夢から醒めると、現実では起こり得るはずが無いのに空しい幻を見てしまったと……思いはするものの、頭は夢の中での出来事を反芻するように現実を考えようとしない。体は家にいるのに意識は夢のなかに取り残されたようで身動きがとれなくなり、何もする気が起きない。

淡い気持ちを増幅させて、私のことを無限に甘やかす夢は、休日を棒に振るほどの余韻を残して私を困らせる。

夜の時間に見た夢をまた見たくて、ふたたび目を閉じると眠りの中ではでろでろに甘い幻があらわれる。夢からさめてしまったらどうにもならない気持ちを抱え込む数時間を過ごすことになる。

夢の中の「その人であって、その人ではない人」にまた会いたくて、喉から手が出るほど欲しいものが束の間、手に入る幸せに酔って酔って酔って、今の気持ちを何処で処理して良いかがまだわからない。