検問。その数日後には、市場が閉鎖を余儀なくされた、との情報も。


 ザガイン管区を中心として、軍系企業が運営する通信会社 Mytel の電波塔が幾つも倒された。報道によれば 9月 9日だけで 36塔、ザガインで 22塔が破壊された、とも。

なお、ダウェイでは、9/5 Telenor と Ooredoo の電話・インターネットが 14:30-16:00 の間、遮断された、とのこと。MPT と Mytel は使えたそうで。Telenor と Ooredoo は ビジネスしにくいのだろうか… 


10日の報道だが「夜中の検査」として、住所登録されてない者を見つけ出し、100人以上が連行された。翌日午後までに解放された人もいるが、一部は拘束されたままとの情報。
徴兵なのか、労働力確保のためなのか、意図は不明。軍は不動産オーナーにもプレッシャーをかけている。

チン州の山の中では子どもたちがほふく前進を教わり特訓中。
生き延びるための教育が最優先されている状況はなんとも辛い。

こうした事が起きている現状はとても辛い。


ミャンマーチャット安が急激に進行

 1 USD 2,000MMK の大台に市場レートは達した、との情報。クーデター発生以降、大きく ミャンマー・チャットの価値が下がっている。


  国民の中からは、MMK ではない 新しいデジタル通貨 MYD を、という流れも生まれている。それ系の記事もせっかくなので貼っておく。


なお MMKの価値の急降下を受けてか、軍は管理レートを廃止…?と通達を出した、とか。これは様子見かな、と。もっといえば注視。
なにかもっとわけわからないことをやりかねない。

 

軍がウィラトゥ師を釈放。


反ムスリム過激派僧侶として有名なウィラトゥ師。軍がこのタイミングで釈放。同師は、ミンアウンフライン総司令官との間に太いパイプがある、という記事(下記リンク)も過去に出ており、このタイミングでの釈放には軍の意図がありそうな気がする…


軍が NGO、INGO、CSO スタッフ 234名に解雇要請

WHO や UNOPS 等の国際機関と関係があるNGO等が多く含まれているように見受けられる。マラリア、ハンセン病、結核 等のプロジェクトの名前がある。ミャンマーでのハンセン病といえば、日本財団がWHOを通じて支援を、という記載が各方面にある。影響もありそうな気が…


8日、ASEAN特使でもあるブルネイ外相と茂木外相が電話対談

1,ミャンマー情勢に関する情報共有にあわせ、特使のミャンマー訪問実現への期待を伝え、日本政府の人道支援について検討状況を説明。
2,特使への期待と努力に敬意を表すると共に、ミャンマー訪問時にはできるだけ多くの関係者と対話することの重要性を指摘、日本政府も支援する旨を伝達。今後も緊密に連携。
3,医療用N95 マスク 5万枚をブルネイに提供することを伝達

民主化を支援する議員連盟とNUG のオンライン会談 が 8日に開催。
7日の宣言の翌日のオンライン会議で、色々な情報が飛び交ったと思われるが、今回は非公開での開催。外交筋ではないが、石橋議員はじめとする、日本の国会議員と NUG の意見交換が行われているのは、前向きに捉えたい。



中国共産党が NLD と USDP も招き会合

木曜に開催された 中国共産党が主催した「アジアの政党サミット」にNLDも出席。NLD含む 4政党を招待。中国は少し前から 「NLD は解党すべきではない」との立場をとっているが、その立場を示したようにも見える。
他の報道によれば、軍系政党である USDP、ラカイン州の ANP、リス民族発展党が参加した、とのこと。 


石油・ガス 分野に対して 米国政府が追加の制裁を検討


軍 関係者ビジネス x 航空産業 の実態

 かなり記事としては濃く、文量も多いが、軍系財閥2社だけではない、軍関係者ビジネスの実態の一部。航空産業に入り込む、空軍トップの息子やイトコ等 「特権階級層」がいかにビジネスでうまくやっているか、が見える。
 海外大学への留学は基本。軽いものでは土地を格安で賃借してレストラン経営。深いところでは、軍需利用含む航空機やドローン、部品の輸入事業を行なう会社の経営者としてビジネスの世界に入り込んでいる。


パキスタン国防代表団が非公式にネピドー訪問

9月1日〜5日にかけて、パキスタンの高官がミャンマーを非公式訪問し、高官レベルでの交流。高度な兵器技術 等 含めた情報交換を行なった、と。
また 9/10-30にかけて、ミャンマー側から 8名が パキスタンのカラチ訪問予定、との情報もあり。


9/11 渡邉氏 ミャンマー入り

 例の日本ミャンマー協会の渡邉会長がミャンマーへ。わかっているだけで、クーデーター以降、2月、5(6?)月に続き、少なくとも3度目のミンアウンフライン総司令官との会談。何しに行くのだろうか。国軍派 との言葉を強く否定していたが、会いに行く相手がこれだから、なんともいいようがない。
 にしても、渡邉氏の事をミンアウンフライン総司令官はどう見ているのだろうか? と気になっている。クーデター以降、少なくとも3回も会っているのだ。そして 一般のビジネスマン等であれば、到着後 隔離も求められる中、隔離なしでネピドーへと行ける VIP待遇がなされる。民間人であるはずなのに、だ。
 親友?ビジネスパートナー?日本(政府)の窓口?国賓?一体 どういう相手として受け入れているのか、とても気になる。
 少なくとも 日本政府の考えとは大きく外れたスタンスなので、日本政府的には、日本の窓口 などと思われていたとしたら痛手だ。

 渡邉氏としては、多くの国会議員や大企業の役員等々が理事に名前を連ねる「日本ミャンマー協会の会長」 という権威を盾に「私が日本の民間企業の代表であり、窓口です」といった感じで臨んでいるのだと思う。現に後ろ盾となる協会の加盟企業にも、大手企業がズラリと並んでおり、会長や息子で事務総長である両者の言葉についても「個人の見解だから(何を言ってもOK。ついていきます。)」と黙認しているようにも思える。だから加盟企業は渡邉会長の、それを許している、と取られかねない。(それでいいのか、は各企業が判断して加盟し続けているのだとは思うが…)
 ふと疑問に思ったのだが、今回の渡航を終えて、渡邉会長が「こんな時期だからこそ、民間企業はミャンマーに積極投資せよ。中国に飲まれないように。」といったら投資するのだろうか…?
 
 渡邉氏が、これまでのティラワでの開発やその他 ミャンマーへの投資に大いに貢献してきた事は間違いない。( 2008年憲法と渡邉会長の関係、ってところも過去にはあり、その評価もさておき…)それによりこの10年ほどで、ミャンマーの発展が進み、民主的な国家にも近づいたとも思う。思っていることを言えるようになった、これはとても大きい。軍事独裁国家では、許されない行為だったりするのだ。
 しかし、状況が変わり、大きく逆戻りした今。この10年と同じように動き続けてもらう事が本当に、日本の国益、ミャンマーの国民にとってもいいのか…大きく疑問が残る。個人的には、見直しが必要なのではないかと思う。
 ” たられば ” は通用しない。時計の針を戻すことはできない。ここからどのように対応していくのか。せめて誤った方向に、軍を仕向けるようなアドバイス等をしない事を祈る。それにしても、渡邉氏とミンアウンフライン氏は、多くの国民の声を置き去りにして、一体どこに向かおうとしているのだろうか。

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