「Cicatrices」Juan D’Arienzo

アルゼンチンタンゴ曲 覚え書き

2024年7月のダリエンソシリーズ
2曲目は「Cicatrices」
制作1925年
作曲 Adolfo Aviles
作詞 Enrique Maroni
録音1942年
楽団 Juan D’Arienzo
歌手 Hector Maure

タイトルは「傷跡」
女に裏切られた心の傷と
その女をめぐって争った時についた顔の傷を重ねて描いた歌詞で
決して消えないがこの傷を愛しているという歌詞の結末が素敵。

タンゴはわりと悲しい内容を明るい目のメロディに乗せて歌われたりすることが多いな、と私は感じているのだが
これは切ない苦しみを切々とした物悲しいメロディの歌いだしで始まる曲である。
歌っているのはしっとりした甘さのある声のエクトル・マウレという人で、歌手のために演奏のスピードを落としたりしない、というダリエンソがマウレの時はほかの歌手のときとは違う演奏をしたんだそうである。
(どこだかのウィキペディアで読んだような、、、)

タンゴの歌手や演奏家は録音当時よくよく年齢を数えてみるとても若いことも多く、この1942年のマウレの歌声も22歳の若い青年。
つくづく早熟を強いられる時代だったのだと思わされる。

マウレは十代のころはボクシングの選手だったという変わり種で、ダリエンソの楽団にいたのは4年ほどだったが、50曲を録音して一時期を築いた人だった。

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