Trans、トランス、とらんす。 - 3 変わったのではなく、気付いただけ(3)

パンセクシャルについて

トランスするまで、わたしは自分がストレート(男性として女性が好き)だと思っていました。

GIDだと診断を受けると、嫁に対して「女性が女性を好きになる」格好になり、あれ、もしかして自分てレズビアンだったん?と思うようになりました。
体はまだ男性だし、社会的なジェンダーもずっと男性だったけど、女性として女性を好きになる、同性愛の状態。
ややこしい(^_^;
 

トランスを開始し、嫁と協議の上離婚してしばらくした後、わたしは現在の彼を好きになります。
わたしとしては、別に自分がトランスしたから男性を好きになったわけではないのですが、周囲の人はそう捉えた人が多かったし、わたし自身もそういう風にシフトしたのかなぁと、漠然と思っていました。

この時の状態を、わたしは「時系列的バイセクシャル(両性愛者)」と言っていました。
女の子を好きだった時期もあるし、男の子を好きになる時期もある。けれど、並行しないし、恒常的なものでもない、みたいな。
 

ところが、彼と付き合って5年目くらいでminatsu_bi_happyと出会い、彼女を好きになってしまうのです。

‥‥あれ、時系列じゃない?(・_・;

自分でもわけがわかりませんが、とりあえず名乗りから「時系列的」の文字は外します。
どうやらわたしは『普通の』バイセクシャルらしい。
 

この時期、お世話になっていた旧友に、近況報告がてらカムアウトしました。
トランスと、バイセクシャルの説明をします。
「へー、そうなんだ」
意外なほど、驚きません。
「だってオマエ、昔っからそんな感じだったやん」

あれ?www

「背低くて、髪伸ばしてて、言うことが乙女チックだし。
そういや、片思いの女の子もいたけど、やけに仲いい男友達がいて、恋人同士って冷やかされてたりしたよなー。」

あー、うんw
言われてみれば、確かにそうだけどwww
 

そう。わたしには高校当時、好きな男の子がいたのです。
いっつも一緒にいたし、べたべたくっついて回ってたし。
好きだよって気持ちを伝えたし、ハグしたい、キスしたいと何度も思っていました。

別に忘れていたわけではありません。
黒歴史として、自分の中でノーカンにしたわけでもない。
ただ、自分はストレートと勝手に信じ込んでいた。
爪の先ほども疑っていなかった。

天然にもほどがありますw
 

バイセクシャルに似た言葉に、「パンセクシャル」というのがあります。
バイセクシャルはバイ(=bi; 2つの)、男と女が恋愛対象ですが、パンセクシャルはパン(=pan; 全ての)、つまりトランスジェンダーとかXジェンダー(男女どちらでもないジェンダー)等、男と女以外のセクシャリティの人も恋愛対象に含むということです。

わたしがそれまで正式に交際してきたのは、男らしい(気っ風のいい)女性とか、女らしい(おしとやかで優しい)男性とか、トランス要素を内包した人みたいなケースはあるものの、おおむね男か女かハッキリしている人ばかりだったので、この時点で自分はバイセクシャルだろうと判断していました。

けれど、旧友に「昔からそうだった」と言われて、改めて自分の好きになった人達を振り返ってみると。
そういえば、トランスジェンダー仲間もいました。
男女両方の性的アイデンティティを併せ持っている人もいました。
どちらの性でもないと名乗ってる人もいました。

‥‥。

おもいっきりパンセクシャルですね(^_^;
 

自分の中のおぼろげな記憶や、旧友達からの証言を元にまとめると。

わたしは、昔っから自分の「好き」という感情に、異様なほど素直で。
気温が高かったら「暑い」、疲れたら「眠い」って言うのと同じくらいの自然さで、好きになった相手に「好き」と言ってきたようです。
(高校の時初めて好きになった女の子に告白した時、属しているのがまぁ、ぶっちゃけ言うとモテない男の子達のグループだったので、周りからは「お前勇気あるなぁ」と散々言われましたし)

よく同性愛の人が、「自分なんかが好きになったら、相手に迷惑なんじゃないか」と言って告白を躊躇うことがあるそうですが、わたしはそういう懸念とも全く無縁で。
自信があるとかじゃなくて、恋愛感情が引き起こし得る関係性の問題について、無頓着だっただけなんですけどね。

そういう気性だから、自分の性指向の特殊性にも気付かなかったんじゃないかと思います。
 

そうそう。
最近同じトランスの友達と話してて、いつ自分の性指向を自覚したかって話になったんですけど。

結局、
「自分がこのセクシャリティの相手を恋愛対象として観れるかどうかについての100%の確信なんて、そのセクシャリティで好きな相手ができるまで分からない」
という結論に達しました。

例えばストレートの男の子だって、相手が女の子なら誰でもいいわけじゃないですよね。
もちろん、大概のストレートの男の子は自分は女の子を好きになるという前提で行動してるわけですけど、女性が自分の恋愛対象になるという「実証」は、縁ある女の子が現れて、その子を好きになって、そこで初めて得られるわけです。
それまでは、言ってしまうと「仮説」でしかない。

ストレートの子に、同性にも異性にも好きな人が現れるかもしれない。
同性愛の子も、もしかしたら異性で好きになれる人に出会えるかもしれない。
逆に、自分は周りと同じように恋愛をすると思ってた子が、アセクシャル(無性愛)であったりノンセクシャル(非性愛)であると判るかもしれない。
全ては、可能性の範疇です。

周囲の情報や、先入観、心ない中傷に翻弄されることは多いですが、そういうものを振り払って、自分の心に耳を傾けられるといいですね。

(次回はポリアモリー(複数恋愛)の話を書きます)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?