ランジャタイ国崎のはちゃめちゃな七変化

ランジャタイ国崎が出た「ガキの使い 七変化」の回が凄かった。


・・・という言葉で本当にすべてを言い表せているので四の五の他に書く必要もないのだけど、ちょっと思うところあったので、あえて丁寧に追って書いていこうと思った。

「ガキの使い」恒例の七変化シリーズ、今回のランジャタイ国崎出演で62回になるらしい。検索したら、1995年10月放送のスペシャル回からこのシリーズは始まったようだけど、この時「七変化」はメインの企画ではなく、どちらかと言うと余った尺を低予算で時間と手間をかけずに撮ったネタという印象が個人的には強かった。

この時は「七変化」という言葉もなく、会議という笑ってはいけないシチュエーションのもと、松本人志が会議を抜け、変な格好で出て来て、それをみんなが笑いを堪えるという、気軽にやった1ネタという印象が強かった。

この時の放送内容をまとめたサイトはこちら。


当時のダウンタウンは「ごっつ」、「ダウンタウンDX」、「HEY!HEY!HEY!」と多数の人気番組を抱え、前年の94年には松本の「遺書」が250万部を売り上げ、95年3月に浜田は「WOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーブメント」を230万枚売り上げるという、まさにノリに乗った時期で、俺はダウンタウン贔屓だったので、ダウンタウン一強時代だったと思っていた。

そんなことを語り出したら永遠に長くなるので、話を元に戻そう。


そんな28年ほど経った名物企画で、メインはランジャタイ国崎。これはさすがに録画した。

【1本目】
国崎はおばはんの格好をしている。インド人のシェフが現れ、国崎「どうしてもですか?」、インド人「あなたの街にカレーをかけます」と言って、街のジオラマにカレーのルーをかけ続けるというネタ。何故かおばはんはルーをかけられるたびに悲しそうなリアクションをする。

完全に国崎ワールドで、本ネタとしてもいけるんじゃないか?ってくらい世界観は仕上がってる。俺は面白かったけど、番組中はこのネタに笑った人は誰一人居なかった。

面白いんだけどな〜。


【2本目】
国崎が寿司職人の格好で出てくる。目の前には作り物の握り寿司。ネタは玉子。
国崎がテーブルを叩くと、作り物の握りが宙を舞う…横にいる黒子が寿司が棒に繋がっていて、それを操作してる。

寿司はネタとシャリ、それぞれに棒が付いていて、パカッと別れ、その間に国崎の顔が入る。

「やった!明日だ!」という事前に国崎が吹き込んだ音声が流れる。意味は分からない。挟まれている間、国崎はヘン顔きめる。

またテーブルを叩く。寿司が宙に浮く。それを今度は浜田の座っている方へチョップ。寿司は浜田の身体にぶつかって、国崎のもとへ返ってくる。何度かそれを繰り返す。

と、国崎が寿司を叩く角度を変え、今度は浜田の顔が寿司に挟まれる。挟まれたと同時に「WAR WAR TONIGHT」の一節(流れる景色を必ず毎晩見ている)が流れる。

今度は寿司を松本の方へチョップ。松本の顔は寿司に挟まれ、今度はGEISHA GIRLS「少年」の一節が。

「WAR WAR TONIGHT」ならまだしもGEISHA GIRLSの本気の歌「少年」をイジった人はいないんじゃないか(知名度がそんなにない歌という理由もあるが)。

【3本目】
子どもふたりとボールを投げ合って無邪気に遊ぶ国崎。と、そこへスーツの男がテーブルに三体、彫刻を乗せて、現れた。彫刻は高額な現代アート。三点あわせて、469万6千円。「これ、前に僕が買うって言ってたやつですよね?」と国崎。スーツの男は売買契約書を出し、サインを促す。

子ども達は「やめなよ」、「高いじゃん」と止めるが、その声を聞かず「一回書くだけだから」と言って、サインをし、押印もする国崎。

契約書は本物。売買も本気でするつもり。国崎は携帯を取り出し、自分の貯金残高を見せる。496万6,036円。ほぼ全財産が失くなるという根性を見せるネタ。

支払いはクレジットで。暗証番号を入力する国崎。読み取り機からレシートのようなものが印刷され出て来た。

ところが残高は元の額のまま変わらない。テロップに「キャッシュレス決済にトラブル発生」と出たが、恐らく国崎の持っているクレジットカードは上限額が500万も無くても、それで決済出来なかったのではないだろうか。

子どもが「よかったじゃん」とアドリブを言い、吹き出す国崎。

その子どものひと言でみんな笑い、国崎も企画の内容を切り替え、「よかった、よかった。もう行こ。」と子ども達と一緒にはける。

これは最初から「決済が出来なかった」という台本ではなく、ガチで全財産使うつもりだったらしい。

国崎が別名でやっているYouTubeチャンネルに、その失敗したネタのリベンジ動画を載せている。今度はカードではなく、現金で支払いをし、国崎は本気でネタのために全財産を使うつもりだったようだ。

その後、本来ガキ使で見せるつもりだったネタが披露されるのだけど、内容は動画を見てくれたらと思う。

ふっとう茶そそぐ子ちゃん
【ガキの使い 七変化】子供の前で全財産使うおじさん


なにも本当にそこまでしなくても・・番組中ならいざ知らず、計らずとも決済出来なくて、それでも笑いが取れたんだから、そこで終わらせればいいものをちゃんとYouTubeでネタ(?)を完結させようとしてる。

ちなみに動画の再生数は、現在1.8万回。収益で元が取れる回数ではないし、ここらへんに性格出てるなーと思う。


【4本目】
東京タワーの被り物をして出て来た国崎。自作の歌を歌いながら「東京タワーの脳みそ見たくない?」と言い、被り物の頭部を外すと、中にはリアルな脳みその作り物が。

松本人志の「寸止め海峡」に出てくる大病の男を思わせる、精巧な作り。

個人的に気持ち悪くて、あまりちゃんと見られなかった。

赤く光ったり、渡辺いっけいが狙って来たり、松本と浜田が脳みそにジャムやマスタードを塗るという内容。


【5本目】
女の子が「助けてー!」と登場。あとを追う仮面ライダーの悪党風の怪人と男たち。
「待てー!」とそこに登場したのは、オール巨人師匠。出オチ。


【6本目】
a-haの「Take on me」に乗せて、学生服の国崎、なんか気持ち悪い化け物の着ぐるみ、化け物の両脇にはおばあちゃん二人。

四人は曲に乗りながら、まず国崎が自分の眉をシェーバーで剃り出した。剃り落とされた眉毛を空いてる左手で受け止め、手のひらに溜まった毛を脇に置いてある神社?神棚?のようなセットの手前の小皿に奉納。すると神棚の扉が開きそうになるが開かない。

そこで老婆がカバンからアンコを取り出し、化け物の顔になすりつける。それをもう片方の老婆がふきんで擦る。すると、神棚の扉は開き、中からピザが飛び出した。

国崎は喜び、今度は曲に乗りながら自身の髪をシェーバーで剃り始める。その髪の毛を小皿に乗せるが、扉は開かない。また老婆が化け物の顔にアンコをぶつけ、拭き取ると扉が完全に開き、またピザが飛び出した。

ピザを食いながら、神棚を片付け、その神棚をダウンタウンら演者が座る前のテーブルに置き、両手にはシェーバー。もの凄い勢いで髪を剃り出す。いわゆる虎刈りという奴で、丸坊主になる一歩手前の奴。

みな「こいつ、アホやなあ」と呆れながらも笑い、最終的には国崎が白目剥きながら頭を剃り出し、その顔が面白いというところで爆笑を取る。

【7本目】
最後のネタ。

国崎は白ブリーフ姿で、頭はさっきの虎刈りのまま。そして頭に小さなしめ縄を結び、胸と腹にはでかいタトゥーシール。白目を剥き、リズミカルに変な動き(前衛舞踏みたい)をしながら、「松ちゃん…浜ちゃん…が、言ったもんだから」と小さな声で歌う、というある意味、とてもシンプル(だって白目を剥いて、面白い動きをするだけなんだから)なんだけど、6本目のネタが前フリになってて、狂気しか感じない。

もちろんそのしょうもなさに全員が爆笑。


以上で、七変化は終了。

結果は、6万千円で3位という結果。

ちなみに1位はザ・マミィの酒井。2位は、次長課長の河本。

詳しい順位が載ってたサイトがあったのでリンクを載せておく。


オンエア後、ランジャタイSTAFFのアカウントがエックスに撮影後に撮った記念写真を投稿。


そして補足。

ランジャタイと交流のある芸人「マッハスピード豪速球」の二人が、自身のYouTubeで国崎の七変化の感想を話していた。なんでも事前に国崎から「ガキ使出るから見て」との連絡があったとのこと。


もの凄く丁寧に内容を書き起こしたつもりだが、動画は恐らくアップロードされては削除されを繰り返すと思うので、番組そのものの動画のリンクは貼らない。Huluに加入すると見られるそうだ。


そして、やっと自分の感想。

もう本当に「凄い」のひと言に尽きる。

自分としては面白かったし、国崎やってくれたなー!!とも思ってる。

「ダウンタウン」、「七変化」という若手なら誰でも憧れる場所であろう企画で、自分の世界を貫き通して、ブレる事なくやり抜いたのは本当凄いことだと思う。

ひさびさに面白いものを見て、テンションが上がって、ネットで他の人の感想を漁ったところ…すごく詳しい人が感想を書いてたんだけど、めちゃくちゃランジャタイのファンの人が書いた奴みたいで、詳しい情報はありがたいんだけど、ファンならではの近すぎる距離感からの感想が凄く気持ち悪かった。

確かに国崎がやったのは凄いことに違いないんだけど、ああいう持ち上げ方はなあ…ちょっと引くわ。

で、世の中にああいう気持ち悪い感想だけじゃなくて、もうちょっと、特にファンって訳でもないけど、ランジャタイのことは好意的に見てるって人が居てもいいかなーと思って、これを書いてみた。


ここまでやって、もう何も言うことはないでしょー…と書いてもいいんだけど、1位じゃなかったのね。酒井さんの回ってそんなに凄かったのかしら(見てない)。

全財産を失って、眉毛と髪の毛も失って、最後が裸踊りっていうしょうもなさは凄く好きだけど、なんだろうな…ランジャタイ国崎って人の人間性がまったく見えなかった。

笑いに人間性なんて必要ないって言われるかも知れないけど、実際笑いとってる人って人間性に魅力あってこそな部分もあると自分は思います。

笑いというのは、共感性のことを言い、あるあるネタなんかを思い浮かべると分かると思うけど、共感することが笑いに繋がることが多い。

ところが国崎がやってることは、七変化に限らず、ずっと一貫して「意味の分からない」ことをやり続けている。

しかし彼は実は実力があると僕は思っていて。ちゃんとエピソードトークでは笑いが取れる人だし、恐らく性格も本当はまともな人なんだと思う。

何がどうなって、今のようになったのか知らないが、たぶん普通のことをやって笑いを取りたくないと言うこだわりが彼の中にあって、それが今の芸風になってるんだと思う。

それってどうなのか??

もうこれは好みの問題だから何とも言えないけど、その裏に分厚いヒストリーが垣間見えると、自分としてはすごく好みになってしまうんだけど、国崎さんはそれだけは絶対やりたくないと思いながら、自分の笑いをやってそうな気がする。

でも普通、出来ないですよ??

貯金全部使い果たして、おまけに髪も失くすなんて。

ちょっとやってる事が桁違い過ぎて、マッハスピード豪速球の人も言ってたけど、これは「七変化」の最終回のつもりで撮られたものだったのかも知れない。

だって、やれないよ?国崎さんのあとでは。これだけやられたら、ハードル上がりすぎてるって。


「めちゃくちゃ」を実際にやるとこうなるって言う手本みたいなものではあると思うけど、あえて乱暴な言い方をすると「可愛げがなかった」かも。

この「可愛げ」って言うのは「人間性」って言葉とイコールと思ってもらっていいんだけど、めちゃくちゃやる中にも「あ…」って後悔してるみたいな、人間っぽい部分が見えたら、そこが可愛さに繋がって、もっとウケたと自分は思うんだけど、そこはあの人の美学だからなー。

だから「凄い」のひと言がちょうどいい表現かなと思った。

いや、これは本当好みの問題かも知れない。ディープなお笑いファンは国崎さんレベルのことで腹抱えて最高と思ってるかも知れないけど、僕はそこまでディープでもない、一般のお笑い好きなので。

決してこれはdisではなく、どちらかというとたまたま見たランジャタイのファンの人の意見に対してのdisになるのかな。

凄かったです。

誰もマネ出来ないし、あれをマネしようと言う人も居ないでしょう。

もし居ても、あんなにポップにはやれないはず。

そういう意味で、技術力はめちゃくちゃ高いけど、こだわりあるゆえに安易な笑いを取りに行こうとしないランジャタイ国崎さんの本気を見た気がしました。

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