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創造的な人をダークサイドに落とさないために

 科学技術を発展させる上でも、暮らしや経済を豊かにする上でも、創造性は重要なものだと言われています。仕事においても、競合他社に勝てるような新しくてインパクトのあるものを生み出すことが求められているかと思います。このように、「創造的な人材は、社会にとっても会社にとっても重要である」という意見に異論がある人はあまりいないのではないでしょうか。けれども、最近チームの創造性に関するレビューをしていて、わかったのは、創造性には負の側面もあるということでした。

創造性のダークサイド

 例えば、創造性のダークサイドについて検討したGino&Ariely(2012)の研究では、創造的な性格な人はそうでない人より不正をする傾向があることが明らかになっています。

 また、Ng & Yam(2019)の研究によると、クリエイティブであることは、時に「自分は創造的な人間であるから、創造性を高めるためなら組織の方針を無視してもいい」という感情やその後の逸脱行動を生むことが示されています。

創造的な人々をダークサイドに落とさないために

 もちろん、不正や逸脱行動は、創造的ではない人も行うような行為であると思います。しかしながら、今後の未来を明るくしていくような創造的な人がこのようなダークサイドに落ちてしまうのは、職場にとって大きな損失かと思います。では、それを防ぐために我々は何ができるのでしょうか?
 
 個人がダークサイドに落ちる理由は様々ではあるかと思いますが、創造的な人が闇落ちする理由の1つに、周りから、正当な評価を受けていないことが挙げられるかと思います。
 新しいものを生み出すというのは、とても大変な行為です。新しくて便利な製品の裏には成功しなければならないというプレッシャーの中で、失敗を何度も何度も繰り返した、開発チームの努力があった、などという話もよく耳にします。また、新規事業に携わっている友人からは、「稼げないお荷物事業だと、陰口を叩かれ、疲弊してしまう」という話を聞いたことがあります。
 そんな彼らの努力に敬意を払い、彼らに対してそれに見合う報酬が与えられていれば、彼らはその創造性を、会社のために用いるのではないでしょうか?実際に、職場の創造性研究においても、職場で創造性に対し報酬を与えることは、逸脱行動を抑制しうることが示唆されています。また、 O'Brien  & Beehr(2019)では、パワハラをするような上司や、不正がおこなわれている組織では、クリエイティブな人がその力を、組織のためではなく、自分の利益のために使うかもしれないと指摘しています。パワハラをするような上司や、不正がおこなわれている組織では、クリエイティブな人がその力を、組織のためではなく、自分の利益のために使うかもしれないと指摘しています。

まとめ
創造的な人々をダークサイドに落とさないためには、以下のことが有効
①彼らの努力に敬意を払い、彼らに対してそれに見合う報酬が与える
②パワハラや不正などの文化をなくす

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