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ばあちゃんが家出した話。

私の祖母(ばあちゃん)は終戦の年に福井県で生まれた。兄弟の1番末っ子らしい。

私は今30歳なので、私世代の祖母にしては若い。若くてやさしくて自慢のばあちゃん。


昔からやたらと服を買いに連れていってくれたし、母(ばあちゃんの娘)よりも化粧などに熱心で、私が大学生くらいになると「もう少しお化粧しないの?下着も良いやつ買ってあげようか」と言われたりもした。

お喋りな私の話もよく聞いてくれて「メイちゃんもお母さん(ばあちゃんからみたら娘)も賢いわぁ。ばあちゃんはなんにも知らんから」「メイちゃんは好きなことをやりなさい」とよく言っていた。


そんなばあちゃんが、最近家出をした。じいちゃんとなにかで喧嘩して、少しこらしめてやろうと思って家を出てみた感じだと思う。(我が家と祖父母は別に暮らしている)


よくある話といえばそうかも知れないけれど、ばあちゃんにおいては今までそんなことなかったし、我が家は騒然とした。笑


じいちゃんはばぁちゃんより10歳ほど年上で、つい最近までは2人で国内旅行に出かけたり散歩に出かけていたけれど、いよいよ年老いてきて、2人のペースが合わなくなってきて出かける頻度も減っているらしい。要因のひとつと思う。

「1人で出かけてくれば」と言うのは簡単なのだけど、それなら「ワシも行く」とじいちゃんは言うし、その無理を強いてまで行く気にはなれないとか、まぁ色々あるよね。


ばあちゃんが家出したと聞いてから、ばあちゃんの人生について勝手ながら思いを馳せた。


末っ子らしく天真爛漫で、子どもの頃は男の子を泣かせたりするほどのわんぱくな一面もあったらしい。(苦笑)


中学を卒業してから18歳までの間、1人で上京し、ブティックや鞄屋さんで住み込みで働かせてもらったらしい。この話を聞いた時、ほとんど昔話をしないばあちゃんのことを初めて少し知った気がした。

「どうしても行きたかった。東京でお洒落な街や服をみたかった」

のだそう。

わからないけど、当時の女性としては行動的なほうではないだろうか。


その後、19歳で結婚して子ども(私の母)を産んだ。43歳でばあちゃんになって、50歳のときにピアスを開けたらしい。今もつけている。


じぃちゃんとは幼なじみで、じいちゃんの兄とばあちゃんの姉も夫婦だ。

「昔の田舎はそんなものだった」らしい。

そんなものだったのかも知れないし、大阪へ出てきて、じいちゃんは真面目で勤勉だし2人の子どもも普通に育って、それなりに幸せだったとは思う。

(ばあちゃんはまだ生きてます。笑)


けれども、時代が違えばばあちゃんはもっとたくさんの世界を見ることができたのではないかな、と思わずにいられなかった。


時代が違えば。


今でも、叶うならもっと色んなものを吸収したいだろうなとも思う。し、見せてあげたいと私が思う。


4日ほど経って、ばあちゃんは帰ってきた。

とりあえずよかった。


ばあちゃんの作るご飯は美味しい。


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