「結婚して新しい名字は何?」という質問をなくそう

ちょっと前に縁があって、夫と結婚した。

結婚報告をした周りの人から 「それで、結婚して新しい名字は何になったの?」 と質問を受けた。

私は「私の姓は変えていません」と回答する。

私のご先祖様は農村住んでいたらしく、木や田畑に関連するよくある全国でも多いランキング上位の苗字であり、謙遜をしたとしても、先祖代々守らなくていけない理由もない。ってか、親戚が名字をそのまま使うだろうし。

それでも、私たちは、私(妻)の姓を名乗るという決断をした。そして婚姻届を出した後に知ったのだけど、姓を変えない方が自動的に世帯主になるらしい。

さっきの会話の続きとして、質問してくれた人は「なんで、旦那さんが姓を変えたの?」と続きの質問がある。

私は「 (家庭の事情でっせ、と笑顔で暗黙の圧力をかけながら) 二人で話し合ったんです。」と回答する。

結婚することを決めた当初、この話題が一番最初にきた。

一言目に夫から「俺、どっちでもいいよ。どっちがいい?」と言われた。

その発言の背景として、夫は当時は海外の大学院生だったので、現在進行形で働いている&大学で研究実績のある私の姓が変わって、それに続くもろもろの手続き変更があるのであれば、夫が姓を変えた方が合理的に手続き工数が少ないのではないか、と説明してくれた。

あと、日本では夫側が姓を変えることは全体の4%なので(内閣府調査)、少数派になる特殊な経験が面白そうだとも言っていた。

こんな感じで、手続きの工数を減らしたい+自ら好んで少数派になりたいという私たちは、選択制夫婦別性で話題になっている論点に全く触れることなく、また婿養子みたいに私の実家に彼の籍を入れるわけでないので、「私たち二人の新しい世帯は妻の姓を名乗ろう」という結論に10分でなった。

「事実婚は考えなかったの?」という声を聞こえてきそうだけど、事実婚で発生する追加手続きを考えたら、今の日本ではどちらかの姓を二人で名乗った方が工数が少ないのである。

後日、夫の姓変更は夫の国家資格から留学の査証等がたいへんめんどくさいことになり、結局、どっちが変えてもめんどくさいものはめんどくさいという結論になるのだけど、すっかり慣れた夫は旧姓と新姓を場所ごとに使い分けている。それは、携帯2台持ちの気分に近いらしい。

そして「俺は4%側の夫の気持ちがわかるんだ。そして妻が姓を変えたときのめんどくさい気持ちもわかるんだ」とたまに胸を張っている。

選択制夫婦別性が叶う社会だったら、「夫の姓に妻が合わせることが当然という」バイアスがかかっている最初の質問自体に答えることもないだろう。

2つ目以降の質問は家庭の事情なので、ほっといてほしい。

今後、選択制夫婦別性が実現し、私たちが別性を望む場合があるとしたら、一度離婚して夫婦別性として再婚するプロセスになるって話もあるらしく、そのような場合になったら私たちはこう言うと思う。

「そんなめんどくさいことやってられないよ。二人とも下の名前が気に入っているんだ。いつでもどこでも下の名前で呼んでくれ。」

というわけで、皆さん、これまで通り、私たちのことは名前で呼んでくださいね。どうぞこれからもよろしく。

#新しい苗字は何 ?という質問をなくそう #選択制夫婦別性 #妻の姓を名乗る


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