【イシューからはじめよ】人間らしい知性
人間の持つ知性は、AIに代表される機械知性とは異なる。
AIは人間のように知覚できないので、現状の見立てや常識的な判断もできない上、前例が少ないと課題一つ評価できない。
人間の知的活動の一つに、「課題を見極め解決すること」が挙げられる。この活動で求められるのは、問いに答えを出す以上に、解くべきイシューを見出し、整理することだ。
そこで、手に取った本が「イシューからはじめよ」である。
まず筆者はこう述べる。
「バリューのある仕事とは、イシュー度が高く、解の質が高いものである」
イシュー度とは、
自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ。
解の質とは、
そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合いである。
そして、バリューのある仕事をするには、
まずはイシュー度をあげ、そのうちに解の質も上げていくべきだ。
詳細は以下の通りである。
(1) イシュードリブン
問題はまず解くものと考えがちだが、まずすべきは本当に解くべき問題、すなわち正しくイシューを見極めることが重要である。
そのため、
①「何に答えを出す必要があるのか→何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析していく。作業中もチーム全体で基本に立ち返り、「そもそもこれは何に答えを出すプロジェクトだったのか」ということを整理することが重要だ。
次に、
②強引にでも具体的な仮説を立ててしまう。例えば、「〇〇の市場規模は縮小傾向にあるのではないか。」と仮説を立てることで、初めて本当に必要な情報や分析がわかる。すると、仕事を振られた人も自分が何をどこまで調べるべきか明確になる。
イシューの見極めと仮説を立てること!
まずはこの2つを強く意識するだけで十分である。
(2) 仮説ドリブン
イシューを見極めた後は、解の質を十分に高める。
「このイシューとそれに対する仮説が正しいとすると、どんな論理と分析によって検証できるか」と最終的な姿から考えることがポイントだ。
そこで、重要なのがストーリーラインづくりと絵コンテづくりだ。
【ストーリーラインづくり】
①イシューを分解する
モレなくダブりなく(MECE)、本質的に意味ある固まりで砕く。
②ストーリーラインを組み立てる
分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる。分析も検証も完了していない時点で、「仮説が全て正しいとすれば」という前提でストーリーを作る。
【例】
①イシューを分解する
「新規事業コンセプトの有望なアイデアの検討」というイシューは、
狙うべき市場ニーズ(WHERE)×事業モデル(WHAT/HOW)に分解。
②ストーリーラインを組み立てる
問題の構造は「WHERE×WHAT/HOW」になっていて、
狙うべき市場ニーズはトレンドや競争環境を調べた結果、〜。
事業モデルは収益性から見ると、〜。強みを活かすなら、〜。
市場ニーズと事業モデルを掛け合わせると、有望なアイデアは4つ!
【絵コンテづくり】
最終的に伝えるべきメッセージ(=イシューの仮説が証明されたもの)を考えた時、自分ならどういう分析結果があれば納得するか、そして相手を納得させられるかと考える。
どんなデータが取れそうかではなく、どんな分析結果が欲しいのかを起点に分析イメージを作る。
(3)アウトプットドリブン
ストーリーラインと絵コンテに並ぶサブイシュー(個々の仮説)の中には、最終的な結論や話の骨格に大きな影響力を持つものがある。そこから手をつけ、粗くても良いので、本当にそれが検証できるかについて答えを出す。
最後に
(1)イシュードリブン:イシューを見極め、仮説を立てる。
(2)仮説ドリブン:イシューの解の質を高める。
イシューを分解し、仮説が正しいとの前提でストーリーラインを作る。
ストーリーラインができれば、分析イメージを加えた絵コンテを作る。
(3)アウトプットドリブン:分析を進める。
最終的な結論や話の骨格に大きな影響力を持つ仮説から調査する。
注意点は、
丁寧にやりすぎないことだ。1回ごとの完成度よりも取り組む回数を大切にする。1回で80点よりも、2回で85点(0→60→85)を目指す方が良い。