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Apple IIビデオ出力回路の再構築(11)

メインボードへのセット
これまでICごとに工作の仕方を説明してきましたが,ラインの配線が込み入っており,出入りの向きやメインボード上での部品間の距離などが見当つかず,スパゲッティ状態になっているかもしれません.記事(5)では「こんなものを作るというゴールをお見せしましょう」ということで完成写真を掲載しましたが,試作を経て完成させたものですので,配線の仕方の参考になれば幸いです.

メインボードへのセットは図1のようになります.
1.メインボードにA2(74LS00), A14(74LS04), B12(74LS11), B13(74LS02), B14(74LS020), C13(74LS51)をセットします.
2.B1(74S175)の2番ピンとF14(74LS259or9334)の4番ピンへの接続はテストクリップ付きラインです.それぞれのICのリードに引っかけて固定します.くれぐれも隣のリードに接触しないように注意します.
3.セットが完了したら,ラインをきれいに整えてまとめます(写真1,2).

図1.メインボードにセットする
写真1.全体の様子
写真2.A14(74LS02)周辺の様子

組み立て終了の際に入念に回路のチェックはしましたが,重ねてのチェックは必要です,まさか部品の向きを間違えていたなど工作ではしばしば起こることです.こうした間違いはメインボードに致命的なダメージを与えかねません.その他,断線していないか,ICのリードが折れ曲がっていないかなども確認します.リードの折れ曲がりも案外あることなのです.

期待を込めて電源スイッチを入れます.
スクリーンの上部に馴染みのある” Apple ][ “とプロンプトのカーソルが点滅したら成功です.色の表示も試してみましょう.Apple IIの付属ディスクにある”COLOR DEMOSOFT”で”STANDARD COLOR NAMES”を実行してみました.きれいに発色しています(写真3).そしてもちろんあのゲームもきれいに表示されるはずです(写真4).

写真3."COLOR DEMOSOFT / STANDARD COLOR NAMES”の実行結果
写真4.あのゲームもきれいに表示されます

記事(2)にビデオ出力回路の再構築を始める以前の状態について書きました.我が家にある液晶モニター3台のうち2台は画面がちらつくだけ,もう1台は何も表示されませんでしたが,再構築の結果,すべてのモニターで問題なく表示されるようになりました.
ねらいどおりの結果となり,うれしかったです.

映像出力信号の測定
ビデオ出力回路の再構築前後での水平同期信号をオシロスコープで確認してみました.再構築前のRev4ボードの水平同期信号のパルス幅を測定してみたところ,7.8マイクロ秒でした(図2)。再構築後,これは3.9マイクロ秒となっています.比較のためRFIボードの水平同期信号も測定してみましたが,3.9マイクロ秒で全く同じものとなっています.
回路をそのままコピーしているので当然の結果でしょうね.

図2.水平同期信号|再構築前,Pulse width=7.8micro sec
図3.水平同期信号|再構築後,Pulse width=3.9micro sec
図4.水平同期信号|RFIボード,Pulse width=3.9micro sec

余談
かつてオシロスコープはぼくにとって昔は高嶺の花どころか冥王星の軌道をまわっているような存在した.それが今やポケットサイズのもの,PCに接続できるものばかりでなく,組み立てキットにさえなって出回っています.
手元にあるとやはり便利なのでかさばらず,道具箱に放り込んでおけるポケットサイズのものを中古で購入しました.こういう機器,手に入れるとうれしくなってしまうものです.あれこれ測定してしましました.
オーディオアンプ製作を趣味とする友人がいるのですが,オシロの話をしたところ,「持ってる!」とのこと.まさかの夢がかなう時代になったものだ思うのです.

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