ブラックアウト

昨年末に焼肉屋でブラックアウトをした。

顛末を説明すると、後輩の春組織の新垣と焼肉を食べに行ったとき。
「黒毛和牛」っていう名前らしい、本来は高等遊民に食べられるはずだった肉を、我々貧乏人があまり焼かずに食べたらお腹を壊してしまった。

途中トイレに行ったけどお腹を壊したことは新垣には黙って、ちょっと便が腸に残ってるなという感覚はあったけど早めに切り上げて、おしっこをしたぐらいの顔をして席についた。

お会計をしてお店の前の灰皿で新垣とタバコを吸っていたら、また急激にお腹が痛くなってきて、「トイレ行ってくるから先帰っててくれ」と言い残し店の中に入った。

その瞬間にフラフラっと気分が悪くなり、





目の前が真っ暗になった。



僕は気絶した。気づいたら店のヌメヌメした床にうつ伏せ。店員さん2.3人に囲まれていて「大丈夫ですか!?」と声をかけられていた。新垣も店の中に入ってきていて、「死なないでください!」と目で発しながら心配そうにこっちを見ていた。なんとか自力で立ち上がって、フラフラと立ち上がって店のトイレに10分ほど閉じ篭っていた。明らかに良くない雰囲気の冷たい汗が止まらなかった。

トイレの中で新垣に「ごめん!ちょっと待っててくれ」とLINEしたら「大丈夫です!タバコ買ってきます」と返ってきたので「今!?」と思ったけど、また倒れるかも知れないので待っててもらって、駅まで送ってもらってタクシーで家に帰った。人生で初めてのブラックアウトを誰かに聞いて欲しくて、同期の百瀬に電話してしまった。


後から調べたら「迷走神経反射」という症状に近かった。お腹を壊したことによって脳に血液がいかなくなってしまい、気絶したりするらしい。

高級な焼肉屋に行く

なんかこの肉いい肉だからあまり焼かなくてもいいらしい

お腹を壊す

血液が頭にいかなくなる

気絶

纏めると

「普段食べないような高級な肉を食べたことによって気絶してしまった」

のだ。もし低所得者の方が読んでいたら、気をつけて欲しい。




今考えると、1回目にお腹を壊したときに「ごめん!お腹の調子が悪いかも」と一言伝えて、トイレに篭っていれば未然に防げたのかも知れない。

でも僕は「こんなに美味しいお肉初めてっすね!」とさんざん盛り上がった後に、
そのお肉でお腹を壊したことを新垣に言うことが美味しかったお肉と楽しかった時間にケチをつける気がして、言わなかったのだ。

そうしたら僕はブラックアウトして、倒れた拍子にお皿とか割ってしまって、店を騒然とさせて、後輩に気を遣わせて、結果的に考えうる最悪の事態を招いてしまった。


昔バンビの新里さんが同期と飲んでいたとき。二次会に向かう途中に、なんやかんやあって腹部に焼き鳥串が刺さってしまったのだが、あまりに盛り上がっているその場を盛り下げたくなくて串が刺さったことは黙って痛みを堪えながら二次会に参加したエピソードを思い出した。


なんだか少し彼の気持ちもわかる。



「場の空気を壊したくない」「変に目立ちたくない」とか考えてアクシデントを周りに言えないような経験、みなさんも経験ありますでしょうか。

そんな気遣いをしないような、場の中心にいつでもいるような、


そんな人間に、なりたい人生だった。


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