見つけてほしかった、僕を。

僕が絶対に、したくないこと。それは、自分自身に嘘をつくこと。それだけは、絶対にしたくない。

僕には、長年一緒にいた人がいた。今はもうその人がどうかしているかは知らないし、知るすべもない。

離れたときに、すべて消去したし、ブロックもしたから。関わることが、本当に嫌でしかなかったから、僕も相手もそれで良しとした。

僕は、相手を尊敬していたけど、いつの日か、それができなくなった。相手も、きつく当たるようになっていたし、もうこれでは駄目だと、強く感じてしまったから、一緒に過ごすことをやめた。

僕は相手に、たくさん言いたかったことがあった。休みの日が合ったら、一緒に過ごしたかった。ただ話をして、ただ普通に意見を言ったり、笑いあいたかった。

そんな小さなことがしたかっただけなんだけど。お互いがお互いのことしか考えられなくなった。自分の時間しか大事じゃなくなった。小さなほころびが大きくなって、二人の間には、大きな亀裂が入った。

一緒にいても、楽しくなくなった。一緒にいても、笑えなくなった。笑っても、それはただ笑っているふりだった。相手の気持ちが、分からなくなった。相手を尊敬できなくなった。ただ一緒の部屋で生活しているだけだった。

それは、そのままでいたい僕ではなかった。僕は変わりたかったし、相手をこのままにしていたくなかった。笑わない相手、顔を見てもこっちを見ない、見ても、怒りしかないみたいな表情。のっぺらぼうみたいな。僕は僕で、相手の顔をうかがっている。

これは、このままじゃだめだ、自分も相手も。その時の僕は、相手の悪口しか言ってなかった。このままだと後悔しか生まれない。僕は、この時、精神的に病んでいた。会社で、理不尽な扱いを受け、辞めていたから。近所の人から嫌がらせを受けていたから。

世界が怖くて仕方なかった。だが、相手は、「気軽に辞められていいな」という、きっと相手からしたら、ほんのした本音なんだろうけど。僕には、悩んだ末での勇気を出した行動で。だから、悲しかったし、絶望したんだろうな。そして、相手に失望した。

それがきっかけの一つだけど、もうだめだった。一緒にいる時間は、つらいものにしかならず。

終わりだった。

いまの僕は、また相手と付き合いたいとか、会いたいとかいう気持ちは、全くない。嘘ではなく、本当に。相手が幸せならいいんじゃないかな。正直、もうどうでもいい存在。違う道を歩んでるから、お互いに。

今の僕は、僕自身が一番大事だから。相手とのことは、自分を前に進めるための大事な過程だと思うし、いろんな経験をさせてくれた。自分を成長させるための大事なことだった。きっと試練だったなと思う。

きっとこの恋愛だったもののなかで、納得できなかったことが、まだ胸の中でくすぶっていた。僕は、自分の中で自分に言い訳をして、自己正当化していた。何か違うと思った。すっきりしないものが、僕の中にあった。

僕は自分に嘘つきたくなかった。だから、よくなかったことや、よかったことを洗いざらい吐き出すことにした。僕は相手に傷つけられたけど、僕だって、同じだ。相手を傷つけたこともあるんだ、主に言葉で。

すべてが正しいとは思わないし、正しかったとも思わない。きっと、この出会いは、本当だったし、この別れも本当だった。

僕は、新しい自分を見つけたよ。さようなら、あの日の僕。きっと過去の僕は、見つけてほしかったんだ。隠すのでも、恥に思うのではなく、嫌だったと思うのではなく、ただ見つけてほしかったんだ。

有難う、過去の僕。君も僕の大事な一部だから。大丈夫。

有難う、過去に共に過ごした人。あなたとの時間、楽しい時もあった。だけどもう、過去になってしまったから。ただただ有難う。そして、さよなら。

あー、重い心のしこりが無くなった。僕は、僕に嘘をつかないよ。

明日も新しい僕が、僕を待ってる。


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