〘記録1〙グループホーム運営企業による経済的虐待

朝日新聞デジタル    大村知事「全部洗う」 障害者施設の食材費過大徴収、全事業所調査へ   2023年9月26日 18時11分

 全国で障害者施設などを展開する福祉事業会社「恵」(東京)が、愛知県内の障害者向けグループホームで利用者からの食材費を過大に徴収していた問題を受け、大村秀章知事は26日の記者会見で、恵が運営する県内のすべての事業所について調査する方針を明らかにした。
 県によると、恵が運営するグループホームは県内に43カ所ある。大村知事は「一部ではなく全部洗う。その上で行政処分を含め厳正に対処する」と話した。さらに「福祉医療費全体について、他の事業所でも不正行為がないか確認していく」と述べ、恵以外が運営する福祉関係の事業所についても調査を進める意向を明らかにした。(三宅梨紗子)

中日新聞
【独自】障害者から食材費を過徴収、経済的虐待の疑い 愛知のグループホームなど運営の事業者  2023年9月21日 05時05分 (9月22日 10時24分更新)

愛知県を含む全国で障害者向けのグループホームを運営する福祉事業会社「恵(めぐみ)」(東京)が施設で提供した食事の材料費を利用者から過大に徴収していたことが、関係者への取材で分かった。食材費を水増し請求し、障害者虐待防止法が定める経済的虐待(事業者の不当利得)に該当する疑いがある。厚生労働省も問題を把握し、同社が運営する施設がある自治体に事実確認を指示した。

 同社は愛知や岐阜、東京、静岡、埼玉など10都県以上で知的障害者らが入居するグループホームなどを展開。登記簿によると、2012年2月に名古屋市内で設立され、今年7月に本社を東京都内に移転した。

 関係者によると、22年以降、同社が愛知県内で運営する複数の施設で食材費の不当な徴収が疑われる事例が判明。厚労省はグループホームに対し、調理にかかった食材費の実費を徴収するよう基準で定めているが、同社は実際の材料費を上回る額を利用者に請求していた。実費の倍以上の金額を徴収していた施設もあった。

 愛知県は同社への監査を既に実施している。情報を得た厚労省は利用者への過大請求は基準違反に当たり、経済的虐待に該当する疑いがあると判断。今年6月、同社のグループホームがある東海や関東、九州などの自治体に対し、監査などで事実確認をするよう文書で指示した。厚労省は各自治体からの報告を踏まえ、対応を検討する。同社に対し、利用者への過大請求額の返還を求める方針だ。

 ホームページなどによると、同社は全国で約120のグループホームを運営。うち、名古屋市内のある施設では1日800円の食材費を徴収している。

 同社の担当者は20日、本紙の取材に「現在、関係機関との協議を行っている。速やかに返金の対応をしているが、利用者には丁寧な説明を尽くしたい」と話した。厚労省の担当者は「調査中なのでお答えできない」とした。

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 グループホーム 障害者総合支援法が定める「福祉サービス」に基づき、障害者らが暮らす場所。地域との共生を掲げ、国が普及を進めている。厚労省によると、利用者は2009年3月に4万8394人だったが、21年3月に14万3472人まで増加した。


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