世界は加速度的に広がっている

舞台7ORDERについて思い返しながらちょっと吐き出してみました。
当時もやっとしていたところを放置してたので文章にして消化して第二弾に備えるための自己満足です。ご笑覧ください。

____________

舞台「7ORDER」、ふり返ると苦渋の一年間からの劇的復活、7ORDER projectの正体もわからないままはじめて受け取った物語で、冷静には受け取ることはできてなかったなあと思います。

前提として、私は真田くん、そして7ORDERのファンです。
7ORDERに至るまでの経緯そして7ORDERになってからの戦歴にも胸を熱くするけど、それは彼らのブレない強さ、夢を語るだけでなく努力を惜しまず勝ち取る姿勢に心を揺さぶられるから。
彼らの行動の結果「エモ」が生まれてくることに痺れます。

「エモ」は手法じゃなくて結果。
「エモ」に至る道のりを作るのは大切な技巧だと思うけど、「エモ」だけで押し切るのは安直だと思ってしまうめんどくさいヲタクです。

最初、舞台「7ORDER」を見たときは、キャラクターの感情の流れに寄り添えなかったところもあって、もやっとしました。
本人たちはあんなにMAXの熱量こめて演じてるのに、素直に受け取れない自分に罪悪感も抱いてたなあ。
「エモ」売りの要素を感じとってしまったからかな、と当時は思ってみたり。不条理な抑圧からの解放をテーマにすれば、過去の経験と重ね合わせて共感してくれるだろ、という意図が見えすぎてると反射的に反発してしまったんだろうか、とか。

ただ、彼らが提案したというオープニング7人そろった姿はやはりこみ上げるものがあって、すごく嬉しくて涙ぐんでしまったんですけどね。

さて、幸いなことにチケット運に恵まれて(感謝)、何回か観劇できたわけですが、心の端に残るもやもやの正体について色々考えました。
回を重ねるごとに、AZ法の世界観がエンタメ設定としてありがちだけど、面白いと感じるようになり、この設定自体が問題の根本ではないな、と。
当時は舞台後半の「ケンタロウ」の言動が支離滅裂なのが呑み込めないだけのかな、と思っていたのだけど、支離滅裂なのではなく表現しきれなかっただけなのでは、と最近思うのです。

「ケンタロウ」はストーリーテーラーとしてはじまり、舞台後半からキーマンとして動きだします。そこの切り替えがちょっと唐突な感じがありました。
ミステリー小説で一人称の主人公が犯人だった、というパターンがありますが、伏線めちゃめちゃ回収してこそ生きてくる手法だと思うんです。
この言い回しでミスリードされてたけど、このセリフの指す意味はこうだったんだ、みたいな。
「ケンタロウ」が後半動き出す伏線が無かったわけではないけど、もっと随所にちりばめられていたら良かったのになあ。
言葉で心情をセリフで吐露しなくても(それは野暮ですから)、それを察することができるようなさりげない場面がもっと多くあれば、ケンタロウの決断につらさを感じられたかも。
ただ、一時間半には収まらなかっただろうな。

分数の記憶が少しあいまいですが、舞台は1幕1時間半がストーリーで、2幕20分がショータイムという構成だったかと思います。

世界観を浸透させて、7人の「主役」を語るには1幕は短かった。
主人公がいて、周りに主人公を説明するためのキャラクターがいる、という構成なら1時間半でもなんとかまとめられたと思うんですけど、7ORDERお披露目の舞台ですから、7人ともちゃんと語る必要があると考えたんだろうなと思うんです。それに歌もダンスもコントも入れたい。なんでもやる、を突き詰めて新しいジャンルとして確立させる。
こういった要素は舞台7ORDERが負っていた特殊な事情でしょう。

また、皆のセリフが説明的すぎるところも気にかかったのですが、強い悪役がいると戦う相手が視覚化されて説明的セリフを減らせただろうけど、7人以外のキャラクターをだす選択をしなかった。
最初だから7人だけで話を突き詰めて舞台をやりたかったというのもあるんだろうな。
セットも予算の関係もあったと思いますがシンプルだったしなあ。
あのシンプルなセットだけで色んな状況を表現する演出は巧みだったけど、セリフでの説明補助は必要になってしまったのかも。

そして「エモ」にいたるまでの経緯について。
7人の熱演に心揺さぶられたのですが、そこにいたる道が舞台のストーリーだけでは弱いと感じてしまった。
7人の歴史を重ねてはじめて追いつけた、というか。
個人的にはそこは舞台の中だけで波に乗りたかったな、という思いはあります。彼らを初見の人にも伝わってほしいですしね。まあ私の読解力不足もあるのかもしれないですけれど。

すべてのキャラクターの思いが合理的に理路整然と説明されることは必要ではないのですが、感情の揺れにたどり着くまでの道のりは丁寧に舞台だけで表現されてほしい、というのが、私の個人的な希望です。

先日デカダンを見たときに思ったんですけど、3時間という長丁場の舞台で、ひとつずつのエピソードを丁寧にじっくり描かれていて、再演ということもあり練りに練った脚本だと思うんですけど、キャラクター達の思考が最後までわからなかった部分はありました。でもそこはあれやこれやと想像するのが楽しいと思えた。
舞台の中で想像のための種をたくさんまいていてくれたからだと思います。
わからなくても、面白いは成立する。

長けりゃいいってもんでもないのだけど、扱う題材に応じたエピソードの積み重ねは必要だなと思います。

で、長々と書いてきたんですけど、最近得た結論はもったいぶるほどでもない、普通の感想です。

舞台7ORDERだけでは色んな表現しきれなかったことがあったかもしれないけど、スピンオフで色んな方向から舞台7ORDERの世界に光があてられるのってめちゃめちゃワクワクするね、ということです。

ラジパと27、二つのスピンオフに7人以外のキャラクターも登場し、ミュートとユウマの背景は語られ、7ORDERの世界は加速度的に広がっている。第一弾の千秋楽でスピンオフと第二弾が発表されました。この世界の広げ方をどこまで計算してたんだろうなあ。
第二弾では何が語られるのか。第三弾と続いていくのか。冒険しているような気持ちになります。そしてさらに世界を広げるためにも5人のスピンオフもぜひやってほしいなあ。

そしてもしスピンオフから入った人が、舞台7ORDERに辿りついてくれたとしたら、どんな風にみえるのかすごく興味深い。

音楽についても、核があって、世界を広げていくという方法論は同じかなと思っています。
一番最初、7ORDERの旗を掲げる曲は真田くんが作ったもの。
7ORDER100%の曲で出発し、そのあと色んな化学反応を起こすために色んなアーティストの方とつながって広がっていくのでは、と。
独自のレーベルまで立ち上げたのは驚いたけど、与えられた必勝法ではなく、自分たちが舵取りをしたいという強い意志を感じました。

音楽だけじゃなくて、7ORDERproject自体がそういう生命体なのかなも思います。メンバーがでてる作品、彼らのテーマに合ってる、繋がってるなあ、と思うことが多くありますし。
何かを決めるとき「その意図は」を常に問う7人ですからね。
つながる作品をみつけ、もしくは提案されて、結果を勝ち取ってくる強い七人に改めて惚れてしまいます。

2020年、彼らがどんな風に駆け抜けるのか楽しみで仕方ありません。
私も無理のない範囲でできるだけ目撃したいな。頑張って働こう。

あっ、コンサートするなら予定は早めに教えて欲しいです!全力で予定調整して駆けつけるので、よろしくね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?