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あの白いデイドレスはよかったのか、ダメだったのか

先日行われた「即位礼正殿の儀」。
たくさんの国の賓客をお招きして、天皇陛下の即位が宣明されました。
天皇皇后両陛下をはじめ、皇族方のご装束も美しかったですね。
高御座や御帳台に両陛下が後ろからお入りになり、開帳されてはじめてお姿が見える段取りは昭和の即位礼までの形を復活させたそうですが、即位宣言とお披露目の場にふさわしいものだったと思います。
ゲストの皆さんにはちょっとしたサプライズになったのでは?

さて、各国からの賓客の服装も大変話題になりましたが、私たちの国の首相夫人の服装は逆の意味で世間を賑わせました。
私もこの日はTV中継をオンタイムで見ていたのですが、海外の賓客を撮る画面の端に、あのふくらんだ白い袖だけが映りこむシーンがありまして。
あれは、誰?!
とかなり気になったのでした。
引きの画像になって「あ、首相夫人か」と……。

あの服装はよかったのか、ダメだったのか。
結婚式に呼ばれた際の服装選びにも大いに参考になるので、触れておきたいと思います。

「次第概要(案)」によれば、参列者のドレスコードはこうでした。

男子 燕尾服、モーニングコート、紋付羽織袴又はこれらに相当するもの
女子 ロングドレス、デイドレス、白襟紋付又はこれらに相当するもの
勲章着用
(首相官邸HPより https://www.kantei.go.jp/jp/singi/gishikitou_iinkai/dai6/siryou1-2.pdf

服飾の識者によれば、首相夫人の今回のワンピースは「デイドレス」の範疇に入るもののようなので、一概にドレスコード違反ということでもなさそうです。
ただし、ドレスコードに準じていれば正解かと言えば、そういうものでもない。

私は正解ではないと思ったので、ポイント別に検証してみます。

1.立場にふさわしいか

一般的に政府関係者と見なされる首相夫人は、「参列者」とはいえホスト寄りの立場と考えられるでしょう。
ゲストでもあり、ホストでもある立場、そして世界から注目を浴びる立場。
首相夫人のドレスに多くの人が違和感を覚えたのは、そういう立場にそぐわないと感じたからだと思うのです。

近くに座っていた元首相夫人方が和装やロングドレスだったのもいけませんでした。
結果として、現役首相夫人が一番軽い恰好に見えてしまった。
並んで画面に映し出されると、あのドレスの軽さがより強調されました。
「周囲にリサーチしなかったの?」「誰か相談できる人はいなかったの?」という声も多々上がっているようでしたね。
デイドレスで来いというドレスコードではなかったのですから、選択肢の中からよりフォーマルな装いを選択するのがマナーとしても妥当だったでしょう。

以前、友人(女性)から「結婚式に呼ばれて、上司として主賓の挨拶もするんだけど、どんな服装にすべき?」という相談を受けたことがあります。
スーツでは堅苦しいし地味すぎる。
着物なら間違いないけれど彼女の仕事的には面白みに欠ける。
あれやこれやと意見を交わしましたが、面白いけれど難しいものだなぁと思いました。
男性は基本的にスーツがベースなので、小物をうまく選べばそれだけで形になりますが、女性はそういうわけにはいかないんですよね。
結果、その友人は黒の柔らかい素材のパンツスーツで、モードな雰囲気にまとめたとか。
会場にも立場にもキャラクターにも合っていて、いいチョイスだったと思います。

2.当日の動きを考慮しているか

立っている分にはそれほど脚も出ていないように見えたドレスでしたが、最前列の席だったこと、万歳三唱で腕を上げる場面があったのもいけませんでした。
当日の席次や式次第を考慮していなかった結果に見えます。

夫たる首相が「万歳三唱をする」と式次第が公開されていますし、自身の立場を考えれば最前列になることは十分推測できるでしょう。
誰と並ぶことになるのかもわかるはずだし、わからないとしても周囲に聞けば誰かしらが答えてくれる環境にいるはずですから。

あのドレスのスカート丈は膝が隠れるか隠れないかという微妙なものでしたが、年齢的にも膝が完全に隠れる服装のほうがよかったように思います。
脚がきれいとはいえ、あの年齢の女性があの丈のスカートをはいた場合、派手な印象のほうが強くなるのではないでしょうか。
万歳をして、更にスカートが上がり、腿まで見えてしまいましたが、若い女性だとしてもフォーマルな場にはあまりおすすめできるものではありません。

余談ですが、昔の地方の結婚式では披露宴の締めに万歳三唱をすることもあったんです。
私が学生時代の話なので、今はさすがにやっていないのかなぁ?
披露宴の場合は前にテーブルがあるので、ミニスカートでもあまり困りませんが。

3.主役とかぶらない色か

ドレスが白だったというのも世間がザワついた理由の1つでしょう。
皇后陛下の唐衣(十二単の一番上に着用する、丈の短い着物)は白でしたが、白の唐衣というのは皇后陛下のみが着用できるものだそうです。
天皇陛下の黄櫨染御袍(禁色)に相当する衣裳だということ。

日本的な考え方では、それなら白は避けようとするのが一般的でしょう。
ましてや、ホスト側と目される立場であれば、ともかくも主役を引き立てるべきです。

結婚式でもウェディングドレスと同じ白は避ける、というマナーがありますが、これは主役を立てるのが目的なので、新婦を連想させるものは極力避ける、と考えるのが本来。
お色直しの衣装や髪型などもなるべくかぶらないように……そこまで考えてもいいわけです。
ティアラをつけてきたゲストを見たことがありますが、もちろんこれもNGです。

海外の王室の方についてはもちろん別の話ですので混同なさらぬように……。

おしゃれよりも身だしなみを優先

おしゃれは自分のために、身だしなみは相手のために、と言いますが、あのドレスはそこをはき違えたチョイスをしてしまったと感じます。
白いドレスは前に別の場所で着用したものだったそうで、使いまわしと火種になっていましたが、きっとお気に入りの1着だったのでしょうね。

海外からの賓客が華やかなドレスをお召しになるのは、ホストへの気遣い、マナーだと言えるでしょう。
前述のティアラ然り、勲章を身につけるような方々はそれにふさわしい服装をする必要がありますしね。
民族衣装を身につけた方々も各国の第一礼装たる衣裳でいらしたはずで、国の代表として参列するなら最もふさわしく、間違いのない服装だと思います。
日本人であれば着物という民族衣装があるので、女性はやはり和装をチョイスする率が高くなるでしょう。

私も弟の結婚式で着たいものと着るべきものは違うんだということを実感しました。
友人であれば「華やか」と思われるものでも、親族であれば「派手」と思われる。
フォーマルな場に行く場合は、服装はあくまでも身だしなみなんです。

ー詳しくはブログにて「40代独身の姉は何を着る?|家族の立場で結婚式②」
https://prima-wedding.com/column/blog_190410/

着ていく服を新調しなければいけないわけではないものの、即位礼の持つ意味合いからすれば、新しい服で臨もうと考える場所ではあります。
ちなみに「概要(案)」の日付は6月、即位礼当日までに最低4か月はあったわけで、衣装を仕立てるにしても、まあ十分な時間があるかなと。
首相夫人は服装が世間の話題になる立場であり、Web等でも簡単に調べられる時代ですから、着回しというのはいただけなかった。
一般人の結婚式列席じゃないんだから!とツッコミたくもなります。

これを書くためにいろいろ調べる中で、外務省のサイトの中にプロトコールの解説ページがあるのを見つけました。
これはいいコンテンツ!
そういう場に呼ばれることはまずないでしょうが、後でじっくり読んでみようと思います。



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