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テイラー・スウィフトに学ぶ発言の姿勢

最近テイラー・スウィフトの曲をYouTubeで聴いていて、いくつかの曲名の末尾に「Taylor’s Version(テイラー バージョン)」と追加されているのに気がついた。

調べてみるとどうやらテイラーは一年ほど前から、自身の過去のアルバムを再録音して「Taylor’s Version」としてストリーミング配信し始めているらしい。

テイラーは楽曲の権利を取り戻そうとしている

あるトーク番組のインタビューで、テイラー自身がこう語っている。

Most of your favorite artists do not own their work.
(皆さんの大好きなアーティストも、多くの場合は、自分の楽曲の権利を持っていないんです)
【中略】
I made it very clear that I wanted to be able to buy my music. That opportunity was not given to me, and it was sold to somebody else.
(私は自分の楽曲は自分で権利を買い取りたいとはっきり伝えたんです。でもそうする機会がなかったし、結局ほかの誰かに買い取られてしまった)
And so I just figured, I was the one who made this music first, I can just make it again.
(それで思ったんです、私が初めに作った曲なんだから、また作り直せばいいんだって)

Taylor Swift Full Interview on Late Night with Seth Meyers」 より

わたしは音楽業界に疎いのだけど、調べた感じ、この「権利」というのはアメリカ法の「原盤権」というものらしい。

これがなかったために、テイラーは自分自身で作詞作曲を行っているにも関わらず「アルバムのどの曲をシングル化するか」とか、「どの曲にMVを作るか」といった決定ができなかったという。

そこで自身の手で再録音したり、これまで発表できていなかった楽曲を「Taylor’s Version」と、いわば目印をつけて配信しているのだ。

同じような理由で再録音するにしても、その事実を自ら発信したり、「Taylor’s Version」という意味ありげな副題をつけずにやることもできたんだと思う。
なのにあえてやったのは、テイラーが自分の社会的影響力や発言力をよく分かっていて、それを活かしたかったからじゃないかな、と。

彼女は以前から女性やアーティストとしての権利をかなり明確に主張しているから、今回の再録音の流れも違和感がない。
むしろ応援したいし、心強い。

発言力は、誰にでも持てるものなんじゃないか

テイラーの姿勢を見ていて感じるのは、自分の発言力を理解して、正しく活かすのはとても大事だなということ。

わたしたちも、彼女のような名声こそなくとも、たとえば会社や学校、コミュニティなどで多少なりとも影響力を持っているんじゃないかな、と思う。
それは数人のグループ内でのことだったり、特定の話題や場面でかもしれない。誰かと組むことで力を発揮できる可能性だってある。
自分がどの相手なら、どの状況なら影響力をもてるかを見極めて、すべき発言はしていくというのが、実は思っている以上に大切なんじゃないか。

不言実行が美徳とされるところはあるけれど、黙って動くばかりでは他人に察してもらうにも限界がある。そのままでは「誰にも気付かれなくて構わない」と言っていることと同じになってしまわないか。
「自分は弱い立場だから…」と思ってしまうひとこそ、声を上げなければいけない場面がある。

わたし自身、空気を読んでいるつもりで言いたいことを言えないことがたくさんあったし、これからもあると思う。だけど、考えていることを心のなかに置いておいたほうがいいときと、勇気をもって口に出したほうがいいときがきっとあるはずだ。

noteのような形も、そのやり方のひとつなのかもしれない。

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