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「冬または大洪水」ニコラ・プッサン【ルーヴル美術館の名品150選】45

作品が語っているメッセージは何か?
世界屈指のコレクションを誇るルーヴル美術館。何万という作品中、絵画に注目、世界的に有名な作品群のうち「意味を読み解く」観点から面白い150の作品を厳選。
人物は?場面は?出典は?意味深なディテールが語っているものは?作品に隠されたメッセージを読み解きます。

*ニコラ・プッサン作 連作「四季」、1660-1664年
左上:「春または地上の楽園」、INV7303、1.18×1.60m
右上:「夏またはルツとボアズ」、INV7304、1.18×1.60m 
左下「秋または約束の地の葡萄」、INV7305、1.17×1.60m
右下:「冬または大洪水」、INV7306、1.18×1.60m
(いずれもフランス絵画部門、シュリー翼)

【名品42から45】の4回にわたり紹介している作品はニコラ・プッサン作連作「四季」、1660年から1664年かけて描かれた全四枚の一連の作品。
ニコラ・プッサンは「哲学者」と呼ばれ、フランスにおける公の芸術の流れの中で「学ぶべき模範」とされたフランス絵画史上特別に重要な画家。
こちらはプッサンの最晩年に描かれたニコラ・プッサン「最後の傑作」。
この連作はニコラ・プッサンの「集大成」で、プッサンの思索が幾重にも織り込まれ、見る者の思索を次々広げさせてゆく作品。
今回は最後の四枚目「冬または大洪水」を取り上げる。

ニコラ・プッサン作「冬または大洪水」、1660-1664年、INV7306、1.18×1.60m、フランス絵画部門、シュリー翼

最後は冬。
腐敗による滅び。
一つのサイクルの終り。
新たなサイクルの始まりも、同時に暗示されています。

◆冬:衰退から終わり◆

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