「Maipo」Juan D'Arienzo

アルゼンチンタンゴ曲 覚え書き


2024年7月のクラスのテーマはダリエンソ。
私はパートナーと初心者レッスンをやってるのだが、ダリエンソ楽団は速いし、曲の終わりはバリエーションと呼ばれる音が細かくて華やかな部分があるので初めてさん向きとはいえないと思う。
が、ダリエンソ楽団はもちろん初心者の方にも知ってもらいたい楽団なのでこの2年半で初めて取り上げてみた。

アルゼンチンタンゴ4大楽団のひとつ、Juan D'Arienzo楽団は1935年にできて以来踊り手たちに大変愛好された楽団で、「リズムの王様」Juan D'Arienzoが率いた鋭いリズムが特徴の楽団。
バンドネオンがそのリズムと鍛えあげられた速弾きを担い、熱狂的にうけるのだけど、速弾きの要求がエスカレートしすぎて楽団員が辞めて1938年に解散するくらいだった。

7月の1曲目は「Maipo」
制作1918年
作曲 Eduardo Arolas
作詞 Gabriel Clausi
録音1939年
楽団 Juan D’Arienzo
歌手 なし

私の適当な検索によると、タイトルの「Maipo」はブエノスアイレスにある劇場の名前だということだが、これが制作された1918年にはまだMaipo劇場はなく、1922年にこけら落としだったそうなのでMaipo劇場のことなのかは謎なんだそうである。

しかし、ほとんど歌われることのない歌詞には
****************
もう一度 夜が来たら 震わせてくれよ
あの愛の夢を 昔の歌を
遠いこの昔のこの舞台で跳ね回る影を
****************
(引用終わり 大澤寛著 アルゼンチンタンゴ 歌の世界へ2より)
とあり、劇場のことを言ってそうではあるのだが。。。

Maipoは明るく、しかし一時解散後の1939年のちょっと落ち着いたバリエーションでそんなに急かされないと思ったので取り上げてみた。
が、どうだったであろうか。

ちなみに作曲のアローラスは「バンドネオンの虎」との二つ名のあるバンドネオニスタで腕利きであったが、放蕩者でパリで若くして客死するのだった。


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