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会社を辞めるまでのあれこれ2/4 2年目冬-4年目秋


ボンクラ、もがきの時代

昨年までの不毛極まり2年目は憂鬱ここに極まれり、みたいな酷い年だったが3年目が始まるとすぐに状況は変わった。

鬼の上司が転職したのだ。

次の上司はプロパー社員の温厚な、でもデジタルやデータのことは全くわからない、そんな人だった。

若干物足りなさはあったものの、良い人だった。ただ残念ながらこの人が上司だったのはわずか半年足らずで、特に語るエピソードはない。

それよりこの年は、僕の所属していたグループの最重要人物が入社してくるという一大イベントがあった。

転職してきたのは、またまた外コンのマネージャー上がりの人で、今度の人は穏やかでモラハラ気質も相対的にかなりマシだった。

この人はその後僕が辞めるまでの間の上司となり、まぁ正直僕以外のプロパー組の部下からの評判はモラハラだのサイコパスだのとすこぶる悪かったのだが、僕は比較的うまく関係を築くことができた。


・それなりに頑張るとそれなりに視野が広がる

この上司は仕事の上ではかなりのやり手で、入社して2ヶ月ほどで正攻法と搦め手を駆使して置き物状態のプロパー上司を追い出して自分がその位置に座ると、社長に自ら直談判してクラウドを構築する一大プロジェクトを立ち上げ、ごりごりと進めていった。

僕も都合の良い手足としてあれやこれやをやらされた。

難度は高かったし、特段興味が惹かれたわけでもなかったが、去年の不毛にしか思えない業務よりは千倍マシとばかりにやっていった。

おかげで、(というのと1年半以上部署にいた年の功で)ふと仕事の先に見える光景が広がり、いろいろな業務がやりやすくなる瞬間があった。

ブレイクスルーというのはこういうことをきっと言うんだろう。

自分の中のマインドや行動に目新しい変化があったわけではなさそうなのだが、タスクとタスクを結んでいる糸のようなものが見えるようになり、先行きが見通せ、意見も芯を食えるようになった。

気付くと僕に後ろ指を指す人は部内に誰もいなくなっていた気がする。


・やってみてよかったこと、弱者の生存戦略

この期間の僕にとって(そして多くの社会人初期の人にとって)、上司との信頼関係の構築は重要なテーマの一つといっていいだろう。

ここで、昔気質の日本企業の中ではイレギュラー気味だった上司ガチャを引き続けた僕が試行錯誤してやってみたちょっとした工夫みたいなのをちょっと紹介。

個別最適な感が強い上に、実際どれくらいこれらが功を奏したかは不明なのだけど、個人経験的なTipsはそれはそれで味があるだろうということで、大したことないものを偉そうに語らせていただく。

(汎用性の高いノウハウは本屋のビジネス本コーナーで平積みされてるものがよく整理されているのでそちらに席を譲ってあげることにする。)

▶過去経験のトレース

担当者レベルの業務において、レポートラインの上の人、つまり上司だったり先輩社員の目線に立つのが円滑に仕事をする上で要なのは言うまでもないことだと思う。

僕の場合は上司がコンサル出身で、カルチャーや考え方はもちろん、使ってる言葉すらこの会社の人間とはまるで異なっていた。(最初まじでルー大柴と会話してる気分だったが、これまで関わったコンサル出身者皆がルー語なので、これが業界スタンダードなんだと思う)

そんな異文化交流を余儀なくされた僕は、とりあえずコンサル業界の1-3年目の教科書みたいな本をいくつか読んだ。

上司が過去していたかもしれない経験を追体験することで、だからこれを大事にしているのだとか、この観点に対しては厳格とかを感覚として掴めるようになったことが、仕事のしやすさの向上にある程度寄与した気がしている。

振り返ると、組織の上に対してあくまで迎合するのではなく、純然に興味を持つのだ、みたいなスタンスを取ろうとしていたのだけど、これは結構大事なことだったんじゃないかな、思っており次の職場でも試したいなと思っている。

参考までに読んだ本で覚えているものをリスト化する。

・コンサルティング会社サバイバルマニュアル★★☆(コンサルとはどういう生き物か、を生々しく読めた記憶)

・コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト★★☆ (続編の「 マネージャー時代」に学ぶコトも割とためになった記憶)

・外資系コンサルのスライド作成術★★★ (実務に一番役立った。シリーズのExcelとリサーチのは目新しい情報なかったのでおすすめしない..)


▶コミュニケーションスタイルを合わせる

偉そうなことをべらべら語ったけど、一方でがっつり迎合もしてた。

僕は軟派な人間のため長いものには巻かれるのだ...
僕の部署はコミュニケーションがチャットがメインで、会話やミーティングはしばき・しばかれに行く場だった。
なので、いかにチャットの何気ないひと文ひと単語から意図を推理するか、そしてどストライクといかないまでもぎりぎりストライクゾーンに入ったかな、くらいの球を投げ返せるかが大事になってくる。

そこは上司側がある程度気を遣うべき、だったり、明快な指示を飛ばせ、みたいに思うかもしれないが、僕としては上司より単位時間あたりに生み出す価値が少ない以上、向こうの理解にかける負荷、考える工数を下げるよう頑張るのが全体最適と考えてる。

ぶっちゃけ満足いくレベルで出来ていたかと言われると、ぼちぼち?いや、ぎりぎり?という感じ何ですけど...

加えて向こうのコミュニケーション負荷を下げる目的で以下の点で上司の癖をトレースするよう試みた。小賢しいけど。

・ 文章量(1ラリーで何行程度のコミュニケーションが好きなのか)

・形式(文章なのか、箇条書きなのか、更に言えば箇条書きは・なのか、▶なのか、①②③表記なのか...等)

・使う単語(同じ単語には同じ単語で返す、勝手な理解で言い換えない)

・論理構造(他のメンバーの報告等もみて、反応がいい構成をパクる)

・言葉の砕き具合(どの程度口語調に寄せるか)

・・・

要はチャットもラブレターなのだ、大事なのは愛だと言い聞かせて、ややストーカーじみた執着で僕はキーボードを叩いていた...


・あってないなぁの違和感

仕事が最低限回るようになると今度は別の問題が僕を悩ませた。

果たして今の仕事は自分に合っているんだろうか。

仕事に必要な知識は、その道としてはまだ駆け出しながら最低限ついてきたし、今後も経験を積めば学ぶ意識さえ忘れなければより確固たるものになるだろう。

加えて職種としてはデータサイエンティストというものなのだが、一般的には未来が明るい職業と言われ、アメリカでは理系高給取りの一つの勝ちパターンみたいな扱いをされている。

一方でどうも僕は関わるプロジェクトにも、得られる知識やそこから生まれるものにもピンときていなかった。

頭ではやりがいのある仕事だと理解していても、自分が好きなものと向き合ったときに起こる、内からふつふつと湧いてくる熱みたいなものを感じられないのだ。

単に興味が湧いていなかったというだけのことなのかもしれない。

一方でこうした悩みは大抵の人が早かれ遅かれぶつかるものだと理解していたし、この世界に飛び込んでたった1-2年、ここで見切りをつけるのは勿体ない気もした。

実際別の領域を専門にしたあとで、また帰ってこれる保証もなかったし、まだ面白さに気付いていないだけで、これから出会う経験の中で突然魅力に取り憑かれる可能性も十分に残されてると思った。

石の上にも三年などと後期高齢者どもは言うが、実際3年くらいやってみないとその世界の全体像も満足に見えないだろうし、判断するのはそれからでいいだろう。

逆に言えば3年やってみてまだ熱が湧いていなかったらそのときは辞めちゃえ、と僕は漠然とではあるが、心に決め、とりあえず頑張ることにしたのだった。

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