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【プロセカ】『Let’s study hard!』イベントストーリー感想

 白石杏ちゃんバナー混合イベント『Let's study hard!』お疲れ様でした。個人的にとても好きなイベントストーリーになったので感想を書いておこうと思います。

あらすじとか


教師「白石、暁山。月曜からの補習、しっかりこなすよう(」
杏・瑞希「そ、そんな〜!」
『Let's study hard!』第1話より


 広告で2年次のクラス分けが発表されたのを他所にイベントストーリーでは進級の危機を迎えてるっぽくて笑った。このあらすじ文から察せる通り、オリキャラのみんなが高校生らしくわちゃわちゃするストーリーで楽しかったです。 
 マジでずっと彰人くんが面白かった。彰人くんは真剣なので笑っちゃいけないんですけど……。

彰人「…………もだ」
彰人「オレも……補習だ」
『Let's study hard!』第1話より

 でも報酬カードのサイドストーリーではお家でも真面目に勉強しているところが見れてそこが彰人くんらしくて良かったですね。

 あと、蓋を開けてみると類くんは特に進級に問題なくて司くんは普通に留年の危機!補習!なのも笑っちゃいました。類くんはマジで問題ないんかーい。どうなってるんだ。でも今回は冬弥くんの依頼で先生役をやって、頼れる先輩な類くんが素敵でしたね。WDの冬弥くんバナーでもそうだったように、類くんと冬弥くんだと親切な先輩とそれを慕う後輩の構図になるので胸が温かくなります。類くん相手にそういう空気にできちゃうところがまた冬弥くんの魅力だったり……。差し入れ持ってきてくれた寧々ちゃんや、報酬サイドストーリーの絵名ちゃんも出番が短いながらいい味を出していました。

神高1-Aの友情

 イベントストーリーでは杏ちゃんと瑞希ちゃんが出会った当初のエピソードが描写されていましたね。正直言うと、この2人の関係がもっとがっつり書かれるかと思ったんですが、結構サラっとした描写でしたね。
 でも、そのサラっとしているのが逆にいいのかもな、と思ったり。

杏「うん。そういう経験があるからかな。どんな人でも、正面きって話せば最後は仲良くなれたり認め合えるって思えるんだ」
瑞希(すごいな、杏は。……どんな相手とだって、仲良くなったり認め合えるって思えるなんて
瑞希(どんな人でも認め合えるって思ってるから、だから……誰とでも、あんな風にまっすぐ向き合っていけるんだろうな
『Let's study hard!』第4話より
カード:「【25時、ナイトコードで。】暁山瑞希」(星2) サイドストーリー 後編

 どんな人でも認め合えると信じるまっすぐな杏ちゃんの姿勢を眩しく思う瑞希ちゃんには、瑞希ちゃんの星2ストーリーで考えてたことを思い出しました。

類「白石くんのような友達がいることが、瑞希にとって助けになっているかもしれないと思ったんだ」
杏「うーん、でもやっぱり、私はなんにもしてないですよ」
杏「だって、私は瑞希と一緒にいるのが楽しくて友達になっただけですから!」
杏「だから助けとか、あんまり意識したことないですし。あ、でも……」
杏「もしも瑞希が、私と友達になれてよかったって思ってくれてるなら……私もすっごく嬉しいって思います!」
『Let's study hard!』第5話より


 杏ちゃんの人となりを深堀りしつつ、こういう子だから瑞希ちゃんにとってすごく大事な友達になったんだなあと思える言葉が詰まってましたね。

瑞希「ありがとね、杏」
瑞希「杏と同じクラスになれて楽しかったからさ!」
杏「私も、楽しかったよ!でも……」
杏「別にクラスが違ったって、何も変わらないでしょ?だって、私達これからも友達だし」
杏「2年生になってもよろしくね、瑞希!」
ニッコリ笑い合う杏ちゃんと瑞希ちゃん。かわいいね。
『Let's study hard!』第8話より

 イベントストーリーは杏ちゃん視点なので瑞希ちゃんの心中は計りかねますが、いままでの1Aでの経験と今回交わした言葉のお陰で少しでも未来への不安が薄らいでいてくれたらいいな。2人が終業式の日を笑顔で迎えられてよかったです。

プロセカが言祝ぐボカロ文化

 プロセカの書き下ろしやストーリーには、ボカロ文化のことを描いているのかな?と感じるものがたくさんあります。プロセカ全体の姿勢としてボカロ文化を盛り上げようとするものがあり、ストーリーの面でもボカロ文化を、ひいては芸術・創作というものの素晴らしさを伝えようとしてくれます。私はそういうところが好きなんですよね。先日のワンダショちゃんねるで発表されたオーデイション番組もとても楽しみです。

 ビビバス描き下ろし曲の『月光』は、RAD WEEKENDを追いかける彰人くんたちビビバスの心情を描いており、先達のボカロクリエイターの背中を追いかける後発クリエイターの曲としても読み解けると思っています。

 2022年11月に開催された星野一歌ちゃんバナーイベントの『Echo my melody』では、 曲に想いを託すクリエイターとボーカロイドの幸福な関係性が描かれていました。

 同じく2022年11月開催の東雲絵名ちゃんバナーイベント『願いは、いつか朝をこえて』は芸術が持つポジティブな力やそこに込められた優しい願いが描かれました。友達のまふゆちゃんに対する真摯な想いを込めた絵を描くことが、画家としての絵名ちゃんの成長に繋がるというストーリーラインで、『Echo my melody』とあわせてクリエイターを志す人やいま活動している人への励ましとリスペクトを感じる、すごく素敵なお話でした。

 今回の『Let’s Study hard!』では、リスナーたちがボカロ曲(他者が創り上げた作品)を味わうことの素晴らしさみたいなものも描かれていると感じました。
 杏ちゃんは古文の単語である「あはれ」を理解するために自分の体験や感覚に引き寄せて考え、最後のテストでは『徒然草』を自分なりに読解して書いた人の想いを感じ、深く味わっていました。

類「白石くんは、夕焼けの空に見とれたことはないかい?」
杏「あ!みんなで1日中歌の練習して、疲れたー!って空を見た時とかにすごく綺麗だなあって思ったりはするかも!」
類「フフ、そのしみじみとした、味わい深い気持ちが、『あはれ』の気持ちに近いだろうね」
『Let's study hard!』第3話より
杏(もう呪文みたいな言葉じゃない。文に込められた想いが、私にもちゃんと伝わってくる――!)
杏(感じるよ……。これを書いた人の想い。景色を浮かべて、寂しくて、綺麗で、胸いっぱいになるような……もののあはれを感じる気持ち……)
『Let's study hard!』第6話より

 これって、ボカロ曲のコメント欄で行われている”考察”(本来は読解、批評と言われるべきものと考えています)に近いところがあるなと思います。考察(読解、批評)という行為の豊かさや喜びを描いている。オリキャラたちはクリエイター側のため、こういう鑑賞側をじっくり描くのはめずらしいし、とても良いことだと思います。やはり、鑑賞する人が居てこそ芸術というものですから。
 プロセカにとってのボカロ文化圏の中にはリスナーも含まれており、そのリスナーたちの存在を祝福するようなストーリーだと感じました。

春を迎える若者たち

 杏ちゃんが挑む古文のテストで題材とされているのが『徒然草』の第19段なのも良かったですね。

杏(――季節が移り変わるのは、みんなそれぞれにしみじみとした趣きがある)
杏(物事の風情は秋が一番だってみんなは言うけど……より一層心が浮き立つのは……春の景色)
杏(鳥の声も春めいて、のどかな日の光……垣根の草も芽を出す頃から――)
『Let's study hard!』第6話より

 このストーリーが実装された時期こそ秋ですが、イベントストーリーはおそらく進級を控えた春のお話です。おりふし(=季節)の移り変わり、時間の流れ……オリキャラたちが進級を迎えて一つ歳を取るということの趣深さを説きつつ、ひときわ心浮き立つのは春――つまりはみんなが出会いと別れに立ち向かう季節であると、『徒然草』とバナーキャラの杏ちゃんを始めとしたオリキャラたちの心境を重ね合わせている。そして、これから同じようなシチュエーションに出会うであろう主たる読者として想定している若者の背中を押している。

杏(……みんなのおかげだ。瑞希、神代先輩、冬弥……それに、一緒に勉強を頑張った彰人と天馬先輩)
杏(ううん、それだけじゃない。他にもたくさんの友達が、私を応援してくれてた)
杏(みんなの応援が、優しい想いが……私に力をくれる……)
『Let's study hard!』第6話より

 最初は『徒然草』に書いてあることが全然理解できない杏ちゃんから始まり、仲間との勉強会や友達からの応援のお陰で理解できるようになる、勉強することで自分の世界が変って色づいていく喜びを描いているのも素晴らしかったです。

みんなお疲れ様

 公式Twitter(固い意思)に掲載された「進級前最後の日」イラスト良かったですよね~。

 あらすじだったりイベント開始直前に『YY』の杏ちゃんアナザーボーカルが実装されたりで不安になりましたが、みんなで頑張って進級迎えられてよかったです。これからも応援してるよ!