見出し画像

金粉美女の衝撃

映画「007ゴールドフィンガー」を観たのは
中学生の頃だった。
全身金粉を塗られ窒息死させられた美女の肢体に
ドキドキとトキメイタ。

金の密輸の悪党の親分は「ゴールドフィンガー」と呼ばれて、
ゴールドにまみれて生きている。
18金のボディーのロールスロイスを密輸したりする。
終いには、ゴールドの貯蔵庫を核爆弾で攻撃して
放射能汚染を起こさせ、金相場を高騰させて、
首尾良く手持ちのゴールドを売って大儲けを狙う
という計画だが、ご期待通りジェームズ・ボンドが
身体を張って阻止するという荒唐無稽な展開である。
 
人は本当に全身に塗料を塗られると窒息死するのかというと、
皮膚呼吸はわずか1%程度なのであり得ない。

やけどだと、全身の70%が生死の分かれ目だそうで、
その辺の混同があったのかも知れない。
 
インドに行った時にアーユルヴェーダの
オイルマッサージのシロダーラとアヴィヤンガを
してもらったことがある。
全身オイルを塗ってのマッサージだが、
別に息苦しいことはなかった。
正直いうと、金粉美女のことが頭をかすめて、少し戸惑った。
 
正月に家内が生け花で床の間を飾った時に、
銀色に塗装した柳の枝をクルリと丸めてアクセントに生けた。
やがて生花は枯れて、別の生け花に引き続き、
銀色の枝を挿しておいた。

しばらくすると、銀色の小枝から芽が出て緑の葉が出始めた。
銀色に塗装された状態で生きていたとは驚いた。
歌舞伎の「切られ与三」ではないが、
「死んだはずだよお富さん、生きているとは
お釈迦様でも気がつくめえ」
と柳の小枝が首をクルリと回して見栄を切った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?