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第35週 学者 加藤陽子


はじめに


今週の学者は 歴史学者の加藤陽子さんです。


お生まれ




加藤 陽子(かとう ようこ)さんは1960年10月埼玉県さいたま市の

お生まれです。


歴史学者になられるまで


加藤陽子さんは幼い頃は、当時の古代エジプトブームに影響され、考古学者になりたいと考えておられたそうです。

女子校の桜蔭中学校・高等学校で学ばれ、部活動では社会科部に所属して、文化祭では「世界恐慌と一九三〇年代のアメリカ」をテーマにして発表を行われたそうです。

図書館の蔵書数が最も多いことから東大の受験を決め、本を読むことが大好きであったことと自立した人間になりたいという思いから、研究者あるいは作家になることを目指されました。

東京大学に入学後は、第二外国語としてロシア語を選択して読んだロシア文学や、伊藤隆氏による教養課程向けの「戦争と知識人」をテーマとした講義に影響を受けているとおっしゃっています。

そして大学二年生の頃に日本近代史を専攻することを決意し、文学部の国史学研究室において、「右寄り」とも評された伊藤隆氏の

研究室に所属されまHした。

伊藤隆氏の指導のもとで、はじめて学問的な面白さに目覚め、大学院時代の研究が『模索する一九三〇年代』の後半の日米開戦前の外交部分にあたる、と語っておられます。

1989年3月に東大の博士課程を単位取得満期退学され、同年4月から山梨大学教育学部の専任講師となられました。


この頃、駒場で最初に会った男性である野島博之氏と結婚されています。本名は野島洋子さんとなられました。

研究者として

1992年から1993年に加藤陽子さんは文部省在外研究員として米スタンフォード大学やライシャワー日本研究所に滞在されます。

1993年には初の著書となる『模索する一九三〇年代』を山川出版社から出版し、1994年には助教授として東大に移られます。

1994年 東京大学文学部助教授になられ、翌年 東京大学大学院人文社会系研究科助教授になられます。
そして1997年 「徴兵制と近代日本」の論文を提出されで博士号(文学)を取得されます。


1999年以降は山川出版社の教科書『詳説日本史』の執筆に携わり、このときに教科書執筆の困難を感じたことがきっかけとなり、栄光学園の中高生向け講義をまとめた『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を出版されます。

同作は2010年に小林秀雄賞を受賞しました。

現在オーディオブックでもこの本を聞くことが出来ます。

この本を加藤陽子さんが書かれたきっかけは、上記の高校教科書の執筆経験を踏まえ、中央公論に発表した文章「私が書きたい『理想の教科書』」の内容を、編集者の鈴木久仁子さんがぜひ実行するようにと説得したことにあったそうです。

日清戦争から太平洋戦争までの日本の戦争を取り扱っており、「侵略・被侵略」という構図ではなく、他国からの観点や国際情勢、社会への影響といった大きな視点から戦争を論じる点に特徴があるそうです。また、日本切腹中国介錯論を述べた胡適や、太平洋戦争の前から戦争は不可能だと主張した軍人・水野広徳といった、一般にはあまり知られない人物も紹介しています。

沼野充義氏は、中高生向けだからといって叙述のレベルを下げることなく、最新の研究成果も用いつつ、読みやすく、かつ「歴史の流れを本当に決めるものは何か見抜こうとする姿勢」がある書籍となっていると評価している。政治家の片山虎之助氏も本書を読み「歴史を「新鮮なもの」にしてくれる書物」だと述べています。

本書の続編として『戦争まで』があり、同様の中高生向け講義をまとめたもので、太平洋戦争に至るまでの国際交渉を扱っている。

この本は2017年紀伊國屋じんぶん大賞を受賞しました。

歴史学者の成田龍一氏は、指導者間の複雑な国際交渉を巧みに叙述している点を高く評価しています。他方で、成田は、加藤の著作が指導者レベルの問題のみに焦点を当てていることで、「国民」の問題を等閑視しており、結果として戦争教育と平和教育の分断を招く恐れがあると主張しています。


2004年以降、加藤陽子さんは読売新聞において書評面の担当者の一人を努めている。

2007年 東京大学大学院人文社会系研究科准教授になられ、2009年 同教授
になられます。


このほか、小泉政権以降、政府の公文書管理に関わり、内閣府公文書管理委員会委員や「国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議」の委員を歴任されています。

上皇明仁も、天皇在位中は、歴史談義のために、保阪正康氏や半藤一利氏とともに加藤さんをしばしば招いていたといわれています。


2013年成立の特定秘密保護法には反対し、また、2014年には立憲デモクラシーの会の呼びかけ人の一人となられました。


2020年 史学会理事になられ、同年、日本学術会議の新会員候補に推薦されたが、他の5名の候補とともに、首相の菅義偉によって任命を拒否された。


加藤陽子さんの研究について


加藤陽子さんは近代日本の軍事史および外交史を主要な専門分野としておられます。秦郁彦氏は「『模索する一九三〇年代—日米関係と陸軍中堅層』、『徴兵制と近代日本』、『戦争の日本近現代史』などはいずれも力のこもった手堅い学術的著作で、「硬直したイデオロギーとは無縁」と言ってよい」と評しているそうです。

90年代においては、軍部の研究をタブー視する伝統的な学界の風潮と、「新しい歴史教科書をつくる会」の動きの両極のなかにあって、加藤の戦争研究には困難な面があったそうです。

加藤さんは自分の書く歴史像について「右でも左でもなく居直りでも自虐でもない、国民の集合知を支え得るような歴史像を作り上げること」が目標であると語っておられます。

東大での指導教授だった伊藤隆氏は、加藤の研究を高く評価しつつも、加藤が後に「新左翼」へと回帰したと述べているそうです。

また、斉加尚代さんによると、伊藤は「彼女はぼくが指導した、とても優秀な学生だった。だけど、あれは本性を隠してたな」と語ったといわれています。

韓国においては、「安倍晋三の歴史認識と集団自衛論に反対する進歩的研究者」として知られているとされる。

他方で、韓国史学会会長のキム・ドゥクジュンは、家永三郎氏と比較した上で、加藤の研究について、植民地の問題を十分に論じておらず、日本の侵略を正当化していると批判しているそうです。

加藤陽子さんはは1999年頃から山川出版社の教科書『詳説日本史』の執筆に関わっているが、この教科書は加藤さん自身にとっては満足のいく出来ではなかったそうです。

このときの経験をもとに、歴史研究の「凄み」を高校生に示したいという内容の「私が書きたい『理想の教科書』」という論考を2002年の『中央公論』に発表しています。この論考を読んだ編集者の声掛けをきっかけに、のちに前述の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』が執筆されることとなりました。

この教科書『詳説日本史』については、昭和期の執筆者が伊藤隆氏から弟子の加藤陽子さんに交替したことで、大きな書き換えが行われたともいわれるています。

南京事件に関する記述を、伊藤隆氏が「日本軍は非戦闘員をふくむ多数の中国人を殺害し」と一行ですませていたのを、(見本本において) 加藤は分量を三倍近くふくらませ、「日本軍は南京市内で略奪・暴行をくり返したうえ、多数の中国人一般住民 (婦女子をふくむ) および捕虜を殺害した (南京事件)。犠牲者数については、数万人~四〇万人に及ぶ説がある」と書き直したといわれています。

これについて、上杉千年氏は「理科の教科書に〈月に兎がいるという説がある〉と書くに似ている」と非難し、秦郁彦氏も加藤さんについて「左翼歴史家のあかしともいうべき自虐的記述は、正誤にかかわらず死守する姿勢が読み取れる。つける薬はないというのが私の率直な見立てである」と非難しているそうです。


加藤陽子さんの著書


加藤陽子さんには以下の著書があります。


単著
『模索する1930年代――日米関係と陸軍中堅層』山川出版社、1993年、新装版2012年
『徴兵制と近代日本――1868-1945』吉川弘文館、1996年
『戦争の日本近現代史――東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで』講談社現代新書、2002年
『戦争の論理――日露戦争から太平洋戦争まで』勁草書房、2005年
『戦争を読む』勁草書房、2007年
『シリーズ日本近現代史(5) 満州事変から日中戦争へ』岩波新書、2007年
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』朝日出版社、2009年。新潮文庫、2016年 解説橋本治 - (第9回小林秀雄賞受賞)。
『NHK さかのぼり日本史(2)――昭和 とめられなかった戦争』NHK出版、2011年
『とめられなかった戦争』 文春文庫、2017年
『天皇の歴史 08巻 昭和天皇と戦争の世紀』講談社、2011年。講談社学術文庫、2018年
『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』朝日出版社、2016年(第7回紀伊國屋じんぶん大賞受賞)
『天皇と軍隊の近代史』 勁草書房〈けいそうブックス〉、2019年10月。ISBN 978-4326248506。
共著
(半藤一利・保阪正康・戸高一成・福田和也・中西輝政)『あの戦争になぜ負けたのか』 文春新書、2006年
(佐高信)『戦争と日本人――テロリズムの子どもたちへ』 角川oneテーマ21、2011年
(佐藤優・福田和也)『歴史からの伝言――“いま”をつくった日本近代史の思想と行動』 扶桑社新書、2012年
(半藤一利)『昭和史裁判』 文藝春秋、2011年,文春文庫、2014年 ISBN 978-4-16-790038-0
(内海愛子・大沼保昭・田中宏)『戦後責任――アジアのまなざしに応えて』 岩波書店、2014年
(雨宮昭一・鹿毛利枝子・天川晃・猪木武徳・五百旗頭真)『戦後とは何か(下) 政治学と歴史学の対話』 丸善出版、2014年
共編著
(黒田日出男・加藤友康・保谷徹) 『日本史文献事典』(弘文堂, 2003年)
『詳説日本史B』(山川出版社, 2002年-) ※文科省検定教科書
(歴史学研究会) 『天皇はいかに受け継がれたか: 天皇の身体と皇位継承』 績文堂出版、2019年2月。ISBN 978-4881161340。
訳書
(川島真・高光佳絵・千葉功・古市大輔)ルイーズ・ヤング著『総動員帝国――満洲と戦時帝国主義の文化』(岩波書店, 2001年)


めぐめぐがすごいと思う加藤陽子さんのこと


1非常に優秀な方で、そこから日本の日本歴史学者のトップの一人となられて多くの本を書かれていること。


2そして中学生・高校生にもにも専門レベルの内容をという点を踏まえて本を書かれていること

3そしてその内容は批判を受ける難しい歴史問題と女性からの視点を持って真剣に取り組まれていること

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