見出し画像

究極のリラックスカラーは・・・

 NFLプロアメリカンフットボールのチームでは、
試合前に選手はレッドルームと呼ばれる一色の部屋に入り、
敵意を高揚させる怒鳴り声のシャワーを浴び、
鼻から蒸気を吹き出すような戦闘モードになって、
戦場であるフールドに駆り出されてゆくそうです。
この時の「」という色は、絶大な威力を発揮します。

 スペインの闘牛でマタドールがひらめかすいマントは
当の牛には赤い色は識別できませんが
観客の興奮を呼び起こすには最高の道具立てと云えます。

 では人間の眼が識別できる色の数はどれくらいの
ものなのでしょうか。なんと100万色。
これ程までに色を感じ取れるということは、
色が心にも身体にも影響していると考えるのが自然でしょう。

真っ暗な部屋では、なにも色を感じません。
薄明りでは、物の輪郭や陰影が見えるだけで無彩色の世界です。
光が強くなると物の色がはっきりと見えてきます。
色とは物が発する波長をもった光のことで、
その波長を色として感じています。
色の波長は、380ナノメーターの紫色から
780ナノメーターの赤色までが可視光線。
この光を振動数でみると赤色は300ギガHz(振動数/秒)
紫色が3000ギガHz。
こうしてみると色とは光という強力に振動するエネルギーと
云えます。
エネルギーということになれば、たしかに人体に色々と
影響することは容易に想像がつく訳です。

色は、体感温度に影響する。
 赤、橙、黄は、暖色系で、温かく感じる。(火や太陽の色のイメージ)
     青は、寒色系で冷たく感じる。(水や氷の色のイメージ)

色は、重量感に影響する
 黒、こげ茶色は、重く感じる
 白、パステルカラーは、軽く感じる。

色は、奥行きの見え方に影響する。
 赤、橙、黄は、手前に見える。
     青は、離れて見える。  

色は、凸凹感に影響する。
 赤、橙、黄は、出っ張って見える。
     青は、凹んで見える。

色は、表面積の見え方に影響する。
 赤、橙、黄は、膨らんで見える。(拡散・遠心的)
     青は、縮んで見える。 (収縮・求心的)

色は、時間感覚に影響する。
 赤い環境にいると長く感じる。
 青い環境にいると短く感じる。

色は、感じる速度に影響する。
 赤、橙は、色を感じる時間が早い。(興奮する)
   青は、色を感じる時間が遅い。(鎮静する)

色は食欲に影響する。
 赤、橙色は、食欲を増進させる。
 青、紫色は、食欲を減退させる。

色は、味覚に影響する
 甘みを感じる---ピンク色、    酸味を感じる---黄色、青色
 塩みを感じる---白色、青色    苦みを感じる---茶色、黒  
 旨味を感じる---オレンジ色    コクを感じる---こげ茶、黒
 
<関連実験の結果>
 色の違うカップで飲んだ同じコーヒーの味が違った。
 濃い茶色のカップ ----- 味、香りとも濃く感じた。 
 赤いカップ ----- やや濃いと感じた。
 青いカップ ----- やや薄いと感じた。
 黄色いカップ ----- 薄いと感じた。

ライトトーナス値

 以上の色の体感への影響は、眼から入った色の光で、
色を見ると脳の視床下部が受け取り、神経系や内分泌系へ伝え、
精神状態やホルモンバランスに作用してゆきます。

体の表面も色の影響を受けていることが判っています。
 
ロバート・ジェラード氏(アメリカ・カリフォルニア大学)は、
実験対象の成人男性に目隠しして、体に赤、青の光を当てて、
血圧、呼吸数、心拍数、脈拍数、まばたきの回数を計測しました。

赤い光を当てると、血圧をはじめとするすべての数値が上昇し、
青い光の場合は逆に下降しました。
この変化は何が作用しているのか調べましたが、
どうやら体表面に光が当たると、筋肉に作用し緊張が起こったり、
弛緩したりするようだと考えられています。

そして赤、青だけでなく、色んな色の光を当て、
興奮、緊張、弛緩の段階で色を数値化しました。
この数値をライトトーナス値と呼びます。

赤は興奮領域で値42。
橙色は値35、
黄色は緊張領域で値30、
緑が値28、
青が弛緩領域で値24。

最も筋肉が緩んだのは値23のベージュと
パステルカラーでした。
パステルカラーの中でも最も緩んだのはピンクでした。
ベージュは肌の色に近く、人間も保護色系が安心するようです。
ピンクは母親の胎内にいた時の安心感が潜在意識に
残っているとすると納得できます。

 こう考えてゆくとピンクがかったベージュ色が
もっともリラックスカラーということになるようです。
このような色調の部屋にいることを想像すると、
確かにゆったりできそうです。
神経に触らない、色があることさえ忘れる、
ニュートラルな空間になるのでしょう。

 そこではたと思い出しました。
30年ほど前にオーガニックコットン製の
ベージュ色の壁紙を開発して販売していた頃の話しです。
当時、建材から出るホルマリンなど化学物質が
アレルギー症の原因だということで安全な
建築材料が求められていました。
 
 ある時、埼玉県所沢の保育園で園児の健康を考えて
最も安全な室内環境を整えたいという意向から
オーガニックコットン製の壁紙が採用されました。
その他、カーテンもなにもかも染色ではない
生まれつきベージュ色のコットン製で統一しました。
しばらくして施工後の点検を兼ねて訪問すると
園長がニコニコ顔で様子を語ってくれました。

 天然のベージュ色のお陰なのか、園児たちがとても
落ち着き、お昼寝でも愚図る子がいなくなったそうで、
保母さんたちも不思議がっていたそうです。
どうしてこのような事が起きるのか質問されましたが、
その時は分からず曖昧な返事をしました。
今から考えるとオーガニック素材や糊剤や部材など、
アトピーアレルギーに対応した最高度の安全施工を
したことと「カラートーナス」の効果があったものと
思われます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?