#7 映画「キャラクター」感想

魅力のある主人公を描けない漫画家が、殺人鬼と出会い、それを主人公とした作品で売れっ子漫画家になる話である。ジャンルは、「サスペンス」と「ホラー」。特筆すべきは、実写映画でオリジナル脚本である点。大手シネコンで上映している作品は、多くがメディアミックス展開の産物かアニメ映画なので、当作品は珍しいと言える。

本作品の良かった点は大きく2点。まず、シナリオが面白かった。正直、漫画家と殺人鬼が出会い、それを漫画にした時点で、漫画家が最終的に殺人鬼に狙われるというのは予想の範囲内だったと思う。しかし、数多くの細かな伏線が張られていた。例えば、漫画家の子どもの伏線。あれは、よくできていて、ラストシーンにさらに嫌な予感を思わせる伏線だった。もう一つのよかった点は演出である。ホラー作品であるがゆえにグロテスクなシーンが多い。個人的にはあまり好みではないのだが、常に緊張感があり目が離せなかった。中でも、小栗旬が殺されるシーンは一本取られた。油断していた私は、純粋にビビってしまった。

一方で頂けない点もある。それは、タイトルにもなっている「キャラクター」の深掘りが少なかったところである。殺人鬼の深掘りがほとんどなく、聞いたか坊主な説明で終わってしまったため、物足りなかった。特に、生い立ちはかなり凝った設定を施したであろうから、それが作品内でほとんど描かれていないのは残念である。

【満足度】90点

【気になったスタッフ】松田洋治さん(辺見役)

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