#玉置玲央
「光る君へ」第13回 「進むべき道」 その1 兼家の叱咤が道長に与える影響
はじめに
「光る君へ」という作品の最初の1/4、1クールを牽引してきたのは、兼家でした。まひろと道長は所謂、主人公にあたるキャラクターですが、作品世界の中心にはおらず、物語を動かす力もまだ持ち合わせていません。ですから、兼家が権謀術策をもっていかに貴族の頂点を極めていくか、その謀や政にまひろや道長が何らかの影響を受けていくというのが、全体の構成となっていました。このnoteでも、兼家や晴明を中心
「光る君へ」第11回 「まどう心」 女の想いをすくい取れない男の身勝手とは
はじめに
月は満ち欠けするものです。同じ状態のまま一定であり続けることはないというこの世の無常を表していると言えるでしょう。それは、その月を見て相手を想い続けるまひろと道長の恋も同様です。前回、結ばれた二人の想いは、哀しいけれど満ち足りたものであったのでもありました。
煌々と輝く満月から光がちりちりと二人に注がれるシーンは幻想的だったと言えるでしょう。そして、この世を正さなければならないとい
「光る君へ」第9回 「遠くの国」 直秀の死を招いた道長の中途半端さとは
はじめに
予告編では巧くその去就が伏せられていただけに、直秀の呆気ない死は衝撃的に演出されました。検非違使に殺される様子は直接的には描かれず、彼らの死という結果だけが、鳥辺野の地に横たわるという展開も効果的でした。まひろと道長の思いと同化してしまった視聴者も多かったのではないでしょうか?
その一方で彼の死に「ああ、やっぱり…」と静かに哀しく受け止めた方々もいらっしゃったでしょう。というのも