見出し画像

Indifferenceとは何か? / GTO Wizard Blog翻訳+要約

 以下の二つのページを翻訳し要約したもの。学習を兼ねているため誤りがあれば指摘してください。


ポーカーにおける無差別とは何か? - What is Indifference in poker?

 Indifference(無差別)とは、無差別の原理とも言われるゲーム理論の用語で、二つ以上の行動が同じ期待値を持つことである。
 例えば、GTOの解では、bluffをキャッチする場合、callとfoldを混ぜることがあるかもしれない。この場合、callとfoldでindifferentであると言われる。

無差別に関する三つの法則 - The Three Laws of Indifference

 Indifferenceは最も誤解されている概念の一つである。GTOでIndifferenceが果たす役割を学ぶのは、ポーカーの理論を学ぶ上で重要である。
 GTOの解の解釈は科学的というより技術的な、直感と分析の組み合わせによる主観的な過程であることが多い。そこには経験則やヒューリテスティックスは多くあるが、分析的事実が殆どない。
 この記事では、ナッシュ均衡を構成する無差別に関するいくつかの基本的な分析的事実について概説する。これらは全てのポーカー戦略に当てはまる。

自己中心的EVの法則(The Law of Selfish EV)

どのハンドも、レンジにある他のハンドの価値を上げるために自分の価値を犠牲にすることはない。完璧な戦略は、全てのハンドで常に最も高い期待値(EV)のアクションを取る。

自己EVの法則

 すなわち、レンジ全体でのEVを最大化するために、特定のハンド内で見た場合にEVロスするようなアクションを選ぶことはない。これは無差別の法則を帰結する。

無差別の法則(The Law of Indifference)

あるハンドに複数のアクションを混合させる場合、それらのアクションは同じEVを持たなければならない。同じEVを持つアクションは、その間で無差別である。

無差別の法則

 例えば、callとfoldが混在するハンドならば、コールの価値は0EVである。callとraiseが同価値である場合、プレイヤーにとってそれらは無差別である。

 この法則は、任意の戦略に対し従う。対戦相手の不完全で搾取可能な戦略に対しても、いくつかの手は必然的に依然として無差別な決定に直面することになる。エクスプロイト的なシミュレーションでは、不完全な戦略に対して完全に無差別な判断が少なくなるため、純粋な(一意な)行動が多くなる傾向がある。無差別性はGTOに依存せず、対戦相手の戦略にのみ依存する。無差別の法則は固定戦略の法則を帰結する。

 なお、もしソルバーがEV-の選択肢を提案した場合、それはノイズによるものである。

固定戦略の法則(The Law of Fixed Strategies)

無差別なアクションの混合割合を変更しても、固定された戦略(GTOのような)に対して価値を失うことはない。しかし、相手は戦略を調整することで、こちらの混合割合ミスをエクスプロイトすることができる。

固定戦略の法則

 レーキがある場合を除き、ポーカーはゼロサムゲームである。したがって、相手が戦略を変えない場合、無差別の法則により、同EVを持つアクションはいかなる頻度で混合させたとしても、EVは変化しない。
 すなわち、例えばGTO上でcall 40% / fold 60%のスポットがあった場合、call 0% / fold 100%にしてもEVは変化しない。

 しかし、相手は戦略を調整することでこの簡略化をエクスプロイトすることができる。いま、同様にしてfoldする頻度の高いハンドをfold 100%にしたとする。このオーバーfoldを観察した相手は、3betレンジを広げることでエクスプロイトできる。この場合、あなたは実際には+EVの手札をフォールドし続けることになる。

 すなわち、あなたのハンドにおける最善の行動は、対戦相手の戦略によってのみ決定される。あなたのレンジにおける無差別の領域は、相手がどのようにプレイするかによって定まる。したがって、相手はあなたのレンジ内でどの手/アクションが無差別であるかを変えるために戦略を変える必要がある。詳細は次を参照。

 よくある誤解として、GTOは「どんなミス」に対しても利益を得るというものがある。しかし、以上から分かるようにこれは誤りである。
 GTOは「明白なミス」に対しては利益を得ることができる。「明白なミス」とは、固定戦略に対して損をする行動のことである。

余談

 ネット上で見つけられるindifferentの訳語として、無関心をしばしば見るが(おそらくDeepLの影響)、無差別を当てた方がよい。というのも、経済学関連ではindifferentを使う場合にそう訳されることが多いため。例えば、経済学における無差別曲線(indifferent curve)、意思決定理論における無差別の原理(Principle of indifference)など。この訳語を当てておくことで関連項目へのアクセスがよくなると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?